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チールの企み

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 朝からボス山に行き、家を出した。ボスが家に招いてくれたのでお茶休憩してからユガ村に行く事にした。ボスとチールの話しをしたりしてユガ村に向かう。
 ユガ村で、楽器や練習場など様々な物を出して昼ごはんを食べてピアノ村に帰る。

 ナダの様子も見てみようと、監視カメラ映像を見ると、真面目に畑仕事をして、料理も頑張っていた。そんな様子を見ているから時々オアシスまで野菜を届ける人もいた。ナダも素直にお礼を言って受け取っているし、ナルダさんからも電話で、自分で頑張る事でいい経験になったようで、落ち着いてきたと報告を受けていた。
 ナダは、もぅ大丈夫かもしれない。素直になる事もできたようだし、皆んなと一緒に暮らせる日も近い気がする。

 さて、問題のチールだ。誰も通りかからなくなったから、何も奪えないし、お腹もかなり空いているようだ。
 水を飲んで我慢しているが、まだピアノ村を奪う事や私達に対する怒りの言葉ばかりを言っている。
 芋の苗には気付いたようだけど、こんな不味いもんが食えるか!!と怒鳴っている。
 少しでも反省して、ボスにもエルフ達にも謝罪の気持ちがあれば、畑作りに必要な道具や、調理道具をこっそりと檻の中に入れておこうと思ったけど、それも無理だ。
 
 はぁー、困ったもんだ。先に進みたいのに!!

 ピアノ村に必要な物はだいたい出せたし、手伝いに来てくれている人達もいるし、チールの事は気になるけど、とりあえず先に進む事になった。
 陶器村にいる人達から、歩いて一日ほどの場所にオーガ達が住む場所があると聞いたから、行ってみる事にした。
 多分車なら数時間で着くし、何かあれば帰って来る事にして、ゆきちゃんはルイ君とお留守番にした。
 保育園でお友達と遊ぶのが楽しいらしい。

 ルイ君にチールの監視もお願いして、ワーガ、ナナガ、アルでオーガのいる場所目指して道路を出しながら進んでいく。

 陶器村まで1時間弱、そこから1時間半ほどでそれらしい場所を見つけた。

 ワーガと一緒に話しに行くと、すんなりOKしてくれ、家を出したりしながらそこで一泊する。
 次の日も必要な物を出したり畑作りをしたり、この近くには人間が沢山住んでいる場所があると教えてもらい、話しに行くとオーガと一緒に暮らす事も特に嫌がる事もなかったので、村を広げて一つの大きな村にした。
 ちょうどオーガ達の村と、人間の村の間に川があり交流が出来なかったらしい。橋を数カ所にかけて行き来できるようにしたし、仲良くやっていけそうだ。
 ここは『大川村』に決定!!

 他にも知っている村がないか聞くと、数カ所教えてくれた。

 3日ほどかけて、あちこち回って村を作った。

 ゆきちゃんやルイ君も一緒に先に進む為にピアノ村に向かって走っていると、ルイ君から電話がかかってきた。
『陽菜!大変だ!!チールが水だけしか飲んでなくて、ついに倒れた。』
「今、そっちに向かってる最中。後1時間くらいで着くよ。」
『どうする?中に入るか??』
「ビデオ通話に切り替えて様子を見せて!」
『分かった。…………これで見れるか?』
「うん、映ってる。」

 ピクリとも動かない。
「ルイ君、チールは急に倒れたの?」
『そうだ。急に倒れて動かなくなった。』
「変な所とか、変な行動はなかった?」
『それが、俺もずっと見てたわけじゃないから分からないが、芋の苗が無くなっているんだ。』
「そうか………。私が着くまで中に入らないで!!」
『わかった。』

 少しスピードを上げてピアノ村に急ぐ。

 なんとなく、急に倒れたのが気になる。フラフラしていて倒れたのなら、栄養失調とかかな?と思うけど、昨日映像を見た時はまだ文句を言ったりと元気だった。しかも、数日何も食べてないように見えなかった。

 到着して、チールを見るとただ寝ているように見える。
 多分、監視カメラがどこかにある事は突然誰も来なくなったりした事でわかっていたんだろう。
 水を飲むふりをして芋を食べたりしていようだ。芋のしっぽが流されて檻に引っかかってる。
 ポケットや色んな所にお菓子も隠し持っていたようで、ゴミも檻に引っかかっていた。本当に悪い事を考える天才だ!
 
「チール!元気な事はわかってるから起きなさい!!」
「…………………。」
「お菓子の袋が落ちてるからわかってるんだから!!」
「………チッ!!」
「どーせ、こっそりと持っていたお菓子も無くなって、芋も葉っぱや蔓も食べたから食べる物が無くなったんでしょ!」
「バレたか。俺に死なれるのは嫌だろ?なら、早く飯をよこせ!!」
「……はぁーーー!!別に死んでもいいよ。じゃあね、さよなら!!」
「倒れたのを放っておいたらよかっただろ?見に来たって事は、それが嫌だからだ。」
「確かにそうだったけど、今の言葉を聞いて気が変わった。もぅどうなっても知らないから!」
 本当に人をイラつかせる天才だ!

 とりあえずクールダウンが必要だ。

 皆んなで公民館に戻り、チールの事を話し合う。ボスにも連絡がいっていて、一緒に来てもらう事にした。

「あああああーーー、腹立つ!!!」
「チールは、何も反省していないんだな。」
「死ねばいい!」
 ボスがガッカリしているし、アルはキレている。





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