23 / 50
本編
過去、そしていま(ヴィルside)
しおりを挟むヴィル・アストロールside
「じゃあヴィーだな!」
そう嬉しそうに笑いながら私の名を呼ぶあの人はもうここにはいない。
______________....
「団長!!お疲れ様です!!!」
年若いきっと新人であろう騎士がそう声をかけてくる。相変わらず騎士団は暑苦しい者ばかりだ。
まあ、私もその1人だったがな。
私の父親は騎士団に所属していた。その中でも今の私と同じ騎士団長という位だ。
その影響で必然と私も将来、騎士を目指そうと考えていたのが13の頃だ。
王への忠誠心とやらが全く分かっていない子供だったと自分でも思う。
むしろあの出来事がなかったらきっと今でもその心は持っていなかったと言ってしまえるくらいには自分に影響力のあるものだった。
私が14の時、父に連れられて騎士団の練習場に見学に行ったことがあった。
将来、私もここに所属するであろうと考えていたので柄にもなく、少し楽しみだった。
カンッカンッ
と、お互いの木刀を打ち合い練習に励んでいる騎士たちはまだ若い自分とは比べ物にならないほど大きな体格で筋肉も別次元だった。
必然と、私も頑張らなくてはなと思った。
「ヴィル、少しここで見学していてくれ。」
と、父様に言われ練習場の隅の椅子に座っていた。
カンッ
カンッ
この日の太陽の日差しはすごく強かったが練習場にいる騎士は活気があった。
カンッッッ
「っっ!!!!」
そう考えていたらいつの間にか上から木刀が降ってきたのだ。
打ち合っていた際に負けた方の騎士の手に力が入っていなく、飛んでいってしまったようだった。
咄嗟のことすぎて動きもできず、受ける体制を取ることもできなかった。
ただ、飛んでいるその木刀がなぜかゆっくり見えていた。
ッッバチッ
雷の線が見えたかと思ったら木刀はそのままめの前で焦げて落ちていった
「いやぁ、危なかった危なかった」
そう笑いながらこちらに向かってくるのはここにいる騎士の誰よりもしっかりとした筋肉のある大柄の金髪の男だった。
それがテオドル様で、
この時はもうすでに国王になられている時だった。
どうして?そんな方がここに??
もう意味が分からず混乱していた。
「ヴィル!大丈夫か!?」
すると父様が駆けつけてくれた。遠くから見ていたがこちらに間に合わなかったらしい。
「申し訳ありません、テオドル様。そして息子を助けてくださり、本当にありがとうございます。」
「いいんだいいんだ、気にするな。」
これがテオドル様か、はじめてこんな近くでお見かけした。
とてもお強そうな方だし、なんだか思った感じと違うな。などと子供の頃の私はそんなことを考えていた。
「ほう」
と言いながら私の顔を隅々まで見てくる。
一体…?、、もしかして失礼なことをしたか?
は!
そういえば、自分から名を名乗っていなかった。
「も、申し遅れてすみません。私はヴィル・アストロールと申します。アストロール家の長男でございます。どうぞよろしくお願い致します。」
そうするとテオドル様は一瞬ぽかーんとした顔をしてから理解したかのように笑顔になる。
「ヴィルか。じゃあヴィーだな!よろしく。」
こんなガタイのいい男に向けて言う言葉ではないかもしれないがその笑顔がすごくかわいかったのを覚えている。
一目惚れというやつかもしれない。
本当に柄にもなく、心臓がどきどきした。
まだまだ子供ながらに"この人を守らなくては"と心に誓った。
それから私は時を経て22歳になった。
そしてテオドル様は36歳。しかもテオドル様はあの見た目で人間族だと言う。
純血の人間族はわりと希少で寿命も短い。
このことは王宮の者たちしか知らないらしい。
別に人間族だからなんだってわけではないが、一応のため伏せているのだと言う。
そして私はこの歳で騎士団の団長になっていた。
あの時よりもテオドル様に近づくことができる役職につき、さらに沢山話せる(主に仕事のことで)。
「ヴィー、ほんとすまない!これ頼めるか??」
「またギリギリに持ってきて…あなたと言う人は。」
こう冷静を装ってはいるが内心は心臓が破裂しそうなんだ。
なんかいい匂いがするし、ガチムチの部類だがなんだか色気がある。
「、、仕方がありませんね。貸し1ですよ。今度また何か返してもらいますからね。」
そう言って資料を受け取る。
もはや最初の方に述べた王への忠誠というよりは、自分自身の心までこの男に持ってかれた感じがする。
「ありがとうなぁ。本当にヴィーがいて良かった!」
そうキラキラ笑うテオドル様で何回抜いたことか。
おっと、、口が滑りましたね。
下品な話を申し訳ありません。
「次は何で返せばいいんだ??」
そう、こういったテオドル様からのお願いは結構ある。それに答えると私からした褒美をもらえる。
この前は一緒にディナーに行った。
美味しいと目を大きく開けて言っているテオドル様は本当に可愛かった。
「そうですね、、今度は行きたいところがあるので予定を空けておいてほしいです。」
国王に休みなんてほぼないが、たまには息抜きもいいだろう。
むしろこう言わないとこの人は休まないですから。
「おお、なるほど。わかった、また予定が決まったら連絡するな。」
「はい、よろしくお願いしますね。」
そして、また来るな!といって一回ドアを閉めたが、再びそのドアが空いた。
騎士団の誰かが来たのかと思ったがそれは先程のテオドル様だった
「どうかされました??」
「楽しみにしてるなっ」
そう照れ臭そうに笑いまたドアを閉めて消えていった。
ん"っ///
なんだあの生物は!?
わざわざ楽しみなこと言い忘れたからもう一回来るとか可愛すぎはしないか??
鼻血がでるかと思った。
それからというもののしばらくは当たり前だが仕事が手につかなかった。
そしてその約束が果たされることはなかった。
40
お気に入りに追加
886
あなたにおすすめの小説
ド平凡な俺が全員美形な四兄弟からなぜか愛され…執着されているらしい
パイ生地製作委員会
BL
それぞれ別ベクトルの執着攻め4人×平凡受け
★一言でも感想・質問嬉しいです:https://marshmallow-qa.com/8wk9xo87onpix02?t=dlOeZc&utm_medium=url_text&utm_source=promotion
更新報告用のX(Twitter)をフォローすると作品更新に早く気づけて便利です
X(旧Twitter): https://twitter.com/piedough_bl

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

転生したら溺愛されていた俺の話を聞いてくれ!
彩ノ華
BL
不運の事故に遭い、命を失ってしまった俺…。
なんと転生させて貰えることに!
いや、でもなんだかおかしいぞ…この世界…
みんなの俺に対する愛が重すぎやしませんか…??
主人公総受けになっています。

転生したら同性から性的な目で見られている俺の冒険紀行
蛍
BL
ある日突然トラックに跳ねられ死んだと思ったら知らない森の中にいた神崎満(かんざきみちる)。異世界への暮らしに心踊らされるも同性から言い寄られるばかりで・・・
主人公チートの総受けストリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる