42 / 65
42 シーナさん
しおりを挟む
4号棟にシーナさんがいるはずだ。
「すみません。シーナさんはいますか??」
「隣の隣だと思いますよ。」
「ありがとう。」
「あの部屋に行くのかい?」
「はい。頼まれて探していたんです。」
「……そうかい。あまり期待しない方がいいよ。」
「えっ?体調が悪いんですか?」
「そうじゃない……けど…。まぁ行けばわかるさ。」
「……ありがとう…行ってみます。」
廊下に出て部屋に近づくと泣き声が聞こえてきた。
ん?この声は子ども?赤ちゃん??
「すみません、シーナさんいらっしゃいますか?」
「……私です。」
「あの、俺シオンって言います。リナに頼まれて家族を探していたんです。」
「……リナ……。リナは元気ですか?1番奥のベットです。」
「失礼します。…あっ……。」
「リナは?リナは無事で元気にしてるんですね!!」
「はい。元気です。あの……その子は?」
「………この子は……私の子です。」
「もしかして、望んでないのに?」
「……いえ、違います。……その……私、ニーン国で奴隷になり洗濯や掃除などをしていました。そこで、下働きの人間の方に何度も助けていただいて……その方と結婚したんです。奴隷の身分は変わりませんが、雇い主も結婚を認めてくれて……。」
「………そぅ……だったんですか……。」
「この部屋にいる人達は、人間と恋した人達ばかりで、他の部屋の方からは冷たい目で見られているんです。でも、それも仕方ないと思ってます。本当に酷い事をされた方も沢山いますし、人間を恨むのも理解できるんです……それでも、良い人もいる。だから……。」
「それはわかります。でも、ジンさんは?ジンさん、この療養所にいます。」
「………えっ……。」
「ジンさん、怪我をされてて動けない状態なんです。」
「そうですか。……あの人も無事だったんですね……良かった……本当に良かった……。」
「会いに行きますか?」
「いえ、私は行けません……。裏切ってしまった……。こんな事言っても仕方ないですが、あの人の事も子ども達の事も忘れた事はありません。」
「わかりました。この事はジンさんやリナに伝えてもいいですか?」
「……はい。」
「それと……ルナさんにも会ってきました。ルナさんは、話せるような状態じゃなくて……。その……言いにくいんだけど……男が怖いようで……その……に、妊娠してて……。」
「……ぁ………ルナ……。ルナ……ごめんね……ごめ…ん……うぅっ……。」
「ルナさんには、シーナさんの事伝えません。ショックが大きいと思うので……。」
「………はい……。」
「ジンさんが移動できる状態なら俺達と一緒に、リナの療養所の近くに移動しようと思ってます。」
「………はい。……本当に…ごめんなさい。」
「いや、俺に謝られても……。それに、アニマ国に戻れるとは思ってなかったんでしょう?」
「……もぅ2度と家族には会えないと思ってました。でも、だからって許される事じゃないのも理解してます。」
「……何か伝える事はありますか?」
「どうか元気で…と。私は死んだと思ってほしいと伝えてください。この子の父親とも会いません。1人でこの子を育てていきます。私だけ幸せになるなんてできませんから……。」
「……わかりました。」
「この部屋の他の方は、私以外アニマ国で結婚していません。だから、他の方の事は悪く思わないでください。」
「……はい。」
カーテンで仕切られてるシーナさんのベットから出ると、他の同室の人達がサッと顔を逸らした。
10歳くらいの子どもと一緒にいる人もいた。その女の子が部屋から出て歩いていると追いかけてきた。
「あのね、おばちゃんね、毎日毎日泣いてるよ。リナ、ルナごめんって謝りながら赤ちゃんにミルクあげてる。凄く苦しそうなんだ。」
「…そっか。」
「うん。私のお母さんもね、ここに来てから、辛そうにしてる。私ね、ここに来てからご飯いっぱい食べられて嬉しいんだ。でもね、同じお部屋の人達、みんな苦しそうなの。だからね、あのおばちゃんも悪い事してないよ。」
「そうだね。教えてくれてありがとう。」
「すみません。シーナさんはいますか??」
「隣の隣だと思いますよ。」
「ありがとう。」
「あの部屋に行くのかい?」
「はい。頼まれて探していたんです。」
「……そうかい。あまり期待しない方がいいよ。」
「えっ?体調が悪いんですか?」
「そうじゃない……けど…。まぁ行けばわかるさ。」
「……ありがとう…行ってみます。」
廊下に出て部屋に近づくと泣き声が聞こえてきた。
ん?この声は子ども?赤ちゃん??
「すみません、シーナさんいらっしゃいますか?」
「……私です。」
「あの、俺シオンって言います。リナに頼まれて家族を探していたんです。」
「……リナ……。リナは元気ですか?1番奥のベットです。」
「失礼します。…あっ……。」
「リナは?リナは無事で元気にしてるんですね!!」
「はい。元気です。あの……その子は?」
「………この子は……私の子です。」
「もしかして、望んでないのに?」
「……いえ、違います。……その……私、ニーン国で奴隷になり洗濯や掃除などをしていました。そこで、下働きの人間の方に何度も助けていただいて……その方と結婚したんです。奴隷の身分は変わりませんが、雇い主も結婚を認めてくれて……。」
「………そぅ……だったんですか……。」
「この部屋にいる人達は、人間と恋した人達ばかりで、他の部屋の方からは冷たい目で見られているんです。でも、それも仕方ないと思ってます。本当に酷い事をされた方も沢山いますし、人間を恨むのも理解できるんです……それでも、良い人もいる。だから……。」
「それはわかります。でも、ジンさんは?ジンさん、この療養所にいます。」
「………えっ……。」
「ジンさん、怪我をされてて動けない状態なんです。」
「そうですか。……あの人も無事だったんですね……良かった……本当に良かった……。」
「会いに行きますか?」
「いえ、私は行けません……。裏切ってしまった……。こんな事言っても仕方ないですが、あの人の事も子ども達の事も忘れた事はありません。」
「わかりました。この事はジンさんやリナに伝えてもいいですか?」
「……はい。」
「それと……ルナさんにも会ってきました。ルナさんは、話せるような状態じゃなくて……。その……言いにくいんだけど……男が怖いようで……その……に、妊娠してて……。」
「……ぁ………ルナ……。ルナ……ごめんね……ごめ…ん……うぅっ……。」
「ルナさんには、シーナさんの事伝えません。ショックが大きいと思うので……。」
「………はい……。」
「ジンさんが移動できる状態なら俺達と一緒に、リナの療養所の近くに移動しようと思ってます。」
「………はい。……本当に…ごめんなさい。」
「いや、俺に謝られても……。それに、アニマ国に戻れるとは思ってなかったんでしょう?」
「……もぅ2度と家族には会えないと思ってました。でも、だからって許される事じゃないのも理解してます。」
「……何か伝える事はありますか?」
「どうか元気で…と。私は死んだと思ってほしいと伝えてください。この子の父親とも会いません。1人でこの子を育てていきます。私だけ幸せになるなんてできませんから……。」
「……わかりました。」
「この部屋の他の方は、私以外アニマ国で結婚していません。だから、他の方の事は悪く思わないでください。」
「……はい。」
カーテンで仕切られてるシーナさんのベットから出ると、他の同室の人達がサッと顔を逸らした。
10歳くらいの子どもと一緒にいる人もいた。その女の子が部屋から出て歩いていると追いかけてきた。
「あのね、おばちゃんね、毎日毎日泣いてるよ。リナ、ルナごめんって謝りながら赤ちゃんにミルクあげてる。凄く苦しそうなんだ。」
「…そっか。」
「うん。私のお母さんもね、ここに来てから、辛そうにしてる。私ね、ここに来てからご飯いっぱい食べられて嬉しいんだ。でもね、同じお部屋の人達、みんな苦しそうなの。だからね、あのおばちゃんも悪い事してないよ。」
「そうだね。教えてくれてありがとう。」
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果
安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。
そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。
煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。
学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。
ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。
ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は……
基本的には、ほのぼのです。
設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】
一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。
追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。
無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。
そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード!
異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。
【諸注意】
以前投稿した同名の短編の連載版になります。
連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。
なんでも大丈夫な方向けです。
小説の形をしていないので、読む人を選びます。
以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。
disりに見えてしまう表現があります。
以上の点から気分を害されても責任は負えません。
閲覧は自己責任でお願いします。
小説家になろう、pixivでも投稿しています。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです
ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。
女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。
前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る!
そんな変わった公爵令嬢の物語。
アルファポリスOnly
2019/4/21 完結しました。
沢山のお気に入り、本当に感謝します。
7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。
2021年9月。
ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。
10月、再び完結に戻します。
御声援御愛読ありがとうございました。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる