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 川向こう村に行こうと思って、ふと海の事を思い出した。
 シェアハウスにいる人達を誘って海まで行ってみる。
 
 砂浜にエルフが倒れている。
 大急ぎで駆け寄ってワーガに運んでもらう。
 近くに出していた脱衣所に寝かせて、その横に休憩所を出す。
 男性のエルフだったのでライルさんに任せて、湯で体を拭いて着替えさせてもらい、休憩所に布団を敷いてワーガに運んでもらう。
 しばらくすると、目を開けた。
「ここは?俺は……陸に着いたのか?」
「大丈夫、ここは陸です。あなたは、砂浜で倒れていたんですよ。」
「………あっ!!助けてください!もぅ限界なんだ……たっ助け……。」
「急に起きたらダメですよ。とりあえず、これ飲んでください。」
 経口補水液を渡して飲ませ、ゼリー飲料も渡す。
 ハゼドンがお粥を作ってくれ、食べてから必ず話しを聞くからと、とりあえず食べてもらう。

 食べ終わり少し落ち着いて、話しを聞く事にした。

「ここからは見えないけど、海の先に島があるんだ。流された人達や、里から追い出され、戻れないように海に流される人もいる。大きな島でなんとか木の実や魚を捕まえたりして暮らしてた。でも、急に島の木が枯れて、魔物が飛んでくるようになった。もぅギリギリの生活をしていたら、この前空がピカピカ綺麗に光ってるのが見えて、あれだけ綺麗な物を作れる人達がいるなら俺達も助けてくれるんじゃないかって話しになったんだ。俺が1番泳ぎが得意だったから、助けを呼んでくる事になって……。でも、途中で力が出なくなって溺れてしまった。」
「無事で良かったね。空に光ったのは花火っていうので、私達が上げたんだよ。だから、安心して!仲間を助けに行こう!!」
「本当に??…良かった……、ありがとう。」
 
 海まで行って、沖まで橋を出して、そこに大きな船を出す。
 ゴーガが一緒で良かった!船の運転が出来るから、任せる。
 皆んなで乗り込み進む。その間に、食料不足だと聞いたからゼリー飲料や経口補水液、ジュースなどを出しておく。
 1時間ほど進むと島が見えてきた。
「あっ、あの島だ!おーい、おーい!!」
 近くに船を止めて、島に降りた。
 船の中で虫除けスプレーを塗り、蚊取り線香やハッカ油のスプレーを服にかけたりしておいたから良かったが、蜂や蚊の魔物がぶんぶん飛んでいる。船の上も蚊取り線香だらけにしてあるし、蜂の駆除剤もあちこちに置きながら進む。毒餌に誘き寄せられ蜂がどんどん毒餌を巣に運んでいる。
 しばらく進むと洞窟があり、この中に皆んないるはずだと進むが、誰もいない。

 かなり奥まで進むと、やっと人の気配がする。今まで、こんな奥まで入ってなかったらしい。
 懐中電灯を奥に向けると、皆んな起き上がれないようで、そこら中に横になっている。
 大きなライトを出してあちこちから照らす。近くの人に駆け寄ると虫刺されの跡があり毒虫用の薬を塗って、ゼリー飲料を飲ませる。 
 皆んなで手分けして、薬を塗ってゼリー飲料や経口補水液を飲ませて回る。
 100人くらいの人がいるが、まだほとんど動けるような状態じゃない。症状の重い人から、ワーガ、ゴーガ、3バカトリオ、ダンドンさん、ライルさん、ルイ君に運んでもらう。
 車椅子を出したので、ルイ君でも運ぶ事が出来る。
 ここに来るまで道路を出して、道路脇には街灯も出してあるからなんとかスムーズに進む事が出来る。
 あっ!車を出せばもっと早く運べる……。
 戻ってきたワーガとゴーガに、自衛隊の車の裏に寝かせてもらう。一度に10人は運べる。
 戻ってきた、ルイ君達に運転してもらい、ワーガとゴーガは車に乗せる係になってもらった。

 ハイドンは、運転手を送る係で、何度も往復してもらう。
 乗せ終わったワーガとゴーガと一緒に浜まで出て、車ごと船に乗り込んでもらった。
 連絡船みたいな感じで車も乗り込めるような船にして正解だった!
 船までは、大きな橋を出してある。
 全部の車を積み終わり戻る。

 船から車ごと降ろし、そのままトンネル村まで運んでもらう。トンネル村のホウガに携帯を渡してあり、電話で運転出来る人を海の方に道路を辿って来てくれるようにお願いしたから一度に全員運ぶ事ができた。

 なんとか動けるようになってきた人達は、介助を受けながらシャワーを浴びてもらい、虫刺されの所を特に綺麗に洗い流す。

 もう一度薬を塗って、公民館の和室に布団を敷いて寝てもらう。
 食事ができそうな人には、ハゼドンがお粥やうどんなど、消化の良いものを作ってくれ、食べてもらった。

 全員が公民館に入って、食事が終わった人達から話しを聞く。 

 洞窟の中まで魔物が入ってきて、奥へ奥へと逃げていたら、行き止まりになり、数匹付いてきていた魔物に刺されて、食料も飲水もなく動けなくなっていた。
 助けに来てくれて、ありがとうと涙ながらに感謝された。

 間に合って良かった。もぅ1日でも遅かったら危なかったかもしれない。
 3バカトリオは、公民館に泊まり込んでお世話をしてくれる。
 川向こう村も心配だし、そろそろ一回ハルー村にも帰らないといけない。携帯も渡したいし、ライルさんも子どもに会いたいだろう。
 
 川向こう村には、今日携帯を届けてもらい、状況を聞いたら、なんとかなっているようだった。オーガの里の人達が、かなりフォローしてくれている。
 
 


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