上 下
137 / 185

リーダー孤立

しおりを挟む
 お肉の焼ける匂いと、タレの甘辛な匂いが辺りに広がる。
 おにぎりや焼きそばも焼いたりしている。ハセドンも気合いを入れて特製カレーを煮込んでくれている。もちろん外で。

 家から出てきて、ヨダレを垂らしながらこっちを見ているけど、無視して皆んなでお腹いっぱい食べる。カレーも出来上がり、もぅ無理~と言いながらも食べてしまった。やっぱり最高にハセドンのカレーは美味しい!!

 オーガのリーダー達はかなりのダメージを受けているようだ。
 今までの大陸のように食べる物が無いわけじゃないし、それなりにお腹も満たされるくらい食べているんだろうが、苦しくて動けない程食べた事はないだろう。そんなにオーガが食べたら、すぐに食料は空っぽになっちゃうから。
 
 まだ明るいから、腹ごなしに畑を作っていく。耕運機で広い畑を作り、苗を皆んなで植える。ほとんどの野菜が実をつけているし、実のなっている果物の木も植えていく。
 畑も果樹園も電気柵で囲って、今日の作業は終わり。
 
 暗くなってから外にオーガの絶叫が響いていた。予想通り、畑を荒らそうとしたのか、野菜泥棒をしようとしたのか………。
 手当てに家に戻っている間に、バスに運転出来る人達を乗せて山のマンションまでいく。
 着いてから車を出しまくり、全員新しい家の方にお引越しだ。
 もちろん、電気柵にマンションのロックも完璧だ!

 マンションに入ってもらい、今日はここで過ごしてもらう事にした。
 私は、ゆきちゃん達と公民館を出してそこで寝る事にする。
 どの家も鍵をしっかりとかけて、防災シャッターを降ろしてガラスも割れないようにした。

 ぐっすり寝て、朝起きたら外にボロボロになったオーガのリーダー達がいた。これまた予想通り、山を見に行き、マンションや畑を見つけて入ろうとして酷い目にあったんだろう。
 そろそろ諦めてくれないかなぁ?

 マンションからも、家からも換気扇から美味しそうな朝食の匂いが流れてくるんだろう、情け無い顔をしてヨダレを垂らしながら座り込んでいた。

 さて、そろそろ交渉してみようかな。

 ワーガとアル、ナナガも一緒に外に出る。

 少し離れた所から話しをする。

「おはようございます。そんな所に座ってどうしたんですか?」
「…………くっ!!お前ら卑怯だぞ!!」
「何が??私達は何もしてませんよ。」
「俺達が畑に入れないようにしたり、仲間を誘拐したりしただろ!」
「畑の作物が荒らされないようにするのは当たり前だし、誘拐なんてしてないですよ。他のオーガさん達は、皆んな私達と一緒に住みたくて、私達の所に来たんです。人間、獣人族、エルフ、ドワーフとも仲良くしたいから一緒にいるんです。」
「そっ、そんな事、あいつらが言うはずない!」
 マンションの窓からそれぞれオーガ達が顔を出して言う。
「俺は、陽菜さんと一緒が楽しいからここに居る。」
「俺達、人間をいじめたりするの嫌だったんだ。」
「皆んな仲良くしたい。」
「リーダーだけが何もせずに良い暮らししてるのが嫌だった!」

「お、お、お前らーー!!俺がどれだけ良くしてやったと思ってるんだ!!」
「「「今までありがとうーー!!」」」
 窓を閉めて防災シャッターを閉めた。

「あ、あの。私達一家はあなたと一緒に住みたいです。」
 ふくリーダー家族がそう言ってきた。
「おい!!お前まで裏切るのか!!」
「私には家族がいるし、子どももいる。オーガである前に、この家族の主人としてより良い方を選ぶのは当然の事だ。」
「……くっ!!」
「いいですよ。でも、これまでのように威張ったりするのは無しです。仕事もしっかりしてもらいます!!」
「わかってます。よろしくお願いします。お前達もいいな?」
「「うん。僕たち皆んなと遊びたかったんだ~!!」」

 ナナガに連れて行ってもらい、公民館でルイ君やリリガにも来てもらい話しをしてもらう事にした。

 後はリーダー1人だけだ。
「私達と一緒に暮らしませんか?」
「断る!!俺はオーガだ!!人間なんかと一緒に暮らせるか!!」
 1人で家に帰って行った。

 さて、今日も仕事を頑張りましょう!!
 畑仕事も、はるな大陸の人達が教えてくれて順調に広くなっていく。
 私も家を出したりマンションも増やしたりして、家族でゆったりと住めるようにしていく。
 食堂も大きなのを出した。ハセドン中心に、料理教室も始まる。
 昼ごはんは、食堂の料理教室で作った物が出された。夜も違うメニューで色々と作るらしい。一応、食堂にはステージも作った。
 オーガ達はダンスが好きらしいし、見るのも楽しい。
 皆んな生き生きと働いている。

 ワーガとゆきちゃんと一緒に山まで行き、マンションを消した。温泉も建物は消して露天風呂だけ残しておいた。畑はそのままにして、電気柵は消しておく。

 帰って新しい温泉を出したり、花を植えたりした。

 晩ご飯も美味しかった!グラタンにシチュー、パン、ハンバーグ、サラダ、おにぎり、うどん、パスタ、味噌汁、豚汁、豚カツ、鯖の味噌煮などご馳走が並んでいた。
 副リーダーだった一家が、受け入れてくれてありがとうと御礼を言いに来て、リーダーは悪い奴じゃないけど頑固なんだと必死に説明していた。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

聖女の紋章 転生?少女は女神の加護と前世の知識で無双する わたしは聖女ではありません。公爵令嬢です!

幸之丞
ファンタジー
2023/11/22~11/23  女性向けホットランキング1位 2023/11/24 10:00 ファンタジーランキング1位  ありがとうございます。 「うわ~ 私を捨てないでー!」 声を出して私を捨てようとする父さんに叫ぼうとしました・・・ でも私は意識がはっきりしているけれど、体はまだ、生れて1週間くらいしか経っていないので 「ばぶ ばぶうう ばぶ だああ」 くらいにしか聞こえていないのね? と思っていたけど ササッと 捨てられてしまいました~ 誰か拾って~ 私は、陽菜。数ヶ月前まで、日本で女子高生をしていました。 将来の為に良い大学に入学しようと塾にいっています。 塾の帰り道、車の事故に巻き込まれて、気づいてみたら何故か新しいお母さんのお腹の中。隣には姉妹もいる。そう双子なの。 私達が生まれたその後、私は魔力が少ないから、伯爵の娘として恥ずかしいとかで、捨てられた・・・  ↑ここ冒頭 けれども、公爵家に拾われた。ああ 良かった・・・ そしてこれから私は捨てられないように、前世の記憶を使って知識チートで家族のため、公爵領にする人のために領地を豊かにします。 「この子ちょっとおかしいこと言ってるぞ」 と言われても、必殺 「女神様のお告げです。昨夜夢にでてきました」で大丈夫。 だって私には、愛と豊穣の女神様に愛されている証、聖女の紋章があるのです。 この物語は、魔法と剣の世界で主人公のエルーシアは魔法チートと知識チートで領地を豊かにするためにスライムや古竜と仲良くなって、お力をちょっと借りたりもします。 果たして、エルーシアは捨てられた本当の理由を知ることが出来るのか? さあ! 物語が始まります。

精霊の森に捨てられた少女が、精霊さんと一緒に人の街へ帰ってきた

アイイロモンペ
ファンタジー
 2020.9.6.完結いたしました。  2020.9.28. 追補を入れました。  2021.4. 2. 追補を追加しました。  人が精霊と袂を分かった世界。  魔力なしの忌子として瘴気の森に捨てられた幼子は、精霊が好む姿かたちをしていた。  幼子は、ターニャという名を精霊から貰い、精霊の森で精霊に愛されて育った。  ある日、ターニャは人間ある以上は、人間の世界を知るべきだと、育ての親である大精霊に言われる。  人の世の常識を知らないターニャの行動は、周囲の人々を困惑させる。  そして、魔力の強い者が人々を支配すると言う世界で、ターニャは既存の価値観を意識せずにぶち壊していく。  オーソドックスなファンタジーを心がけようと思います。読んでいただけたら嬉しいです。

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

異世界に行ったら才能に満ち溢れていました

みずうし
ファンタジー
銀行に勤めるそこそこ頭はイイところ以外に取り柄のない23歳青山 零 は突如、自称神からの死亡宣言を受けた。そして気がついたら異世界。 異世界ではまるで別人のような体になった零だが、その体には類い稀なる才能が隠されていて....

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

処理中です...