国王様は生まれ変わったら冒険者になりたい。【水、日20時更新予定】

本編

国王様は嘘が下手

"やってしまった"という言葉がこの状況には1番似合うだろうか。

学年で1.2を争うほどの実力に有名なアストロールの名前、それら全ての期待を背負っている少年ロイドに、楽しくなってきちゃって勝ってしまいましたなど、通用するのだろうか。

昔よく、「考えなし」やら「考えてから行動しろ」と言われていたことがこんなに心に刺さることは今以上にはないだろう。

初実践でテンションが上がってしまって勝っちゃったことはどうにか、どーーーにか誤魔化せる気がするが、先程からヒシヒシと感じる観客席からの視線。

あれはどうにもならない。
やばいとかのレベルではない、助けて欲しい。

前にライと話し合ったことについて思い出す



ーーずっとずっと想っていた、その人がいないと生きていけない、絶望の底まで行ったのに実は生まれ変わった、などと知ったら今度こそ死なせないと囲われますよあなた。逃げ出せないように、地下の部屋なんかに囲って、手錠なんかつけて、食べ物を与えられて、、、


うわああああああ、怖い怖い！
今更遅いかもしれないけどルイにはバレたくない！！
いやだあああ、
と、頭の中で主張する


「やっぱりすごいな、ソフィは。負けてしまったのは残念だが、仕方ない。これから俺ももっと頑張らなくてな、、、どうした？ソフィすごい顔色が悪いぞ？」

おわった後にロイドが俺に話しかけにきてくれたが俺は色々考えていたためすごい顔になっていたようだ。

それはそうだろう、この後きっとルイにお前は誰だなんてことを聞かれてバレるに決まっている。
俺は嘘が下手だから。

いまにもこっちにこようとしているのもわかっている、何故なら何かで俺と確信したルイだからだ。

でも俺は暗い地下の部屋で生活なんて嫌だし、手錠も嫌だ！！！！ご飯は自分で食べるものだ与えられたくない！！！

どうしよう、どうしようと考えれば考えるほど嫌だという言葉しかでてこない。


「ソフィーちゃん、まじで大丈夫かー？保健室いく？」

カイルも近づいて来てそう心配してくれる。
根はいいやつ。

そうだな、保健室行った方が先生もいるだろうし安心か。とにかく1人にならなければいける気がする。

とりあえず、ベッドの中で色々考えようそうしよう。

ライの部屋にでも出向いて相談したいレベルだったがそれをしてしまえばさらに怪しまれる気がする。

"実践頑張りすぎて疲れちゃいました、てへ。"

うん、これで行こう。


「マイル先生、ちょっと実践頑張りすぎて疲れてしまったので保健室に行っていいでしょうか。」

「あ、ああうん。そうだね、ゆっくり休んできなさい。」

疲れがあるなら普通の学生なのか、と考えを巡らせているのがバレバレのマイル先生。
申し訳ない、俺の中身が国王なばかりに、弱そうな強いメガネヒョロ男がへんな感じにロイドに勝ってしまって。先生の頭は今大変だろう。


「ありがとうございます」

「俺も行くよ」

そうロイドが声をかけてくれたのでお言葉に甘えておいた。


「カイル頑張ってな、」

「俺のいいところ見せたかったけど仕方ないねー、よく休むんだよ～」

と、カイルに見送られて保健室に向かうことにした。