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11.奴隷
しおりを挟む この町、名前はムウリカ。辺境に近いため城壁のような石積みの壁に囲まれた、この辺りでは中くらいの町。冒険者ギルドは町の中心よりも南に続く門に近い方にあった。
看板も町の中に溶け込むようにあり、建物に厳しい雰囲気はない。
町の中の食堂のような佇まいで、二階以上は宿屋のような作りに見える。
このギルドでは、森の中で倒した魔獣も何頭か買取に出すつもりだ。
扉は建物に対して少し大きめ。ドアノブはついてないタイプか、外からも内側からも押して開けるようになっている。
肩で扉を押して入る。
入ったのが昼前だったからか、そう広くないフロアーも閑散としていた。
どこでも看板が同じように、内装も同じなんだろうか、フロアーの奥にはカウンターが据えられていて、天井からは案内板がぶら下がっている。
意識しないで見ると模様に見える案内板も、意識してみるとその模様が意味のある文字として頭の中に入ってくる。
入り口に一番近いところには、「依頼窓口」と書かれている。その隣には1番、2番と書かれている。そして1番奥に「買取窓口」とあった。
今回の用事は、魔獣を売る事と、この辺りの依頼事情を探る事。
まず買取窓口に魔獣を売りに出す。ストレージから直接出すと驚かれることも多いので、この国でもそれなりに冒険者の中で出回っているらしいマジックバックと呼ばれるカバンを使っているフリをして、この辺りで中級と言われるくらいの冒険者がよく狩っている、魔獣を数匹カウンターに置いた。
この買取窓口の受付は、女の子ではなくガタイのいいおじさんだった。
「んっ!」
やたら無口なおじさんで、一言唸って手を出すだけ。
「?……あぁ、ギルドカードね」
今回買い取ってもらう魔獣はこの辺りで常時討伐依頼が出ているはず。ギルドランクをあげる時にも討伐ポイントは結構重要で、依頼を受けての討伐の方がポイントは高いが、常時討伐でもポイントはつく。
俺はともかくキールはこれ以上ランクを上げる気はないが、その気があるフリはしないと、駆け出しの冒険者でそれは変に目立ってしまうから。
無口なおじさんは何も言わずに俺が出した魔獣を、カウンターの後ろにある扉から外に出て行った。その際には引き換え用なのか模様が描かれた使い古された木札を渡された。
査定は少し時間が掛かりそうだ、その間に依頼票の確認をする事にする。
カウンターの対面の壁近くに依頼票を張り出す掲示板が設置されている。
どこのギルドでも依頼票はランク別に張り出されている。今の自分のランク以上の依頼は受けることができない。
この世界のギルドランクも日本でよく見たランク付と同じで、何故かアルファベットのA~FとS。王立学園でも1番上のクラス所謂特別クラスはSだった。
下からFEDCBAでS。アミュレット王国ではその存在が居ないようで聞いたことがなかったが、Sの上にはSSとかSSSとか、聞くと化け物のように強い冒険者が居る?居たらしい。
タリスマン帝国は勇者が造った国。その勇者は元々冒険者でSランク。悪魔だか魔王だかを倒したことで建国したそうだが、その魔王を倒した事で普通のSランクじゃ無いっしょ、って事でSSランクを正式に認証されて、亡くなった時にそれに栄誉が加わってSSSランクになったらしい。
この国の正史にそう記されてるとのこと。もちろんもっと勿体ぶった難しい言葉で長々と書かれているらしいのだが、キールがサクッと略して訳してくれた。
だから、この国では冒険者が他の国に比べて尊ばれているようだ。
そういえばサウスエンドでも国の運営に携わっていたいたのは冒険者ギルドを中心とした人々だったか。
キールは一応この世界の中で通用する身分として冒険者になることが1番手っ取り早いことだと言っていた。
日本と比べて戸籍制度のようなきちんとした考え方があまり発達していないようなこの世界でも、国の中を移動するときはもちろんのこと、ましてや違う国に行くのならば、ある程度自身のことを証明する手立てがないとスムーズに進むことはできない。
友好国の貴族であれば結構簡単に国境も超えられるが、それが敵対する国であれば逆に難しくなるし、同じ国の中でも、町や村がほぼ外部からの侵入に備えるために壁で囲まれて、外と隔絶されている内側に入るのに、人となりが分からなければ警戒されるのは必然だ。
そこでこの世界に張り巡らされている独立した組織として、それぞれの国の状況に左右されない、とされている冒険者ギルドが後ろ盾になって発行する身分証は、流浪する冒険者にとってなくてはならないものだし、それぞれの町や国にとっても、一々一人一人その人となりを調べないで済むことは、労力的にも大変有難いものなのだ。
その冒険者ギルドカード、そもそもギルドは仕事を斡旋する組織が発展したものであるから、仕事を割り振る時の、個人の能力を見る判断材料としてランクというものをつけたと考えられる。
仕事を受ける人のことをそもそもよく知っているならば、その様なものは要らないはずだが、全く知らない人物にその人の度量にあった仕事を斡旋する為に、どこに居てもわかりやすく判断する材料としてランクが付けられた。
だから、そもそも冒険者のランクは、冒険者ギルド内での仕事を割り振りする時の目安以外の何物でもなかったはずだが、そのランクが冒険者ギルドの外でも、知らない人物の信用度を図る材料として使われるようになったことで、より一層冒険者ギルドのカードは、ほかに身分の証明をすることが難しい者に取って、そのランクとともに重要な物となったのだ。
看板も町の中に溶け込むようにあり、建物に厳しい雰囲気はない。
町の中の食堂のような佇まいで、二階以上は宿屋のような作りに見える。
このギルドでは、森の中で倒した魔獣も何頭か買取に出すつもりだ。
扉は建物に対して少し大きめ。ドアノブはついてないタイプか、外からも内側からも押して開けるようになっている。
肩で扉を押して入る。
入ったのが昼前だったからか、そう広くないフロアーも閑散としていた。
どこでも看板が同じように、内装も同じなんだろうか、フロアーの奥にはカウンターが据えられていて、天井からは案内板がぶら下がっている。
意識しないで見ると模様に見える案内板も、意識してみるとその模様が意味のある文字として頭の中に入ってくる。
入り口に一番近いところには、「依頼窓口」と書かれている。その隣には1番、2番と書かれている。そして1番奥に「買取窓口」とあった。
今回の用事は、魔獣を売る事と、この辺りの依頼事情を探る事。
まず買取窓口に魔獣を売りに出す。ストレージから直接出すと驚かれることも多いので、この国でもそれなりに冒険者の中で出回っているらしいマジックバックと呼ばれるカバンを使っているフリをして、この辺りで中級と言われるくらいの冒険者がよく狩っている、魔獣を数匹カウンターに置いた。
この買取窓口の受付は、女の子ではなくガタイのいいおじさんだった。
「んっ!」
やたら無口なおじさんで、一言唸って手を出すだけ。
「?……あぁ、ギルドカードね」
今回買い取ってもらう魔獣はこの辺りで常時討伐依頼が出ているはず。ギルドランクをあげる時にも討伐ポイントは結構重要で、依頼を受けての討伐の方がポイントは高いが、常時討伐でもポイントはつく。
俺はともかくキールはこれ以上ランクを上げる気はないが、その気があるフリはしないと、駆け出しの冒険者でそれは変に目立ってしまうから。
無口なおじさんは何も言わずに俺が出した魔獣を、カウンターの後ろにある扉から外に出て行った。その際には引き換え用なのか模様が描かれた使い古された木札を渡された。
査定は少し時間が掛かりそうだ、その間に依頼票の確認をする事にする。
カウンターの対面の壁近くに依頼票を張り出す掲示板が設置されている。
どこのギルドでも依頼票はランク別に張り出されている。今の自分のランク以上の依頼は受けることができない。
この世界のギルドランクも日本でよく見たランク付と同じで、何故かアルファベットのA~FとS。王立学園でも1番上のクラス所謂特別クラスはSだった。
下からFEDCBAでS。アミュレット王国ではその存在が居ないようで聞いたことがなかったが、Sの上にはSSとかSSSとか、聞くと化け物のように強い冒険者が居る?居たらしい。
タリスマン帝国は勇者が造った国。その勇者は元々冒険者でSランク。悪魔だか魔王だかを倒したことで建国したそうだが、その魔王を倒した事で普通のSランクじゃ無いっしょ、って事でSSランクを正式に認証されて、亡くなった時にそれに栄誉が加わってSSSランクになったらしい。
この国の正史にそう記されてるとのこと。もちろんもっと勿体ぶった難しい言葉で長々と書かれているらしいのだが、キールがサクッと略して訳してくれた。
だから、この国では冒険者が他の国に比べて尊ばれているようだ。
そういえばサウスエンドでも国の運営に携わっていたいたのは冒険者ギルドを中心とした人々だったか。
キールは一応この世界の中で通用する身分として冒険者になることが1番手っ取り早いことだと言っていた。
日本と比べて戸籍制度のようなきちんとした考え方があまり発達していないようなこの世界でも、国の中を移動するときはもちろんのこと、ましてや違う国に行くのならば、ある程度自身のことを証明する手立てがないとスムーズに進むことはできない。
友好国の貴族であれば結構簡単に国境も超えられるが、それが敵対する国であれば逆に難しくなるし、同じ国の中でも、町や村がほぼ外部からの侵入に備えるために壁で囲まれて、外と隔絶されている内側に入るのに、人となりが分からなければ警戒されるのは必然だ。
そこでこの世界に張り巡らされている独立した組織として、それぞれの国の状況に左右されない、とされている冒険者ギルドが後ろ盾になって発行する身分証は、流浪する冒険者にとってなくてはならないものだし、それぞれの町や国にとっても、一々一人一人その人となりを調べないで済むことは、労力的にも大変有難いものなのだ。
その冒険者ギルドカード、そもそもギルドは仕事を斡旋する組織が発展したものであるから、仕事を割り振る時の、個人の能力を見る判断材料としてランクというものをつけたと考えられる。
仕事を受ける人のことをそもそもよく知っているならば、その様なものは要らないはずだが、全く知らない人物にその人の度量にあった仕事を斡旋する為に、どこに居てもわかりやすく判断する材料としてランクが付けられた。
だから、そもそも冒険者のランクは、冒険者ギルド内での仕事を割り振りする時の目安以外の何物でもなかったはずだが、そのランクが冒険者ギルドの外でも、知らない人物の信用度を図る材料として使われるようになったことで、より一層冒険者ギルドのカードは、ほかに身分の証明をすることが難しい者に取って、そのランクとともに重要な物となったのだ。
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