異世界では人間以外が日本語でした

みーか

文字の大きさ
上 下
32 / 65

32 映像チェック

しおりを挟む
 コインさんとポンタさんが透明になっていられるギリギリの時間まで城中にカメラを隠してくれた。
 
 俺達は、筋トレとカメラの映像チェックが日課になった。
 あまり兵士もウロウロしていないし、侍女達も洗濯や掃除で忙しいようだ。
 ここに来る兵士や侍女達は、かなり上の立場なのか豪華な食事を食べ、偉そうにしている姿がよく映ってるな。
 王は、贅沢三昧。あんなに絶対いらないだろう!料理長も味見と言いながらずっと食べてるし!
 他の料理人は、王が残した冷めた料理を食べてるみたいだ。
 
「あぁ、俺達のシチュー!!具を掬わないように上の方ばっかりだ!!」
「あっ、サラダも1人分を半分に分けてるね。ああー、さらにそこから減らして自分達のサラダを増やしてる!」
「パンも、わざわざ小さくしてやがる!!くそー!!」
「まぁ下っ端の料理人達は、私達とほとんど同じ食事だからね。まだ若い育ち盛りだ。足りないんだろう。」
「ゔーー、わかるけど、納得できない!!」
「確かにね。」
「ここに来る兵士も、かなり贅沢してる!」
「わざわざ多く作らせて、残りは家族にでも持って帰っているんだろうね。必ず残りを入れ物に入れてるし。」
「侍女達も同じように持って帰ってるみたいだな。」
「家族が待ってるんだろう。」
「気持ちはわかるけど、下っ端にも分けてやればいいのに!」
「あっ、シオン君、魔力を保管しておく部屋も映ってる。あまり残りがないようだね。」
「本当だ。俺の魔力から使ってるみたいだな。」
「ちょうど料理人が食材を出しに来た。ステーキにするのかなぁ?野菜もあんなに!魚や卵も!!」
「あー!今あいつ、ポケットにオレンジ隠した!!」
「出してるのは、皆んな高級食材だ。魔力の質が良いから美味しい食材が手に入るんだろうね。」

 あっ、俺が入れられてた牢屋だ。まだ沢山のアニマ国の人が囚われてる。
 あっ、リナだ。

「酷いね。」
「俺もあそこに入れられてたんだ。その時に1番に声をかけてくれたのがリナ。最低の貴族にペットって言われて連れて行かれてた。」
「そうか。何も私達と変わらないのに……。」
「リナ……傷だらけだ。俺、助けるって言ったのに……。」
「シオン君、大丈夫。必ず助かる。その為にポンタさんもコインさんもシオン君も頑張ってるんだ。」
「うん。リナ待ってて!!」

 聞こえてないのはわかってるけど、画面に向かって大声で言ってしまった。
 あんなに明るかったリナの表情がすごく暗いし、泣いてる。
 絶対に助ける!

 それから毎日確認してるけど、どうやら王が美味しいご馳走に夢中で、悪い事を考える暇がないようだ。貴族達も上の人は王に金を払って高級食材を買うのに忙しいのか、アニマ国の人達を買ったり、連れて行ったりする事がほとんど無くなった。
 俺の魔力で、少しでも時間稼ぎできるなら、少し多めに魔力を渡すのもアリだ!

「なぁ、トーマスさん。俺の魔力の質が良いから食材の味もいいんだろ?なら、偉そうにしてる奴らが夢中になるように、もう少し多く魔力を渡そう。」
「シオン君は大丈夫かい?」
「うん、俺はまだまだ平気!トーマスさんの実験に一日中付き合っても全く問題ないよ!」
「じゃあ、シオン君の体調が良くなったから少し多めに魔力が取れるようになった事にするよ。」
「うん。よろしく!今から魔力取るか?」
「いや、まだまだストックがあるから大丈夫だよ。今まで1%くらいしか渡してなかったから、2%くらいにしようか。」
「えっ?そんなに少ししか渡してないのか?」
「そうだよ。それでも今まで搾り取った子達より、ずっと多くて質も良いんだ。」
「なんでだろう?」
「さぁ??それは、私にもわからないんだ。」
「そうか。」

 それからトーマスさんは多めに魔力を渡してくれるようになった。
 俺の予想通り、美味しい食事に貴族達は夢中だ。

 魔力で出すより、畑で作った方が美味しいのにな!

 城の下っ端の人達も、少しづつだけどマシな量が食べられるようになったし、俺達のご飯も少し量も質も良くなった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

オタクおばさん転生する

ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。 天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。 投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました

土広真丘
ファンタジー
神と交信する力を持つ者が生まれる国、ミレニアム帝国。 神官としての力が弱いアマーリエは、両親から疎まれていた。 追い討ちをかけるように神にも拒絶され、両親は妹のみを溺愛し、妹の婚約者には無能と罵倒される日々。 居場所も立場もない中、アマーリエが出会ったのは、紅蓮の炎を操る青年だった。 小説家になろうでも公開しています。 2025年1月18日、内容を一部修正しました。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

処理中です...