国王様は生まれ変わったら冒険者になりたい。

いに。

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本編

英雄の死

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結果的に、私は死んだ___


え?あんなカッコいい感じで言ってて死んだの?って思っただろ?
そうギリギリ死んじゃったんだよね。



______________…




「こいつの弱点は目だっ!!!目を狙え!!」
ヘルゲがそう叫んで走っていく。

「言われなくてもわかってますよっ!テオっ私達が引きつけますから上から攻撃してくださいっ!!」

ヴィルは右へ、ヘルゲは左へ魔物の意識を持っていっているうちに俺は魔力を剣にこめていた。

もうすでに何度か攻撃はしているが少しのダメージしか与えられてないのはわかっている。

目だ。目を狙え。

もう魔力も限界に近づいてるなー
持つかなー

なんて考えながら手に力を込める。
自分の限界なんて1番自分がわかってる。


「ヘル、ヴィーすまんな。ありがとう。」

そうつぶやいて上へ飛ぶ。



2人もその呟きが何故か聞こえたようで意識をこちらに向ける。

上に飛んだテオドルは下に向かって勢いよく風魔法を放ち、ヘルゲとヴィルを飛ばしていく。

「おいっ!!テオっ!!!!!!」

「テオ!!!っっくそ、何する気だ!!!!」


その風に耐えきれず2人は少し遠くまで飛ばされてしまった。

そのうちにテオドルは勢いよく魔物の目に剣を刺す

最後の力を、、雷の魔法を放った。
脳や全身を感電させて魔物を止めようとしているのだ。半端な魔法ではこの化け物は止められない、自分を巻き込むくらいの大きな魔法でやらなくては。


ビリリリリリリリビビビ


あたりは明るく、目を開けられないほどに光を放った。

そしてヘルゲとヴィルは目が慣れた頃、魔物は完全に真っ黒に焦げているのがわかり、同時に最悪な事態もわかってしまう。



「テオっテオっおい!!目を開けろ!!」


急いで近づいて、真っ黒になったテオドルに声をかける。
ヘルゲの声は大声を出しすぎて痛々しく、目からは涙が溢れそうなほどというか溢れていた。

ぼやけた視界で見たヘルゲの顔はこれはもう面白くて笑ってしまう。珍しいこともあるんだな。こいつが泣いているところを始めてみた気がする。

「……んな…なくな…」

こんな黒焦げで笑っているのかさえ伝わらないかもしれないがな。と、自分の黒くなった手をみて思った。


その横でヴィルも泣きそうな顔をして見ているのがわかった。

なんだよ、お前ら。
感動しちゃうじゃん。

ヘルゲとヴィルの手をできる限り強く握り

「…守れて…よかっ…た」


大好きなこの国を、国民をそしてこいつらを守れてよかった。


もうなにも悔いはない……いや、

一つ言うなら、まだ36歳だ。
もうちょっと生きてもよかったかななんて。

あと、国王より冒険者とか名乗った方がかっこよかったよね。

あー、冒険者いいな。

生まれ変わったら次は冒険者になりたいな…


そんなこと言ったらきっとヘルゲなんかにあのニヤニヤ顔で「お前は冒険者なんかにはなれねぇよ」なんて言われるんだろうな…



そう思いながら意識を手放したのだった____




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