子ネコのゴマの大冒険〜もふもふにゃんこ戦隊と共に、2つの世界を救え‼︎〜

第45話〜五星合体！ 出現、巨大ロボ‼︎〜

　
「このままでは、ネズミたちの街が完全に破壊されるぞ！　ムーンとマーズは、巨大ゴーレムを！　マーキュリーとヴィーナスは、巨大トレントを狙うんだ！」


　ソールさんの指示を受け、〝アルテミス〟と〝アレス〟は同時に、巨大泥兵士を狙って、レーザー光線を浴びせる。
　——が、全然効いてねえ‼︎


「やばいぜ！　ムーンさん‼︎」

「くっ……！」


　巨大泥兵士、巨大トレント、そしてライムの操縦するロボット——機獣王レオパルムとやらの3体のデカブツは、街のド真ん中で暴れ始め、建物を次々にブチ壊し始めた。
　早く止めねえと、ネズミの街が完全に潰されてしまう……！


「ならば、我々も行くぞ！　五星合体‼︎」


　ソールさんの声が聞こえた。——何だ、何をする気だ？

　何と、ソールさんの戦闘機が、飛びながら変形し始めていた。——景色がぐるりと回る。ボクの乗ってる〝アルテミス〟も変形を始めたらしい。


「ゴマ。今から私たち5機の戦闘機は、合体します。しっかりつかまってて下さいね」

「が、合体だと⁉︎    ぐわあ、どっちが上か下かわかんねえ、目が回る‼︎」


　ガシーン、ガシーン！　という音と、ものすげえ揺れで、いっぺんに気分が悪くなってきちまった。


「うおえ、吐きそうだ……」

「合体終了です。ゴマ、こっちへ！　コクピットへ急ぎますよ！」


　隠し扉みたいな入り口をくぐると、ボクでもギリギリ通れるくらいの狭い通路が続いていた。ムーンさんに案内されながら、通路を駆け上がる。
　行き止まりの扉を開けると、そこは5匹分の座席がある広い操縦席だった。既にソールさんたちも来ている。
　スピカはボクを見つけるなり、飛び付いてきた。


「ゴマー！　無事やったかー！　会いたかったでえ」

「はしゃぐなスピカ‼︎ 」


　ボクはスピカを押さえ込みながら、ソールさんに聞いた。


「ソールさん、ボクらはどうしたらいいだ？」

「ゴマくん、スピカさん、フォボス、ダイモスは、その場でしっかりつかまっててくれ！　本来これは5匹乗りなんだ！　すまない！」

「姿勢を低くして、しっかりつかまってて下さい！」


　ボクらはしゃがみ込み、座席にしっかりとつかまった。
　こうしてる間にも3体の巨大な敵は、商店街を踏み潰し、ビルを薙なぎ倒していく。


「発進！　スター・マジンガ‼︎」


　5機の戦闘機が合体した〝スター・マジンガ〟という名の巨大ロボは、街を踏み潰している巨大泥兵士に向かって進み出した。
　右腕を振り上げ、巨大泥兵士に殴りかかる！


「グギェエエェエエン‼︎」


　思い切りブン殴られた泥兵士は奇声を上げ、近くに建っていたタワーを巻き込んで火花を散らしながら破壊し、倒れ込んだ。


「おのれ星光団、そんなもので我々に対抗出来ると思うか‼︎」


　ライムの声と同時に敵の巨大ロボ〝機獣王・レオパルム〟が迫り、右腕で殴りかかってきた。
　命中。衝撃で機体が激しく揺れる——！


「ぐわああ！」


　スター・マジンガは、右腕で何とか攻撃を受け止めたようだ。


「今だ！　プラズマ波動弾、発射ファイヤー‼︎」


　一瞬、視界が真っ白になる。同時に衝撃と轟音がボクらを襲った。
　フロントガラスを見ると、機獣王レオパルムはスパークしながら、前方に吹き飛ばされていくのが見えた。


「よし！　このまま攻め込むんだ！」


　ゼロ距離で、波動弾を食らわせることに成功したようだ。これで敵はダメージ大だな。
　それにしても、すげえ揺れだ。本当にしっかりつかまってねえと、怪我どころじゃ済まねえな。


「スピカてめえ！　抱きつくんじゃねえよ！」

「しっかりつかまってって言うてはったやん！」

「だからつかまるのはボクじゃねえってば！」


　ドガァァァアン————‼︎

　機体が大きく揺れた。
　天地がひっくり返り、衝撃でボクは天井に頭をぶつけた。


「ぐわあああ！」

「きゃーーーー‼︎」


　どうやらスター・マジンガは、敵の攻撃を喰らって倒れ込んじまったようだ。


「みんな大丈夫か！　すぐに起き上がる！　……プラネット・シールド展開‼︎」


　視界にピンク色のバリアのような物が張られ、再びスター・マジンガは起き上がる。
　どうやら、機獣王レオパルムと木の化け物が同時に、レーザー砲やらミサイルやらを一斉に浴びせてきていたようだ。


「無駄だ星光団！　3対1では勝ち目はないだろう！　このまま、畳んでしまえ！」


　——何だと⁉︎    倒したはずの巨大泥兵士が再び立ち上がり、3体同時にこっちに来るじゃねえか！


「ソール！　あれを！」

「おう！　〝星剣せいけん・エターナルソード〟‼︎」


　ソールさんが叫ぶと、夜空から流星のごとく巨大な剣が降ってきた。
　スター・マジンガは星剣・エターナルソードを華麗に受け取り、構える。

　——3体の敵は、一斉にレーザー砲を浴びせてきた！


「いやああああ‼︎    ゴマ！」

「スピカ騒ぐな！　うるせえ！」


　……が、ピンク色のバリアが敵の攻撃を全て跳ね返している。揺れも衝撃もまったく無い。さすがだぜ。
　——さあ、行こうぜ！　反撃だ！


「フン、ならば、3体がかりで殴り、蹴とばせ！　ブチ壊してしまえええ！」


　ライムの憎たらしい声が聞こえた後、機獣レオパルム、泥兵士、木の化け物は、一斉にこっちに迫ってきやがった。
　——スター・マジンガは、星剣を構える。


「「「「「――――超必殺！　閃せん・星光斬せいこうざん‼︎」」」」」


　星剣・エターナルソードは白く輝き出し、満点の星空のように瞬またたく光を振りまきながら、水平方向に敵の3体を斬り飛ばした——！


「ウギャアアアアアァァァァ‼︎」


　——眩いばかりの火花が炸裂する。
　機獣王レオパルム、泥兵士、木の化け物は激しく吹き飛ばされ、大地を揺るがす衝撃音と共に、高層ビルを巻き込み破壊しながら爆発、炎上した。
　——星剣を鞘にしまうスター・マジンガ。


「やったぜ‼︎」

「……ああ！　だが……」


　——あ、あれ⁉︎    ここは……？
　なぜか一瞬でボクらは、外の広場に瞬間移動させられてしまったらしい。
　後ろを振り返ると、スター・マジンガが赤い光となって、彗星のように夜空に飛び去って行くのが見えた。


「あ、ロボが！　ソールさん！　これはどういう事なんだ⁉︎」

「……我々の守護神は、一度の戦闘で助けてくれる回数が限られてるんだ。いつまでも守護神頼みじゃいけない。後は僕たちの力で、切り開かないと！　これは、守護神からの試練なんだ」

「なんだよそれ、ケチくせえなあ！」


　——頼りっきりじゃなく、自分たちの力で切り拓ひらけって事か。大丈夫だ。ボクらの力を信じるんだ。

　ふと、背筋に寒気が走る。誰かが、こっちにゆっくりと近付いてくる。


「いつまでも邪魔しくさりやがって、星光団……。私が直々に、潰してくれる……！」


　遂に出やがったな。

　——ライム‼︎