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英雄集結
Part 6
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なんとなしではあるが、僕もおかしいなとは感じていた事だ。
宇宙の作り然り、アナナキの生態然り、この戦争の発端然り。
解らないことだらけで、説明されてもそれを真に受けるしか僕には出来なかったが、理解出来ない事でも違和感というものは感じるものだ。
歴史を彩る偉人の件とか。
スルッと話の中に出てきた、人間世界の偉人もまたアナナキ達のいう英雄になり得た人々だという事だ。
大方予想出来るところだと、ダヴィンチや、ダビデ、キリスト、シャカ、ナポレオン、アショーカとかだろうか。
日本人だと卑弥呼やら三英傑あたりか?
そんな歴史の1ページを彩ってきた偉人達の精神性が高く、それによって熊本くんのように武力や知力を伸ばしたと言われれば納得はいく。
あの熊本くんでさえ、精神性を高めるに相応しいとされた場所であるとは言え、あの超短期間で人外の域にまで踏み込めたのだ。
脳力解放がなくても、そこまで辿り着けることはわかった。
だけど、そんな偉人たちは何故アナナキという存在に気付かなかったのか。
シュメール文化を繁栄させたと言われる宇宙人アヌンナキという存在は僕も聞いたことがある。
まさか世界史を勉強して、宇宙人が出てくるとは思わなかったので、記憶に鮮明に刻まれていた。
しかし、そのアヌンナキはそれ以降歴史の表舞台には現れていない。
アナナキとアヌンナキ。
どう考えても別物とは思えない。
そのアヌンナキが、そこからパッタリと人間世界から姿を消し、人間との接触を絶っていたとは到底考えにくい。
さすれば、先程の陰謀論にも繋がってくる。
精神性を高め、その精神性の重要性を説いて広めたキリスト、シャカ、孔子などなど、アヌンナキとの接触があってもおかしくはない。
なんなら気魄に関しては、名称は違えどそれに類似するモノが研究されていてもなにもおかしくはない。
"チャクラ"
僕は気魄の名を聞いた時、すぐに頭に思い浮かんだ。
うろ覚えではあるが、確か気魄同様、脳から作られて体内に蠢くエネルギー体だったような気がする。
しかしそれは現実、オカルトの域を超えていない。
アヌンナキ然り、チャクラ然り、宗教の教え然り、何故にちょこちょこアナナキという存在に辿り着くヒントを無視しておいて、それを隠蔽していなかったのか?
キリストがもし、アヌンナキの存在を明言して、神ではなくアナナキと呼んでいたならば、歴史は大きく変わっていたことだろう。
アナナキが人間世界の重要ポジションに潜入していることは先程明かされた事実。
それがここ最近な訳がない。
ずっと昔からそうだったと考えるのが順当だろう。
そしてそのアナナキ達が人間世界にいる理由は、情報の操作や人間の監視などが考えられる。
このクリーチャーの突発的な戦争が無かったら、彼らはこの先人間世界をどうするつもりだったのか?
一部の人間だけが知り得ている、アナナキという存在。
僕達がこうしてその事情に深く関与したからこそ知り得た情報。
そしてそれを知ってしまったという事実。
なにかまだ、僕たちの想像もつかない裏があるのではないだろうか?
そんな陰謀論的に怯える言い知れない不安が僕に燻っていたのは確かだった。
「ムネリン。多分私たちが幾ら考えたっておおよそアナナキ達の予想されるところだと思うの。だから今は成るように成るとしか考えない。だけど、もっと深いところまで踏み込んだ時、私たちは大丈夫なのかな? ってぼんやり不安に思うかな」
「そうだね。あまりにも突然に情報が飽和し過ぎて全然噛み合わない。でも、もしも知里ちゃんが思う大丈夫じゃない事態になったとしても、僕はずっと一緒にいるよ。こうやって特殊な状況に置かれても知里ちゃんと一緒にいれるこの状況に僕は感謝しようと思う」
心の底からそう思う。
もし、片方だけが選ばれて離れ離れになっていたらと思うと、考えるだけで恐ろしい。
夜の筈なのに、この世界は暗くならない。
ずっと明々と地上を見下ろす空が、時間の感覚を狂わせる。
お陰様で夜特有のネガティブな気持ちにならないだけ、有り難いと思う。
こんな会話を夜中していたら、もっと不安な気持ちになっていただろう。
「へへっ。大好きムネリン!」
いやー照れるなぁと後ろ頭を掻く仕草も、ちっこい背中を丸めて体育座りしている姿も、不意に僕との距離をゼロにして手を握ってくる行為も、僕にはあまりある程幸せな瞬間の塊なのだ。
「かぁーいいなぁ! マイハニーは!」
「ふふふ! さっきの台詞もなかなかにかっこよかったですよマイダーリン!」
ハニー、ダーリン。
知里ちゃん、ムネリン。
僕達が名前をしっかり呼べない理由が、この会話で顕著に現れている。
真剣に愛を囁く。
それは、恥ずかしすぎる!!
「さ! そろそろ可愛くもない後輩が、僕達を探している頃だろう。帰ろうか!」
「あーすっかり忘れてたよ。よっし! 帰るまで競争だ!」
体育座りから一気に解放されて飛び上がると身を翻し、来た道をダッシュする知里ちゃん。
そんなすぐ切り替わるの!?
帰り際にチューでもしてからゆっくり帰ろうと思ってたのに!!
そんなことを考えていると、みるみる距離を離されてしまっていた。
「なにその速さ!!」
こりゃやばい!
負けたら何を要求されるかわかったものではない!
僕は直ぐ足に身体強化を付与し、脱兎の如く走り去る、その小さな背中を追いかけた。
「なに、異世界まで来てのほほんとランデブーしてんすか」
案の定僕は競争に負け、しかも後輩から呆れ顔で迎えられた。
「なに入り口まで出てきてぐちぐち言ってんだよ。寂しかったのか?」
「いえ、丁度バータル氏と話してたらディミトリー君がきまして、ムネノリは? 師匠は? って2人して言うんで僕が代表して探してあげてたんスヨ。まぁ探し始めて間もなかったので許して差し上げますけど」
「なんで上から目線なのかは置いといてやるよ。それよりその2人は何か急用なのか?」
「いえ、暇だからだと思います」
なに? ウノでもすんの?
「モテモテだねえムネリン」
男にモテたとて!
「それじゃ私もメスどもと交流深めてくるわ! あのデイジーって女もいじり甲斐がありそうだし!」
目をギラつかせている知里ちゃんを見て、僕は内心デイジーを哀れに思った。
「あまり問題起こさないようにねー?」
「おっけ! んじゃまた明日ねー」
チュッ。
うぉい!!
不意打ちのチューに僕は一瞬固まってしまった。
「お熱いことで」
冷静な後輩に軽口で返す事もできず、ウブなシャイガイと化した僕は、手をブンブン振ってお茶目に舌を出しながら走り去る知里ちゃんに釘付けになっていた。
舌噛むぞ?
「しかしよくよく考えたら、70億人の人口の内の13名の中に、よく2人とも入れましたね。まさに奇跡っすよ」
「本当それな。ありがてえ、ありがてえ」
「僕、この戦いが終わったら、この事をラノベ化しようと思ってるんですよ」
「あー、ご愁傷様」
「いや、死亡フラグ立てたわけじゃないっスからね!」
ケラケラ笑う僕に、真面目な顔してツッコミを入れる後輩はいつもの調子でグチグチとなにか立て続けに口を動かしていたが、僕はこの光景に心が休まり安堵していてそれどころではなかった。
まぁ、深く考えたってどうにもならないなら、大好きなマイハニーと小うるさい後輩といつも通り会話できるように、全力を尽くそうと思った今日この頃であった。
「おう、何処に行ってたんだ?」
修学旅行を思わせる雰囲気。
僕と熊本くんの二人部屋には既に、部屋の主を差し置いて、バータルとディミトリーが寛いでいる姿があった。
「ちょっとこの世界を見てみようと散歩してきた」
「と、いう建前でデートしてましたこの男」
止め処なくうるせえなこのアンポンタン。
「なるほどな。チサトは来ないのか?」
「自分の部屋に戻ってガールズトークに勤しむらしい」
一息つく様に、僕は二つ並んだベッドの片方に腰を下ろす。
ディミトリーは床に座り、バータルはもう片方の(熊本くんの)ベッドに胡座をかいていた。
「そりゃあ恐ろしいな。あのデイジーってイギリス女と決闘でもしかねないぞ」
「それは流石に避けるだろ。イザベルが間に入ってくれる事を祈るばかりだな」
第一印象は奇人変人の類いだとばかり思っていたが、案外イザベルは場を和ませ調和を生む優秀な人材であると察した。
いざという時は、なんとかしてくれるだろう。
宇宙の作り然り、アナナキの生態然り、この戦争の発端然り。
解らないことだらけで、説明されてもそれを真に受けるしか僕には出来なかったが、理解出来ない事でも違和感というものは感じるものだ。
歴史を彩る偉人の件とか。
スルッと話の中に出てきた、人間世界の偉人もまたアナナキ達のいう英雄になり得た人々だという事だ。
大方予想出来るところだと、ダヴィンチや、ダビデ、キリスト、シャカ、ナポレオン、アショーカとかだろうか。
日本人だと卑弥呼やら三英傑あたりか?
そんな歴史の1ページを彩ってきた偉人達の精神性が高く、それによって熊本くんのように武力や知力を伸ばしたと言われれば納得はいく。
あの熊本くんでさえ、精神性を高めるに相応しいとされた場所であるとは言え、あの超短期間で人外の域にまで踏み込めたのだ。
脳力解放がなくても、そこまで辿り着けることはわかった。
だけど、そんな偉人たちは何故アナナキという存在に気付かなかったのか。
シュメール文化を繁栄させたと言われる宇宙人アヌンナキという存在は僕も聞いたことがある。
まさか世界史を勉強して、宇宙人が出てくるとは思わなかったので、記憶に鮮明に刻まれていた。
しかし、そのアヌンナキはそれ以降歴史の表舞台には現れていない。
アナナキとアヌンナキ。
どう考えても別物とは思えない。
そのアヌンナキが、そこからパッタリと人間世界から姿を消し、人間との接触を絶っていたとは到底考えにくい。
さすれば、先程の陰謀論にも繋がってくる。
精神性を高め、その精神性の重要性を説いて広めたキリスト、シャカ、孔子などなど、アヌンナキとの接触があってもおかしくはない。
なんなら気魄に関しては、名称は違えどそれに類似するモノが研究されていてもなにもおかしくはない。
"チャクラ"
僕は気魄の名を聞いた時、すぐに頭に思い浮かんだ。
うろ覚えではあるが、確か気魄同様、脳から作られて体内に蠢くエネルギー体だったような気がする。
しかしそれは現実、オカルトの域を超えていない。
アヌンナキ然り、チャクラ然り、宗教の教え然り、何故にちょこちょこアナナキという存在に辿り着くヒントを無視しておいて、それを隠蔽していなかったのか?
キリストがもし、アヌンナキの存在を明言して、神ではなくアナナキと呼んでいたならば、歴史は大きく変わっていたことだろう。
アナナキが人間世界の重要ポジションに潜入していることは先程明かされた事実。
それがここ最近な訳がない。
ずっと昔からそうだったと考えるのが順当だろう。
そしてそのアナナキ達が人間世界にいる理由は、情報の操作や人間の監視などが考えられる。
このクリーチャーの突発的な戦争が無かったら、彼らはこの先人間世界をどうするつもりだったのか?
一部の人間だけが知り得ている、アナナキという存在。
僕達がこうしてその事情に深く関与したからこそ知り得た情報。
そしてそれを知ってしまったという事実。
なにかまだ、僕たちの想像もつかない裏があるのではないだろうか?
そんな陰謀論的に怯える言い知れない不安が僕に燻っていたのは確かだった。
「ムネリン。多分私たちが幾ら考えたっておおよそアナナキ達の予想されるところだと思うの。だから今は成るように成るとしか考えない。だけど、もっと深いところまで踏み込んだ時、私たちは大丈夫なのかな? ってぼんやり不安に思うかな」
「そうだね。あまりにも突然に情報が飽和し過ぎて全然噛み合わない。でも、もしも知里ちゃんが思う大丈夫じゃない事態になったとしても、僕はずっと一緒にいるよ。こうやって特殊な状況に置かれても知里ちゃんと一緒にいれるこの状況に僕は感謝しようと思う」
心の底からそう思う。
もし、片方だけが選ばれて離れ離れになっていたらと思うと、考えるだけで恐ろしい。
夜の筈なのに、この世界は暗くならない。
ずっと明々と地上を見下ろす空が、時間の感覚を狂わせる。
お陰様で夜特有のネガティブな気持ちにならないだけ、有り難いと思う。
こんな会話を夜中していたら、もっと不安な気持ちになっていただろう。
「へへっ。大好きムネリン!」
いやー照れるなぁと後ろ頭を掻く仕草も、ちっこい背中を丸めて体育座りしている姿も、不意に僕との距離をゼロにして手を握ってくる行為も、僕にはあまりある程幸せな瞬間の塊なのだ。
「かぁーいいなぁ! マイハニーは!」
「ふふふ! さっきの台詞もなかなかにかっこよかったですよマイダーリン!」
ハニー、ダーリン。
知里ちゃん、ムネリン。
僕達が名前をしっかり呼べない理由が、この会話で顕著に現れている。
真剣に愛を囁く。
それは、恥ずかしすぎる!!
「さ! そろそろ可愛くもない後輩が、僕達を探している頃だろう。帰ろうか!」
「あーすっかり忘れてたよ。よっし! 帰るまで競争だ!」
体育座りから一気に解放されて飛び上がると身を翻し、来た道をダッシュする知里ちゃん。
そんなすぐ切り替わるの!?
帰り際にチューでもしてからゆっくり帰ろうと思ってたのに!!
そんなことを考えていると、みるみる距離を離されてしまっていた。
「なにその速さ!!」
こりゃやばい!
負けたら何を要求されるかわかったものではない!
僕は直ぐ足に身体強化を付与し、脱兎の如く走り去る、その小さな背中を追いかけた。
「なに、異世界まで来てのほほんとランデブーしてんすか」
案の定僕は競争に負け、しかも後輩から呆れ顔で迎えられた。
「なに入り口まで出てきてぐちぐち言ってんだよ。寂しかったのか?」
「いえ、丁度バータル氏と話してたらディミトリー君がきまして、ムネノリは? 師匠は? って2人して言うんで僕が代表して探してあげてたんスヨ。まぁ探し始めて間もなかったので許して差し上げますけど」
「なんで上から目線なのかは置いといてやるよ。それよりその2人は何か急用なのか?」
「いえ、暇だからだと思います」
なに? ウノでもすんの?
「モテモテだねえムネリン」
男にモテたとて!
「それじゃ私もメスどもと交流深めてくるわ! あのデイジーって女もいじり甲斐がありそうだし!」
目をギラつかせている知里ちゃんを見て、僕は内心デイジーを哀れに思った。
「あまり問題起こさないようにねー?」
「おっけ! んじゃまた明日ねー」
チュッ。
うぉい!!
不意打ちのチューに僕は一瞬固まってしまった。
「お熱いことで」
冷静な後輩に軽口で返す事もできず、ウブなシャイガイと化した僕は、手をブンブン振ってお茶目に舌を出しながら走り去る知里ちゃんに釘付けになっていた。
舌噛むぞ?
「しかしよくよく考えたら、70億人の人口の内の13名の中に、よく2人とも入れましたね。まさに奇跡っすよ」
「本当それな。ありがてえ、ありがてえ」
「僕、この戦いが終わったら、この事をラノベ化しようと思ってるんですよ」
「あー、ご愁傷様」
「いや、死亡フラグ立てたわけじゃないっスからね!」
ケラケラ笑う僕に、真面目な顔してツッコミを入れる後輩はいつもの調子でグチグチとなにか立て続けに口を動かしていたが、僕はこの光景に心が休まり安堵していてそれどころではなかった。
まぁ、深く考えたってどうにもならないなら、大好きなマイハニーと小うるさい後輩といつも通り会話できるように、全力を尽くそうと思った今日この頃であった。
「おう、何処に行ってたんだ?」
修学旅行を思わせる雰囲気。
僕と熊本くんの二人部屋には既に、部屋の主を差し置いて、バータルとディミトリーが寛いでいる姿があった。
「ちょっとこの世界を見てみようと散歩してきた」
「と、いう建前でデートしてましたこの男」
止め処なくうるせえなこのアンポンタン。
「なるほどな。チサトは来ないのか?」
「自分の部屋に戻ってガールズトークに勤しむらしい」
一息つく様に、僕は二つ並んだベッドの片方に腰を下ろす。
ディミトリーは床に座り、バータルはもう片方の(熊本くんの)ベッドに胡座をかいていた。
「そりゃあ恐ろしいな。あのデイジーってイギリス女と決闘でもしかねないぞ」
「それは流石に避けるだろ。イザベルが間に入ってくれる事を祈るばかりだな」
第一印象は奇人変人の類いだとばかり思っていたが、案外イザベルは場を和ませ調和を生む優秀な人材であると察した。
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