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ワーガ

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 しっかりと寝て、朝ごはんを食べて外に出るとワーガが片膝をついて玄関前にいた。
「おはようございます。陽菜様!……あのぉー、ご飯を食べてからの記憶がないのですが、知りませんか?」
「……。酔っ払って寝てしまっただけ。」
「そうかぁ。すごく良い夢をみたような気がします。」
「よ、良かったね。」
「はい!今から何をしましょうか?下僕の俺に命令を!!」
「畑に行って、仕事を覚えて来てください。」
「分かりました!!」
ビュン!!

 朝から疲れる。さて、牧場に行って連れて行く動物を選んでもらおう!

 牧場で全ての動物を数匹づつ選んでもらい、小さな柵に入れて分けてもらう。
 嫌だけど、畑の様子を見に行った。
 とても真面目に一生懸命畑仕事を覚えようと頑張っている。
 よし、果樹園に様子を見に行こう!と、車に乗ろうとしたら目の前にワーガがいた。……瞬間移動ができるのか??
「陽菜様!!俺を見に来てくれたんですね!ご褒美に踏んでください!!はぁはぁ。」
「いや、違うから。いつも全ての場所を見回る事にしているだけ!」
「さすがは陽菜様!!……その目が………あぁ!ご主人様ーーー!!」
「いや、ご主人様じゃないし!!いちいち来てくれなくていいから。仕事中でしょ?」
「ご主人様を見かけると体が勝手に動くのです!」
 アホなやり取りを畑仕事中の皆んなが、めっちゃドン引きして見ている。
「もぅ!皆んな見てるからやめて!!」
 つい怒鳴ってしまう。
 あぁ、うっとりしてる……。ダメだこりゃ。
 他の人も気の毒そうに私を見ている……。

「はぁー、ワーガ仕事頑張ってね。じゃあ皆さんこの変態をよろしくお願いします。」
「変態………なんて、なんて良い響きなんだ!!俺、変態として頑張ります!!」
「あーはいはい。頑張ってください。」
 果樹園に行き様子を見て、オーガの里にどれだけ持って行っても大丈夫か聞いてみる。昨日のワーガの食べっぷりを見ていた人が、この前持って行った所だし、あのオーガ、一食分くらいしか無いと言っていた。
 
 薬草畑にも行って薬草の苗を少しづつ分けてもらった。
 食欲を抑える薬とかないだろうか……。
 オーガの里の畑で収穫できるまで持てるのか??毎日少しは採れるけど、全く足りていない。

 海があるんだから船を出して魚を捕ってきたらどうだろう!
 大きな生け簀を里に作って、ワーガ辺りに海に海水を汲みに行かせたらなんとかなるような気がする!ワーガ担当にしたら、しっかりやってくれそうだし、私から気持ちが離れるかも……!これは一石二鳥だ!!
 
 昼に、一度避難所に集まってもらう。アヤナンさんに放送をお願いした。

「皆さん、忙しい時にすみません。知ってる方もいますが、オーガの皆さんはすごくよく食べるんです。ここより大きな畑と果樹園を作って来ましたが人数が少ないので大変です。手の空いてる人で、しばらくオーガの里に手伝いに来てくれる方いませんか?」
 独身の男性、女性の目がキラーンと光る。数人はワーガを見ている……見た目はいいけど変態ですよ~!
 
 まぁまぁの人数が集まった。明日の朝出発するから準備してほしいと伝える。

 ルイ君にお願いして、バスを出してもらう事にする。今回、サーフ君はお嫁さんと一緒に来てくれる事になった。サーフ君にもバスの運転をお願いした。ダンドンさんにもバスの運転を練習してもらう。エルフの数名にもお願いした。
 今回も、持っていける食べ物は全部積んで用意する。
 トラックの運転手は、ワーガにお願いする。私は助手席。同じ車がいいとワーガが絶対に譲らなかった……。 本当にめんどくさい変態だ!
 
 今回、ケーキ屋のレールさんもパン作りを教えに来てくれる。食堂からも数名が来てくれることになった。

 今日は、早く寝て朝1番に動物達を積んで出発だ!

 夜ご飯を食べて、銭湯で疲れを癒やして家に帰ろうと車に乗り込むと荷台に変態発見!!
「何してるの?」
「もちろんご主人様の護衛です!」
「いやいや、必要ないから!どっちかとゆーと1人の方が安全です!」
「何があるか分かりません!俺が守ります!!」
 聞いちゃいない!
 仕方なく荷台に積んだまま家に帰る。
「ほら、無事に着いたから帰っていいよ!」
「いえ、寝ている間に何かあるかも……。一晩中ここで見張ります!」
「……家の鍵をかけるから大丈夫。」
「はい。ご主人様はしっかりと寝てください。俺はここで見張ります!」

 ダメだ。話しが通じてない。
「ワーガ、じゃあ中に入って見張ってて。」
「……はいっ!!!!」
 めんどくさいから、お酒飲ませて空いてる部屋に放り込もう。

「はい、これどうぞ!」
 コップに梅酒の水割りを入れて出す。
 パァーーっと顔を輝かせて、ありがたき幸せ~とかなんとか言いながら一気飲みした……。あ、ヤバイ。急性アルコール中毒になったらどうしよう……。

「ご主人しゃま、俺、おいひぃのたくひゃんで、しゃあわせでっしゅ!」
 抱きついてきて、そのまま寝てしまう……。
 重たいよぉ~。床に下ろして引きずって布団に転がしておく。
「ご主人しゃまー、ごはーん……むにゃむにゃ。……でへへへ…。」
 夢を見ているらしい……。

 はぁー、精神的に疲れた。早く寝よう。
 もちろん部屋に中から鍵をかけて寝た。


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