いきなり異世界って理不尽だ!

みーか

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彼氏

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 楽しいお喋りの時間を過ごし、解散しようとした時に友達が私の腕を変な顔で見ている。
「ねぇ、陽菜。そのブレスレットってオモチャだよね?なんでそんなのしてるの?」
「あっ、うん。なんか部屋に落ちてて、なんとなく着けたままにして忘れてた。」
「そっかぁ、さすがにちょっと恥ずかしいから外したら?」
「あぁ……うん。まぁ服で見えないし、帰ってから外すよ。誰のかも分からないし。」
 なぜか、外したくない。それに、オモチャだって皆んな喜んでくれたし、大切にしてくれてた。
 ……皆んな……って誰?
 何か思い出しそうなのに……。

 家に着いて、ブレスレットを見ながら何か思い出せそうなモヤモヤした気分になる。
 でも、思い出そうとすると頭が痛くなる。
 明日は休みだし、本物のブレスレットでも買いに行こうかなぁ。
 明日の事を思いながら布団に入って、うとうとしていると夢の中で誰かが私の名前を呼んでいる。
『陽菜!起きて!!』
『ご主人様、起きてください!』
『陽菜さん!』
『お姉ちゃん、起きてよー!』

 あっ、ルイ君にワーガ、ファーナさんとファーファちゃんの声だ……。
 どうしたんだろう……また何かあったのかな?
 起きなきゃ……、皆んなが待ってる。
 ハルー村に帰らなきゃ!と思った瞬間、黒いモヤが広がって不気味な声が響く。

「ふふふ、楽しい夢の続きが待ってるよ~。さぁ、ゆっくりと眠れ!!」

 目を覚ますと、涙が出ている。
 何か大切な夢を見ていたような気がする……。
 夢を思い出そうとすると吐き気と頭痛が襲ってくる。

 風邪でも引いたかなぁ?かなり寒くなってきたし、今日はゆっくりと寝てよう…。明日は仕事だし治さなきゃ!
 とりあえず起きて、朝ご飯を食べ風邪薬を飲んで布団に入る。
 熱はないけど、体が怠い。

 うとうとしていると、また声が聞こえてくる。

『陽菜、どうしたんだ?起きてくれ!』
『陽菜、嫌だよ!またお泊まり会しようよ!』
『姐さん!!』

 んー、誰?

『陽菜、わしじゃ!早く起きろ!!帰れなくなるぞ!!』

 あっ神様?

 目が覚めると強烈な吐き気がした。
 また夢を見てた……。何の夢だったんだろう。
 気持ち悪い……吐きそうだ。

 
 それから1か月が経ち、友達から紹介された彼と付き合う事になって毎日幸せだ!
 とてもカッコイイ人で、優しくて私には勿体ない素敵な彼氏だ。
 
 仕事もプライベートも充実して、幸せで満たされているはずなのに、まだ何か忘れてる気がする。不安な気持ちが消えない。
 いったい何だろう……。

 毎晩、彼から電話がきて、その時は満たされた幸せな気持ちになるけど、必ず夢を見る。起きたら忘れるのに、すごく懐かしいし大切な物に囲まれている夢。
 
 今日は土曜日で、彼とのデートだ。オシャレをして出かけようとして机の上に置いてあるオモチャのブレスレットが目に入る。
 何故か分からないけど、ブレスレットを着けて出かけた。
 
 彼は家の前まで車で迎えに来てくれて、今日は少し遠出する予定だ。
 途中、パーキングに止めて休憩して、飲み物を買って車に戻る。
「はい。運転ありがとう!珈琲買ってきたよ。」
 運転席側のドリンクホルダーに珈琲を入れると袖からオモチャのブレスレットが見えてしまった。
「陽菜ちゃん、それ何?オモチャに見えるんだけど……大切な物?」
「えっ?あっ、うーん…よく分からないけど大切な物のような気がして……。」
「……へぇ~。前の彼に貰った…とか?」
「違う違う。お付き合いするのは初めてだし……。」
「ふーん。なんだか妬けるなぁ~。今日、新しいのをプレゼントするから、そのブレスレットは着けないでほしいな。」
「あっ、うん。……でも、このブレスレット見てたら何か大切な事を思い出せそうだし、オモチャだけど、すごく大切なような気がして……。」
「そぅ……。でも、やっぱり俺以外の人から貰った物は、嫌だな。」
「あっ、ごめんなさい。」
「俺が外して捨ててあげようか?」
「えっ?今日帰って外すから大丈夫だよ。」
「他の男からのプレゼントじゃないなら、今、外してほしいな。」
「……うん。分かった。」
 ブレスレットを外そうとすると、指がビリビリする。
 やっぱり外したらダメな気がする……。何でか分からないけど、このブレスレットは着けてなきゃいけないと思ってしまう。
「やっぱり、失くしてしまいそうだし着けててもいい?なんか腕が落ち着かないような気がして……アハハ。」
「そうなんだ……。そんなに大切な物なんだ。俺よりも大切なんだね……。」
「あっ……、ごめんなさい。そんなつもりじゃなくて……。ただ腕にしっくりくるというか……。」
「ちょっと待ってて!」
 車から降りて、お店に入って行った。
 怒らせたかなぁ。でも、このブレスレットだけは絶対持ってなきゃダメだと思える。

「……陽菜……、聞こえ……は……お…」
 
 ん?今何か聞こえた気がする。このブレスレットから……?
 ブレスレットに向けて話しかけようとした時に、彼が戻ってきた。
「お待たせ。はい、これプレゼント!」
「えっ?」
「開けてみて!」
 小さな紙袋から出てきたのは、可愛いブレスレット。子どものオモチャより少ししっかりした中学生や高校生が着けるような綺麗なブレスレットだ。
「こんなのしか無かったから…。」
「あっ、ありがとう!!」
「着けてみてよ。」
 反対の手首に着けようとすると、オモチャのブレスレットを外して彼が着けてくれると言う。
「あっ、でも……」
「そんなに大切なの?俺からのプレゼントより?」
「あっ………、せっかくのプレゼントだもんね。ごめんなさい。」
 ブレスレットを外そうとしたら、彼が無理矢理引っ張って取ろうとする。
「やめて!壊れる!!」
「いいじゃないか、新しいのがあるし。」
「嫌!!」

 彼の手を振り解こうとした時、すごくカッコイイ青色の人が現れた。

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