105 / 185
宴会の余興
しおりを挟む
見つからないように、そーっと近づいてみる。
部屋の照明の灯りでなんとなく見えるのは、オーガのようだ。
まだ中学生くらいかな。男の子と女の子だった。
しばらく息を殺して、耳を澄ませて会話を聞いてみる。
「腹減った~!もぅ限界だ。人間だけならビビらせて食べ物を奪えるけど……オーガもいるし……。」
「だよねぇ~。やっぱり諦めようよ。勝手に里を抜け出した事がバレたら怒られるよ~!」
「でもさ、あんな綺麗な光を作るんだぜ!絶対悪い奴じゃないと思うんだ。」
「うーん、そうだよね。それは私も思った。……なら、お願いして食べ物もらおうよ!」
「でも、親父達は絶対行くなって言ってたぞ。ドワーフとかエルフとかが最近おかしくなってるから、ヤバイ事になるかもしれないって!」
「それ、お母さんも言ってた。ドワーフやエルフもいるけど、人間や獣人族と楽しそうにしてるよ?」
「だよなぁー!やっぱり悪い奴らじゃないよな!!」
「うん!絶対そーだよ!だから一口でいいから食べ物ちょーだいって頼んでみようよ~!!」
あーだこーだとヤイヤイ言い合っている。時々、ぐーーーきゅるるるるーー!!!と声より大きなお腹の音が響いてくる。
ワーガと目配せして、出て行くことにした。
「こんばんは。こんな所でどうしたの?」
「ひぃっ!!!…………あ………う……。」
「お、俺達…………。くそっ!!俺はオーガだぞ!!に、人間なんか……くっ、食ってやる!!!」
「へぇー、オーガって人間食べるんだ?」
「お、おぅ!!こ、怖いんだぞ!!頭からガリガリって!!」
「そっ、そんなこと言って……やばいよぉ~!!」
そこに、ワーガが出て来る。
「俺もオーガだが、人間を食べるなんて初めて聞くぞ!」
「ぅうわぁーーー!!!」
「何しに来たんだ?」
「ごごごごめんなさいっ!!!!」
「すすすすみませんでした!!」
逃げ出そうとする2人をワーガが捕まえて、公民館の中に連れて行く。
もぅ脂汗びっしょりで震えあがっている。
「はっ放せーー!!」
「お、お願いだから食べないでーー!!!」
「た、食べるなら俺だけに………俺だけにしろーー!ぅわーーーん!!」
可哀想なんだけど……なんとも微笑ましくて笑えてくる。
他の皆んなも同じようで、ニヤニヤしている。
そのままナナガとワーガがシャワー室に連れて行って洗ってくれる。シャワー室の中から、ぎゃーーー!!!とか、ひぃーーー!!!とか悲鳴が聞こえてきた。
しばらくして、ピカピカになった2人が甚平を来て出てきた。
「き、綺麗にして食べても、お、美味しくないぞ!!」
「……もぅ……終わりだよ……。お母さん、言う事聞かなくてごめんなさい。うっ……うっ……。」
皆んな大爆笑だった。……ごめんね2人とも。お酒も入ってて、余興みたいになってしまってる……。
さすがに気の毒だったから、説明をする。
「だから食べたりしないし、怒ったりしないから。安心して!ねっ!!」
「ほ、本当か?」
「もちろん。よく見て!オーガも人間も皆んな仲良くしてるでしょ?いじめたり食べようとしてるように見える?」
「み、見えません……。」
「でしょ?あんまり2人が怖がってるから、からかったんだよ。」
「おぅ、そーだ!!何もしねーよ!」
「こっちに来て座って。一緒に食べよう!」
ニコニコと声をかけられて、恐々と席についた。
お皿にポテトサラダや唐揚げ、おにぎりなどを取り分けてもらって、食べなさいと促される。
少し悩んでいたけど、一口食べ、それからはすごい勢いで食べていった。
「うううんめーーーーー!!!」
「な、なにこれ!!止まらない!!」
次々と皿に乗せてもらうが、あっという間に消えていく。
気持ちのいい食べっぷりだ。ハゼドンが嬉しそうに見ている。
30分ほど夢中で食べていた。
「はぁーー、もぅ食えない!!」
「美味しかったぁー、お腹苦しい~!!」
話しを聞こうと近づくと、ハッとした顔をして、
「も、もしかして、太らせて食べる気か??」
「えぇ、やっぱりたべられちゃうんだぁーーー!!ぅわーーん。」
いやいや、最初人間を食べるとか言ってたの、そっちだから……。心の中でつっこんでから、優しく話しかける。周りの人達は、クスクスと笑って楽しんでる……。
「そんな事しないよ。私は人間だし、オーガと仲良しだよ。名前は、陽菜。あなた達は?」
「……ご、ごめん。俺はキガ。」
「わ、私はラナガ。」
「キガにラナガね!よろしく!!私達は、この辺りの山に住んでる人達がいないか探しに来たんだ。もし、食べ物が少ないようなら、一緒に村を作って暮らそうと思ってるんだ。」
「本当に?また、こんなご馳走食べる事ができるの??」
「もちろん!そのかわり、自分達で畑を作ったりして働いてもらう。私達が用意するのは、住む家と服、働く場所。頑張れば沢山食べ物は作れるし、他の村からも運んでくるよ。」
「す、すげーーー!!!こんな所に住めるのか?」
「うん。約束する。」
その日は公民館に泊まってもらった。ふかふかの布団に感動して大騒ぎしていた。
朝ご飯をお腹いっぱい食べて、ニコニコしていたが、内緒で出てきて親に叱られるとガタガタと震え始めた……。
ドーガや数人のオーガにキガとラナガを連れて里まで話しをしに行ってもらった。
部屋の照明の灯りでなんとなく見えるのは、オーガのようだ。
まだ中学生くらいかな。男の子と女の子だった。
しばらく息を殺して、耳を澄ませて会話を聞いてみる。
「腹減った~!もぅ限界だ。人間だけならビビらせて食べ物を奪えるけど……オーガもいるし……。」
「だよねぇ~。やっぱり諦めようよ。勝手に里を抜け出した事がバレたら怒られるよ~!」
「でもさ、あんな綺麗な光を作るんだぜ!絶対悪い奴じゃないと思うんだ。」
「うーん、そうだよね。それは私も思った。……なら、お願いして食べ物もらおうよ!」
「でも、親父達は絶対行くなって言ってたぞ。ドワーフとかエルフとかが最近おかしくなってるから、ヤバイ事になるかもしれないって!」
「それ、お母さんも言ってた。ドワーフやエルフもいるけど、人間や獣人族と楽しそうにしてるよ?」
「だよなぁー!やっぱり悪い奴らじゃないよな!!」
「うん!絶対そーだよ!だから一口でいいから食べ物ちょーだいって頼んでみようよ~!!」
あーだこーだとヤイヤイ言い合っている。時々、ぐーーーきゅるるるるーー!!!と声より大きなお腹の音が響いてくる。
ワーガと目配せして、出て行くことにした。
「こんばんは。こんな所でどうしたの?」
「ひぃっ!!!…………あ………う……。」
「お、俺達…………。くそっ!!俺はオーガだぞ!!に、人間なんか……くっ、食ってやる!!!」
「へぇー、オーガって人間食べるんだ?」
「お、おぅ!!こ、怖いんだぞ!!頭からガリガリって!!」
「そっ、そんなこと言って……やばいよぉ~!!」
そこに、ワーガが出て来る。
「俺もオーガだが、人間を食べるなんて初めて聞くぞ!」
「ぅうわぁーーー!!!」
「何しに来たんだ?」
「ごごごごめんなさいっ!!!!」
「すすすすみませんでした!!」
逃げ出そうとする2人をワーガが捕まえて、公民館の中に連れて行く。
もぅ脂汗びっしょりで震えあがっている。
「はっ放せーー!!」
「お、お願いだから食べないでーー!!!」
「た、食べるなら俺だけに………俺だけにしろーー!ぅわーーーん!!」
可哀想なんだけど……なんとも微笑ましくて笑えてくる。
他の皆んなも同じようで、ニヤニヤしている。
そのままナナガとワーガがシャワー室に連れて行って洗ってくれる。シャワー室の中から、ぎゃーーー!!!とか、ひぃーーー!!!とか悲鳴が聞こえてきた。
しばらくして、ピカピカになった2人が甚平を来て出てきた。
「き、綺麗にして食べても、お、美味しくないぞ!!」
「……もぅ……終わりだよ……。お母さん、言う事聞かなくてごめんなさい。うっ……うっ……。」
皆んな大爆笑だった。……ごめんね2人とも。お酒も入ってて、余興みたいになってしまってる……。
さすがに気の毒だったから、説明をする。
「だから食べたりしないし、怒ったりしないから。安心して!ねっ!!」
「ほ、本当か?」
「もちろん。よく見て!オーガも人間も皆んな仲良くしてるでしょ?いじめたり食べようとしてるように見える?」
「み、見えません……。」
「でしょ?あんまり2人が怖がってるから、からかったんだよ。」
「おぅ、そーだ!!何もしねーよ!」
「こっちに来て座って。一緒に食べよう!」
ニコニコと声をかけられて、恐々と席についた。
お皿にポテトサラダや唐揚げ、おにぎりなどを取り分けてもらって、食べなさいと促される。
少し悩んでいたけど、一口食べ、それからはすごい勢いで食べていった。
「うううんめーーーーー!!!」
「な、なにこれ!!止まらない!!」
次々と皿に乗せてもらうが、あっという間に消えていく。
気持ちのいい食べっぷりだ。ハゼドンが嬉しそうに見ている。
30分ほど夢中で食べていた。
「はぁーー、もぅ食えない!!」
「美味しかったぁー、お腹苦しい~!!」
話しを聞こうと近づくと、ハッとした顔をして、
「も、もしかして、太らせて食べる気か??」
「えぇ、やっぱりたべられちゃうんだぁーーー!!ぅわーーん。」
いやいや、最初人間を食べるとか言ってたの、そっちだから……。心の中でつっこんでから、優しく話しかける。周りの人達は、クスクスと笑って楽しんでる……。
「そんな事しないよ。私は人間だし、オーガと仲良しだよ。名前は、陽菜。あなた達は?」
「……ご、ごめん。俺はキガ。」
「わ、私はラナガ。」
「キガにラナガね!よろしく!!私達は、この辺りの山に住んでる人達がいないか探しに来たんだ。もし、食べ物が少ないようなら、一緒に村を作って暮らそうと思ってるんだ。」
「本当に?また、こんなご馳走食べる事ができるの??」
「もちろん!そのかわり、自分達で畑を作ったりして働いてもらう。私達が用意するのは、住む家と服、働く場所。頑張れば沢山食べ物は作れるし、他の村からも運んでくるよ。」
「す、すげーーー!!!こんな所に住めるのか?」
「うん。約束する。」
その日は公民館に泊まってもらった。ふかふかの布団に感動して大騒ぎしていた。
朝ご飯をお腹いっぱい食べて、ニコニコしていたが、内緒で出てきて親に叱られるとガタガタと震え始めた……。
ドーガや数人のオーガにキガとラナガを連れて里まで話しをしに行ってもらった。
73
お気に入りに追加
386
あなたにおすすめの小説

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
スキル盗んで何が悪い!
大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物
"スキル"それは人が持つには限られた能力
"スキル"それは一人の青年の運命を変えた力
いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。
本人はこれからも続く生活だと思っていた。
そう、あのゲームを起動させるまでは……
大人気商品ワールドランド、略してWL。
ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。
しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……
女の子の正体は!? このゲームの目的は!?
これからどうするの主人公!
【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

転生先ではゆっくりと生きたい
ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。
事故で死んだ明彦が出会ったのは……
転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた
小説家になろうでも連載中です。
なろうの方が話数が多いです。
https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる