異世界では人間以外が日本語でした

みーか

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57 また来た

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 新しく貼った膜の中で、もう一度材料を渡して、作り直す。さっきよりも野菜の大きさが同じくらいになり、パンも焦げが少なかった。それに、今まで馬鹿にしていた平民の人達に、もう一度教えてと頼み、ありがとうとお礼まで言っていた。

 お腹もいっぱいになって、少し眠くなってきた頃に、ニーン国のあの兵士がやって来た。

『おい、お前達、ここで何をしている?』

『………。』

『まぁいい。帰ってもお前達の居場所は無いと思え!』

 そう貴族達を睨み付けて、こっちにやってくる。明らかに顔色を真っ青にした貴族達が震え上がっているのが遠くからでもわかった。

『さぁお前達城に帰ろう。今なら寛大な国王様は許してくださる。さらに今までの待遇が悪かったのかと気にしておられる。給料もかなり上がるだろう。料理長や侍女長もお前達が突然いなくなったから心配していたぞ。それに、あの貴族達は貧民に落とされる。お前達が次の貴族となるのだ。良い話だろう?』

『……………嫌です。』
『わ、私も。城には戻りたくありません。』
『あ、あなた達が楽をする為に働くのは……もう、もう嫌です!』

『何?……戻りたい者は、今すぐこちらへ!』

『…………………。』

 顔が真っ赤になっていく。かなり怒ってるようだ。

『くそっ!!シオン、トーマス!!お前らがまた嘘を吹き込んで騙しているのか!!卑怯な奴らめ!!』

 攻撃しても防がれるのがわかっているからか、攻撃はして来ない。

『卑怯者!!出てこい!!!』

 わざわざ出て行く必要もないし、出て行ってもややこしくなるだけだろう。

 いつまでも、ギャーギャーと喚いていたけど、俺達が出て行かないと分かると引き返していく。

 貴族達の横を通る時、また睨み付けた。

『お前達、許されると思うなよ!お前達が戻っても食料が消えるだけで何も役に立たないからな。………だが、女は別だ。今大人しく差し出せば貴族のままでいることを許そう。どうだ?城に住んで贅沢がしたくないか?ふかふかのベットに綺麗な服、美味しい食事を提供しよう。』 

『……わ、私、お城に行きたい!』
『おいっ!!ダメだ、酷い目に合うぞ!』

『おぉ、君は見込みがあるな。さぁ帰ろう!こんな所での生活はさぞ大変だっただろう。可哀想に……。城でゆっくり休むといい。こっちにおいで。』

『は、はい。ごめんなさいお父様、お母様。私、やっぱりここは耐えられないの……。』
『ダメだ!』
『ダメよ!!危ないわ……何をさせられるか……行っちゃダメ!!』

『うるさい!黙れ。さぁ帰ろう。』

『あ、あの、お父様やお母様達も一緒ではいけませんか?』

『勿論だとも。そうだな、1人は不安だろう。』

『ありがとうございます!!一緒に城に行きましょう!!』
『……行けない。ここに残ろう、なっ?父様もお前と一緒にいたい。』
『そうよ!!私もよ!!お願い行かないで!!』
『なんで?なら一緒に城に行ったらいいじゃない。』
『そ、それはダメなんだ!!』

『ほぅ……何がダメなんだ?こんなに可愛い娘からのお願いじゃないか!一緒に来ればお前達も城で暮らせるようにしてやろう。』

『本当ですか!!ほら、一緒に行きましょう!!』

 やばいな。このままだと娘を人質にしてこっちに何かしてくるかもしれない。

「ポンタさん、コインさん!またあいつが適当な事言って連れて行こうとしてるから、ドカーンとやっちゃって!!」
「おう!!」
「任せとけ!!」

 兵士に向けてドカーンと音だけ大きな大砲が撃たれた。煙と音は凄いけど人が傷つくような事はない。

 その隙に、本物の銃で兵士のすぐ横の地面を撃つ。

『くっ!!』

 兵士が煙でよく見えない間に、城に行こうとしてた親子はこっちに娘さんを引き摺りながら走ってきている。

「もう一回、お願いします!!」
「よっしゃ!」

 ドカーンとまた大きな音と煙が舞い上がる。
 他の貴族達もこっちに向かって逃げてきている。

「トーマスさん、膜をお願い!!」
「わかった。」

 少し煙が引いた途端に、兵士が爆弾を貴族達に向かって投げてきた。
 その時には膜の中だったから全員が無事だった。

『後悔するぞ!!』

 捨て台詞を吐いて兵士は帰って行った。もう来ないといいけど……絶対来るよな。はぁー。
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