いきなり異世界って理不尽だ!

みーか

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一目惚れ

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 まだ少し外が明るい頃にナダ達がやって来た。
 快適な家に、美味しい野菜、自分達より良い服を着て、強制じゃなく自分達の意思で働いている人達。
 ナダは、なぜ自分が受け入れられないかわからないようだ。
 外で大声で昨日のように、私に逆らうと生きていけないとか、生活出来なくなっても助けてやらないとかごちゃごちゃ叫んでいる。

 かなり前から、休憩所の影からこっそりと見ていたのは知っていたけど、無視していた。
 休憩にお茶をゴクゴク飲んでいる姿やトマトを丸かじりしている所を羨ましそうに見ていた。

 今日は、ナダ達がここに来ている間にコッソリとオーガ達にオアシスに行ってもらい、ナダに連れて行かれた娘さんを救出してもらっている。見張りもいるかもしれないけど、オーガ達にスタンガンや睡眠薬、縄も渡したし大丈夫だろう。

 一度帰るふりをして、隠れているのも監視カメラにバッチリ映っている。

 しばらくして、オーガ達がとても綺麗な女の子を連れて帰ってきた。お父さんに会えて抱き合って喜んでいた。
 ふと横を見るとハゼドンが恋に落ちる瞬間だった……。一目惚れなんだろう。可能性は無いに等しいけど、頑張れ~ハゼドン!!
 と、失礼な事を思いながら、心中で応援しておく。

 さて、電気柵のスイッチを入れてお風呂に入ってのんびりしようと思ったら、やっぱり畑に入ろうとして電気柵に触ったナダ達の悲鳴が聞こえてきた。

 半泣きになりながら帰っていく姿をカメラ越しに見て、助けに行ったついでに取り付けてもらったオアシスの監視カメラ映像に切り替える。

 お気に入りの女の子がいない事に腹を立てて、部下を殴りつけていた。
 その後も、こんなご飯は嫌だとか、あの美味しいのが食べたいとか、お前ら盗んでこいとか言いたい放題のわがままを言い続けている。

 殴られた見張りの2人が、こっそりと出て行くのもカメラに映っている。

 ワーガにお願いして、その2人を車で迎えに行ってもらう。
 しばらくして2人が帰ってきて、初めてこの場所を見て驚いていた。
 すぐに、行く所もないしここにおいて欲しいと頭を下げてくる。もちろん、OKだ。

 お風呂に入って、寝る前も映像チェックをすると、わがまま放題な王に嫌気がさしたのか、1人以外こっそりと抜け出して行く。
 残った1人は王を1人で残すわけにいかないと、他の人達にここに助けを求めるようにアドバイスをして逃がしていた。
 一緒に行こうと言う周りの人達に、自分はナダのお父さんにもお爺さんにも恩義があるから、たとえ1人でもナダの側にいると言っていた。

 ワーガにまた迎えに行ってもらう。夜も遅いから、そのままマンションで寝てもらう事にした。細かい事は車の中でワーガが説明してくれていたし、そっちの事情は明日聞く事にした。

 次の日、昨夜来たナダの取り巻きが、挨拶に来た。受け入れてくれた御礼と、残った1人タイカさんの事を助けてほしいと言いに来ていた。
 監視カメラ映像を見てみると、誰もいない事にナダが腹を立ててタイカさんを殴りつけ大暴れしている。それでもじっと耐えているタイカさん。見ているのが辛くなるような映像だった。

 朝からご飯をしっかり食べた人達が、それぞれの仕事に行く。昨日来た人達も畑や牧場に分かれて働いてくれる。
 かなりの人数だから、畑も田んぼも広げていかないとダメだ。

 綺麗な女の子はレイナさんと言って、食堂で働いてくれる事になった。ハゼドンが張り切っている。

 私もゆきちゃんと一緒に散歩をしながら、苗を出したり、家を増やしたりしていたら、食堂の方が騒がしい。

 ゆきちゃんを抱っこして駆けつけてみると、ナダが食堂からレイナさんを連れ出そうとしている所だった。ハゼドンが気付いてレイナさんを助けようとしていた。
「この!!レイナは私の妻だ!返せ!!」
「れ、レイナさんは嫌がってる!!」
「うるさい!!黙れ!!!私のものだ!さぁ帰るぞ!!」
「い、嫌です!やめてください!!」
「口答えするな!」
 ナダが手を振り上げレイナさんを殴ろうとする所にハゼドンが入り込んで代わりに殴られてしまった。
 それでも立ち上がりレイナさんを守ろうとしていて、また殴られてしまう。
 やっと畑からワーガ達が騒動に気付いて駆けつけくれ、ナダを追い払ってくれた。
 私も動きたかったけど、ゆきちゃんを抱っこしているから危険な所に行けなかった。ごめんねハゼドン……。

 ナダはギャーギャー喚きながらタイカさんに引きずられ帰って行った。

 口の端が切れて血が出ているハゼドンに駆け寄って、ハンカチで拭いているレイナさん。ごめんなさい、大丈夫?と心配されて、デレデレのハゼドン……。
 こ、これはもしやハゼドンの恋のチャンス!!
 と思ったら、レイナさんの幼馴染だと言うイケメンの男性がレイナさんに向かって怪我はないか?大丈夫か?と駆け寄る。
 …………あ………ダメかな。ハゼドンもガーーーンと言う効果音が聞こえてきそうなほどの絶望の顔になった。気の毒に……。勝ち目無し!!

 とにかく、それぞれの仕事に戻ってもらい。ルールのおじいちゃんにハゼドンの傷の手当てをしてもらった。レイナさんも強く手首を握られ痣になっていた。


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