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42 シーナさん
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4号棟にシーナさんがいるはずだ。
「すみません。シーナさんはいますか??」
「隣の隣だと思いますよ。」
「ありがとう。」
「あの部屋に行くのかい?」
「はい。頼まれて探していたんです。」
「……そうかい。あまり期待しない方がいいよ。」
「えっ?体調が悪いんですか?」
「そうじゃない……けど…。まぁ行けばわかるさ。」
「……ありがとう…行ってみます。」
廊下に出て部屋に近づくと泣き声が聞こえてきた。
ん?この声は子ども?赤ちゃん??
「すみません、シーナさんいらっしゃいますか?」
「……私です。」
「あの、俺シオンって言います。リナに頼まれて家族を探していたんです。」
「……リナ……。リナは元気ですか?1番奥のベットです。」
「失礼します。…あっ……。」
「リナは?リナは無事で元気にしてるんですね!!」
「はい。元気です。あの……その子は?」
「………この子は……私の子です。」
「もしかして、望んでないのに?」
「……いえ、違います。……その……私、ニーン国で奴隷になり洗濯や掃除などをしていました。そこで、下働きの人間の方に何度も助けていただいて……その方と結婚したんです。奴隷の身分は変わりませんが、雇い主も結婚を認めてくれて……。」
「………そぅ……だったんですか……。」
「この部屋にいる人達は、人間と恋した人達ばかりで、他の部屋の方からは冷たい目で見られているんです。でも、それも仕方ないと思ってます。本当に酷い事をされた方も沢山いますし、人間を恨むのも理解できるんです……それでも、良い人もいる。だから……。」
「それはわかります。でも、ジンさんは?ジンさん、この療養所にいます。」
「………えっ……。」
「ジンさん、怪我をされてて動けない状態なんです。」
「そうですか。……あの人も無事だったんですね……良かった……本当に良かった……。」
「会いに行きますか?」
「いえ、私は行けません……。裏切ってしまった……。こんな事言っても仕方ないですが、あの人の事も子ども達の事も忘れた事はありません。」
「わかりました。この事はジンさんやリナに伝えてもいいですか?」
「……はい。」
「それと……ルナさんにも会ってきました。ルナさんは、話せるような状態じゃなくて……。その……言いにくいんだけど……男が怖いようで……その……に、妊娠してて……。」
「……ぁ………ルナ……。ルナ……ごめんね……ごめ…ん……うぅっ……。」
「ルナさんには、シーナさんの事伝えません。ショックが大きいと思うので……。」
「………はい……。」
「ジンさんが移動できる状態なら俺達と一緒に、リナの療養所の近くに移動しようと思ってます。」
「………はい。……本当に…ごめんなさい。」
「いや、俺に謝られても……。それに、アニマ国に戻れるとは思ってなかったんでしょう?」
「……もぅ2度と家族には会えないと思ってました。でも、だからって許される事じゃないのも理解してます。」
「……何か伝える事はありますか?」
「どうか元気で…と。私は死んだと思ってほしいと伝えてください。この子の父親とも会いません。1人でこの子を育てていきます。私だけ幸せになるなんてできませんから……。」
「……わかりました。」
「この部屋の他の方は、私以外アニマ国で結婚していません。だから、他の方の事は悪く思わないでください。」
「……はい。」
カーテンで仕切られてるシーナさんのベットから出ると、他の同室の人達がサッと顔を逸らした。
10歳くらいの子どもと一緒にいる人もいた。その女の子が部屋から出て歩いていると追いかけてきた。
「あのね、おばちゃんね、毎日毎日泣いてるよ。リナ、ルナごめんって謝りながら赤ちゃんにミルクあげてる。凄く苦しそうなんだ。」
「…そっか。」
「うん。私のお母さんもね、ここに来てから、辛そうにしてる。私ね、ここに来てからご飯いっぱい食べられて嬉しいんだ。でもね、同じお部屋の人達、みんな苦しそうなの。だからね、あのおばちゃんも悪い事してないよ。」
「そうだね。教えてくれてありがとう。」
「すみません。シーナさんはいますか??」
「隣の隣だと思いますよ。」
「ありがとう。」
「あの部屋に行くのかい?」
「はい。頼まれて探していたんです。」
「……そうかい。あまり期待しない方がいいよ。」
「えっ?体調が悪いんですか?」
「そうじゃない……けど…。まぁ行けばわかるさ。」
「……ありがとう…行ってみます。」
廊下に出て部屋に近づくと泣き声が聞こえてきた。
ん?この声は子ども?赤ちゃん??
「すみません、シーナさんいらっしゃいますか?」
「……私です。」
「あの、俺シオンって言います。リナに頼まれて家族を探していたんです。」
「……リナ……。リナは元気ですか?1番奥のベットです。」
「失礼します。…あっ……。」
「リナは?リナは無事で元気にしてるんですね!!」
「はい。元気です。あの……その子は?」
「………この子は……私の子です。」
「もしかして、望んでないのに?」
「……いえ、違います。……その……私、ニーン国で奴隷になり洗濯や掃除などをしていました。そこで、下働きの人間の方に何度も助けていただいて……その方と結婚したんです。奴隷の身分は変わりませんが、雇い主も結婚を認めてくれて……。」
「………そぅ……だったんですか……。」
「この部屋にいる人達は、人間と恋した人達ばかりで、他の部屋の方からは冷たい目で見られているんです。でも、それも仕方ないと思ってます。本当に酷い事をされた方も沢山いますし、人間を恨むのも理解できるんです……それでも、良い人もいる。だから……。」
「それはわかります。でも、ジンさんは?ジンさん、この療養所にいます。」
「………えっ……。」
「ジンさん、怪我をされてて動けない状態なんです。」
「そうですか。……あの人も無事だったんですね……良かった……本当に良かった……。」
「会いに行きますか?」
「いえ、私は行けません……。裏切ってしまった……。こんな事言っても仕方ないですが、あの人の事も子ども達の事も忘れた事はありません。」
「わかりました。この事はジンさんやリナに伝えてもいいですか?」
「……はい。」
「それと……ルナさんにも会ってきました。ルナさんは、話せるような状態じゃなくて……。その……言いにくいんだけど……男が怖いようで……その……に、妊娠してて……。」
「……ぁ………ルナ……。ルナ……ごめんね……ごめ…ん……うぅっ……。」
「ルナさんには、シーナさんの事伝えません。ショックが大きいと思うので……。」
「………はい……。」
「ジンさんが移動できる状態なら俺達と一緒に、リナの療養所の近くに移動しようと思ってます。」
「………はい。……本当に…ごめんなさい。」
「いや、俺に謝られても……。それに、アニマ国に戻れるとは思ってなかったんでしょう?」
「……もぅ2度と家族には会えないと思ってました。でも、だからって許される事じゃないのも理解してます。」
「……何か伝える事はありますか?」
「どうか元気で…と。私は死んだと思ってほしいと伝えてください。この子の父親とも会いません。1人でこの子を育てていきます。私だけ幸せになるなんてできませんから……。」
「……わかりました。」
「この部屋の他の方は、私以外アニマ国で結婚していません。だから、他の方の事は悪く思わないでください。」
「……はい。」
カーテンで仕切られてるシーナさんのベットから出ると、他の同室の人達がサッと顔を逸らした。
10歳くらいの子どもと一緒にいる人もいた。その女の子が部屋から出て歩いていると追いかけてきた。
「あのね、おばちゃんね、毎日毎日泣いてるよ。リナ、ルナごめんって謝りながら赤ちゃんにミルクあげてる。凄く苦しそうなんだ。」
「…そっか。」
「うん。私のお母さんもね、ここに来てから、辛そうにしてる。私ね、ここに来てからご飯いっぱい食べられて嬉しいんだ。でもね、同じお部屋の人達、みんな苦しそうなの。だからね、あのおばちゃんも悪い事してないよ。」
「そうだね。教えてくれてありがとう。」
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