上 下
80 / 185

悲しい現実

しおりを挟む
 シェアハウスに戻ると、真っ暗になっている。
 準備して、打ち上げ花火を上げた。

 シェアハウスに戻り、晩ご飯を食べたりお風呂に入ったりしていると、窓から灯りが見える。
 外に出てみると、エルフやドワーフ、オーガが来ていた。
 やっぱり、ここら辺にも暮らしてる人がいたんだ!
 来たのはリーダーばかりのようで、確認に来たらしい。8人のリーダーが来ていた。

 脱衣所と温泉を出して、着替えてもらい、シェアハウスに入ってもらった。
 ハルー村などの写真を持って来ていて、どんな風に暮らしているか説明をする。

 やはり、私を見て人間だからと下に見るリーダーが多かったし、まだ人間は奴隷として扱われていた。
 でも、この家や写真を見てビックリしている。まず、写真に私が写っている事にビックリしていて、どうなっているのかと、持ち上げたり裏返したりとザワザワしていた。

 デジカメで、ここにいる人の写真を撮って、プリンターで出して見せると大騒ぎになったが、納得はしてくれた。

 人間の奴隷を解放して、人種関係なく仲良く暮らしてくれるなら写真のような生活を保証すると約束する。

 まだ納得出来ないようなので、食べ物作戦だ!
 ご飯の残り物や、車に積んできた果物、ご飯を炊いておにぎり、麦茶にジュース、私が出したパンやサンドイッチ、山盛りの唐揚げも用意した。

 ワーガが食べてみせて、リーダー達に勧める。
 恐る恐る手を伸ばして食べてみて、目を見開き固まっている。
 その後は、もぅ話す事もなく食べるのに夢中だ!
 全ての皿が空っぽになって、飲み物も飲み尽くしてから、一斉に私に頭を下げて
『よろしくお願いします!!』
 と、大合唱。

「はい、わかりました。絶対に奴隷の人達も連れて来てくださいね。それと、これからは奴隷じゃなくなります。それも他の人達に理解してもらってください!理解できない人には出ていってもらいます!!」
「わ、わかりました。しっかり説得してきます。」
「俺も、言い聞かせてきます!」
「あ、あの、わしらの村は、人間じゃなく獣人族を奴隷にしていたんだが……。獣人族は奴隷のままでいいか?」
「……。ダメです!獣人族も人間も奴隷にしていい人なんていないんです。どんな種族でも大切な仲間として受け入れます。もちろん、仕事は誰にもしてもらいます。奴隷はもぅいませんから、しっかりと全員で働いてください。」
「は、はいっ!!」

 夜だけど、そのまま帰ってもらった。なんとなく、ダンドンさん達の奴隷よりも酷い扱いをされてそうな気がする。気のせいならいいんだけど、なんとなく嫌な予感が……。
 さっきから、念の為に蚊取り線香や、蟻の駆除剤を外に出しておいたら、蚊の魔物が数匹落ちていた。
 リーダー達には、虫除けスプレーや蚊取り線香など、持てるだけ持って帰ってもらった。

 次の日、ルイ君とダンドンさんに頼んで畑を作ってもらう。
 それから、ゴーガにオーガの里から応援を呼んで来てくれるように頼んだ。ひたすらトンネルを走ればいいから一時間半ほどで帰れるだろう。

 私は、シャワールーム、家や公民館、デパートの避難所、大量の服やタオル、靴などを出していく。
 食料も出して、リリガとライルさんに料理をお願いした。

 私は、ワーガと少し先に進んでみる事にして、車に乗り込み、道路を出しながらひたすら走ってみる。
 一時間ほど走ると、広い川があり反対側に人が集まっていた。
 橋を出して渡ると、やはり川が越えられず花火が気になったが来れなかったようだ。
 時間もないから、そこで説明をして、来たい人達は橋を渡って来るように言う。

 橋を10分毎に3つ出して、ここまでの道路の近くにもマンションやアパート、住宅などを出しておく。
 川の近くに出したから、皆んなビックリして、興味を持ったようだ。
 大量のおにぎりや、パン、果物を出しておく。
 ここに来るまでに、蟻の駆除剤を車から放り投げながら進んだ。帰りは時々蚊取り線香を出して火をつけておく。
 とりあえず今日は、これで精一杯だ!
 早く帰ろう……。もぅ来てる人がいるかもしれない!
 
 ワーガとシェアハウスに到着すると、オーガの里から応援が続々とバスで到着していた。
 
 避難所の中を整えて、布団を出したり、シャワールームやランドリー、トイレなどを出していく。

 外がざわざわし始めたので、出てみると、奴隷の人達が縄で繋がれて、ボロボロの布を腰に巻いただけの姿でヨロヨロしながら60人ほど縄で引っ張られながら歩いてきていた。

 体には傷があり、ガリガリに痩せている。髪の毛も髭も伸び放題で、女の人も腰の布一枚、明らかにドワーフと人間の子どもだろうと思われる人も縄に繋がれている。妊娠中だと思われる人もいる。

 オーガの里の人達も、悲鳴をあげながら駆けつけていた。
 急いで縄を解き、ドワーフを放置して人間からお風呂に入れる。
 着替えてもらって、傷の手当てをしていく。

 ダンドンさんがリーダーのドワーフに話しを聞いているが、ドワーフ達は、奴隷が先に綺麗にされ、食事をしている事が不満だと怒り出した。
 リーダーのドワーフは、一応説得しようとしているが、全く聞いていない。

 ダメだ……怒りでブチギレそうだ!傷のない人は1人もいなかった。涙も出ないほど疲れきって、諦めている。

 これは、ダメだ。ここで一緒になんて無理だ。
 オーガの里にバスで連れて行ってもらう事にした。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

異世界に行ったら才能に満ち溢れていました

みずうし
ファンタジー
銀行に勤めるそこそこ頭はイイところ以外に取り柄のない23歳青山 零 は突如、自称神からの死亡宣言を受けた。そして気がついたら異世界。 異世界ではまるで別人のような体になった零だが、その体には類い稀なる才能が隠されていて....

精霊の森に捨てられた少女が、精霊さんと一緒に人の街へ帰ってきた

アイイロモンペ
ファンタジー
 2020.9.6.完結いたしました。  2020.9.28. 追補を入れました。  2021.4. 2. 追補を追加しました。  人が精霊と袂を分かった世界。  魔力なしの忌子として瘴気の森に捨てられた幼子は、精霊が好む姿かたちをしていた。  幼子は、ターニャという名を精霊から貰い、精霊の森で精霊に愛されて育った。  ある日、ターニャは人間ある以上は、人間の世界を知るべきだと、育ての親である大精霊に言われる。  人の世の常識を知らないターニャの行動は、周囲の人々を困惑させる。  そして、魔力の強い者が人々を支配すると言う世界で、ターニャは既存の価値観を意識せずにぶち壊していく。  オーソドックスなファンタジーを心がけようと思います。読んでいただけたら嬉しいです。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。

処理中です...