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第133話〜本当のエピローグ・3〜
しおりを挟む「帰ったら母ちゃんの手料理食って思い切り寝てやるぜ!」
「タイタン……。お前それ以上太るなよ」
「俺は古い弓矢を処分しないと」
「私は帰ったら、占いの修行だ!」
「またみんなで集まれたらいいよな! じゃあなお前ら!」
〝サターン〟の5匹は楽しそうにしながらワープゲートへと入り、帰っていった。
何だかんだ面白え奴らだったな。ボクは手を振って見送ってやった。
「……マーズ、次は必ず決着をつけよう」
「ああ! 絶対お前に負けを認めさせてやる。覚悟しとけ、レア!」
レアとマーズさんはガッチリと固い握手を交わすと、レアは振り向く事なくワープゲートに入っていった。
「みんな、世話になったな。……スピカ、ゴマと上手くやっていけよ」
「す・え・な・が・く! お幸せにデスー! ホッホッホ! それでは皆さん、サヨーナラー!」
「……な、何であんたらが知ってるねん! ま、まあ、上手くやるわ!」
デネブとリゲルも、虹色の光の中に消えて行く。
「ゴマくん、ルナくん! 復興が終わったら、今度は地上世界の冒険に連れてってね!」
「ああ、絶対だぞ! 楽しみにしとけ!」
「プレアデス兄ちゃん、復興大変だけど頑張ってね!」
ボクとルナは、プレアデスと約束の握手をした。
「もし就職がしたいなら、社長に話を通すから、いつでも相談したまえ。それまでにみんなが笑顔で働くスーパー・ホワイト企業にしておくから、ね!」
「……ハハ、それは遠慮しとくぜ」
ベガのオッサンも、これからは笑顔の優しいオッサンネコでいてくれよ。
——プレアデス、ベガのオッサンもワープゲートに入り、帰っていった。
「ニャルザルも近日、ニャンバラ復興支援策を決定するだろう。世界の全てが、武力の脅威の無いよう、我々も努力していく! では、また会おう!」
オレオは敬礼し、キレのいい動きで振り返り、ワープゲートの中へ消えて行く。
ボクらも、真似して敬礼した。
「……ライム!」
「おうグレ、どうした」
「僕は君の理想の世界が実現するまで、ずっとついてくからね!」
「……ああ、頼むぞ。でも、無理はするな。お前の夢も、今度聞かせろよ」
ライムさんはワープゲートのところまでグレさんと一緒に歩き、グレさんを見送った。
「俺はレアに勝つために、師匠のところでまた修行しよう」
「私は忍びの里へ帰って、お饅頭食べてゆっくりするわ」
「やっと帰れるのね。ふん、別に私は、あんたらの為に戦ってきたんじゃないから! 勘違いしないでよね‼︎」
「みんな、これからも誇りを持って戦えるよう、今はゆっくり休むんだ! 我々にはニャンバラ復興という、次の仕事が待っているんだ。しっかり英気を養ってくれ。それではみんな! また会おう‼︎」
「皆さん、ありがとう。お疲れ様でした」
マーズさん、マーキュリーさん、ヴィーナスさん、そしてソールさんも、帰っていってしまう。
ワープゲートに入って行ったソールさんたちを、最後までムーンさんは見送っていた。
——そして、9匹のネズミの家族も。
「色々あったけど、何だか勉強になったなあ。改めて平和の大事さ、かけがえの無さが分かった気がする」
ネズミの父ちゃんはしみじみ言った。
「お料理も、やっぱり手作りが1番ね! これからも家族みんなで力合わせて作りましょ。……もちろん、ネコさんたちもみんな家族ね! ふふふ」
「またみんなであんなパーティーしたいよねー! ああ、世界中の美味しいもの、食べ尽くしたいなー!」
「ふふ、私はこれからは、私オリジナルのお料理を研究するわ!」
ネズミの母ちゃん、トム、モモ。
これかはもまたお前らの美味い飯、食わしてくれよ!
「こんな事があると、まだまだ長生きしたいと思えるわあ。みんな仲良くなれるって、こんなに楽しい事なのねえ。ミライや、いい時代に生まれたわねえ」
「おばあちゃん、ずっとながいきしてね。ネコさんのみんな、ずっとおともだちでいてね」
ネズミのばあちゃん。
あんたはまだまだ長生きできるさ。
是非ミライが、未来に楽しく生きる姿を、見届けてやってくれ。
「色々話したのう、楽しかったよ。ゴマくんや、これからは共に太陽の子として、どんな時でも何があっても、〝3つの心〟を胸に、生きて行こうぞ」
「じいちゃん、大切な事教えてくれて、ありがとよ。あんたも長生きしてくれよ!」
ボクはネズミのじいちゃんと、しっかりと握手をした。
「バイバーイ! また会おうね!」
「お、ナナ。今回は泣きべそかかねえんだな」
ボクは思わず言ってしまった。
ナナは、涙ひとつ見せずに、ずっと笑っている。
——だって、またいつだって会えるんだからな!
「ゴマ兄ちゃん! ルナ兄ちゃん! 僕らはずーーっと、1番の友達だよ!」
チップが言う。ボクはすかさずつっこんだ。
「チップお前、1番の友達はマサシじゃなかったのかよ」
「もう、兄ちゃんたら!」
ルナがバシッとボクの肩を叩く。
すると、すっかりオッサンになったマサシが笑いながら言った。
「あはは、1番がいくつあったっていいじゃないか。難しく考えるのはやめてさ、楽しく行こうよ!」
チップも笑いながら頷く。
「うん、そういう事!」
「どういう事だよ、全く。ま、それならボクにとっちゃあお前らは……1番の冒険仲間さ!」
「わぁーい! 冒険仲間‼︎」
ボクは左手でチップと、右手でマサシと、しっかりと握手をした。
「あたしもー!」
ナナが駆け寄ってくる。
「じゃあナッちゃんも一緒に手つなご!」
「うん!」
すっかり兄貴になったルナも入れて、みんなで手を繋いで——今ここに、冒険仲間の絆が出来上がったんだ。
「じゃあねー! ありがとう! ネコさんたち!」
「またねー! 元気でねー!」
9匹のネズミたちも、ワープゲートの中に入っていく。
みんな、笑っていた。
「おう、またな! お前らも元気でな!」
ボクとルナは、笑いながら手を振った。
後ろで、ムーンさんたちボクらの家族も、手を振っていた。
「さあ、僕もまた現実世界に戻って、まずは体治さなきゃね。元気になったら、みんな一緒にしよう。ありがとう、またね!」
「ああ、ビョーキなんざ、さっさと吹き飛ばしちまえ。いつでも待ってるからな」
マサシも、虹色の光の中に入り、帰っていった。
——さあ、あとはボクらだけだ。
親分ムーンさん。
姉貴分メルさん、じゅじゅさん、そしてライムさん。
ポコ、ユキ、3匹のチビたち。
ルナ、そしてボク。
11匹勢揃いで、アイミ姉ちゃんのところへ帰るぞ!
「さあ、私たちも帰りましょう。……しばらくは私も、あなたたちと一緒にゆっくりするつもりです」
「母さんいると、やっぱり安心するわね」
「そうだね~。メルはずっと母親代わりで大変だったもんね~」
「これからは私もいる。困った時はお互い様だ」
——これからはムーンさんと三姉妹、末永く仲良くやってくれ。
ライムさんはすぐにニャンバラに戻っちまうが。
「ポコ、私たちは休み無しよ。子供たちのお世話があるからね」
「ああ、分かってるさ。だけど、たまにはゴマたちと遊びに出掛けさせてくれよ!」
「「「ミィーー‼︎」」」
外に出かける事さえ怖がっていたポコが、ようやく自分から、ボクと遊びに行きたいと言うようになりやがった。……いや、そこは子育てを優先してくれ。
全く、ユキとポコも、これから大変だな。
「さ、兄ちゃんも。帰ろ」
「なあな、ゴマ」
「……また来るぜ、ニャンバラ。今度はみんな笑って、会おうぜ! また家族12匹で行くからよ!」
——ん。12匹? 何か1匹多い気がするぞ。
「……感慨に耽りすぎてて、ウチの事見えてへんな……」
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