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50 つゆ子の嫁入り
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朝、クロモの糸で荷物を大熊の体にしっかりと結びつけ、つゆ子も糸で落ちないようにした。
大きな熊が凄いスピードで走り去って行った。
つゆ子には、蜘蛛を10匹ほど連れて行ってもらい様子が見られるようにした。
村に着いたつゆ子は、村の男に合わせて15歳くらいまで成長していて、その男もつゆ子を見て、一目で結婚相手だと分かったようで仲良く家に入って行った。
蜘蛛達は、家の中や畑などつゆ子が行動するであろう場所を探して蜘蛛の巣を張り、クロモにつゆ子の様子を知らせた。
ゆきや春太が帰ってきて、賑やかになり小梅も一緒に住めて大喜びの桃は、ご機嫌で歌いながら機織りを頑張った。
その歌に合わせて、ゆき、春太、小梅、夏子、秋男、秋夜、鶴子、クロ、サクラ、鶏達が歌い出し、我慢出来ずクロモも加わる。
鶏達は卵をポンポン産み、ヒヨコはグングン成長し鶏になり、布の輝きが増していき、林檎の木が大きくなり、その横から新しい林檎の木が生えてきた。他の果物も次々に増えていきどんどん成長してクロモの家のある山の半分が果物の木になってしまった。畑の野菜も増えているし、今まではクロモの家の周りだけだったが、山全体の木が花を咲かせた。
外に出て、あまりの光景にクロモは絶対に一緒に歌うのはやめようと思った。
やはり桃にも影響があり、すぐ出産。女の子が産まれ『花』と名付けた。
ゆきや小梅にも影響があったようで、ゆきは、春になる前に産まれそうだし、小梅もお腹が目立つくらい大きくなった。
花に乳を飲ませながら、桃はクロモに頼んでつゆ子の様子を見ていた。
つゆ子は、夫となった太一と雪を掻き分けて苗木を植えたり、畑を作ったりしていた。
つゆ子が嫁に行く事で、村に大熊の事が正しく伝わり、大熊も村まで来て畑仕事などを手伝ってくれている。
クロモから教わった植物に少し神力を分ける事で、雪深い村でも果物の木が育ち実をつけていた。
つゆ子は、桃譲りの綺麗な歌声で毎日歌い、連れて行った鶏達も一緒に歌った。大熊も低い綺麗な歌声でつゆ子の声に合わせて畑仕事をしながら歌い続けた。
ちょうど桃がつゆ子の様子を見ていた時に、子に恵まれなかった夫婦が大熊の元に走ってきた。
「山神様!!ありがとうございます。私達に子が授かりました!!もうお腹が少し膨らんで、動いているのがわかるんです!!」
「良かったな!本当に良かった!!」
「はい!!これも山神様とつゆ子様のおかげです!!」
「おーい、太一、つゆ子ちゃん!!大変だ!!」
「父さんどうしたの?」
「か、母さんの腹が膨らんで来て、どうやら子ができたようなんだ。」
「うちもなんだ!もぅ子どもは諦めていたのに……。山神様とつゆ子様のおかげだ!」
「そうだな。つゆ子ちゃんの歌を聞いていると力が湧いてくるんだ。それに、若返ったような気がする。太一、本当に素晴らしい嫁をもらったな!!」
「うん。つゆちゃんは凄い。可愛いし歌が上手いし、畑の事もよく知ってて、山神様と僕達との架け橋になってくれた。僕には勿体ないよ!」
「そんな事はないです。太一さんが優しく私を迎え入れてくれたから。私は、ここに来られて太一さんと一緒になれて幸せなんです。大熊様、連れて来てくださってありがとうございます。」
「いや、つゆ子殿が来てくれたから村が変わっていった。つゆ子殿にも、黒蜘蛛殿、桃殿にも感謝しても足りない。ありがとう!!」
幸せそうで良かったぁ~。つゆ子も笑顔だし、村の人達も幸せそう。
桃はホッとしながら、花をサクラに預けて機織りをした。
雪が降る日が減り、梅の花が咲き出した頃、ゆきに陣痛がきた。
サクラが慣れた様子で、準備をして、桃もゆきの手を握る。
「少し痛いけど、料理で指を切った時の方が痛いわ。」
「ゆき様、そろそろ頭が出て来そうです。お腹に力を入れてください。」
「わかった。……んんんーーーー!!」
「そぅ、もう少しですよ!」
「んんんんんーーーー!!!」
「おぎゃーんぎゃー!」
「可愛い女の子です!………あれ?ゆき様、もぅ1度お腹に力を入れてください!!」
「えっ?わかった……んんんんーー!!」
「んぎゃーんぎゃー!!」
「双子ですよ!!ゆき様!!2人とも女の子です。」
「えぇ!!ゆき、凄いわ!!よく頑張ったね!」
「母様、双子なんてビックリね!あっ、母様もこれでおばあちゃんね!」
「………あ……そうか。じゃあ、外で待ってるおじいちゃんに報告してくるね!」
大きな熊が凄いスピードで走り去って行った。
つゆ子には、蜘蛛を10匹ほど連れて行ってもらい様子が見られるようにした。
村に着いたつゆ子は、村の男に合わせて15歳くらいまで成長していて、その男もつゆ子を見て、一目で結婚相手だと分かったようで仲良く家に入って行った。
蜘蛛達は、家の中や畑などつゆ子が行動するであろう場所を探して蜘蛛の巣を張り、クロモにつゆ子の様子を知らせた。
ゆきや春太が帰ってきて、賑やかになり小梅も一緒に住めて大喜びの桃は、ご機嫌で歌いながら機織りを頑張った。
その歌に合わせて、ゆき、春太、小梅、夏子、秋男、秋夜、鶴子、クロ、サクラ、鶏達が歌い出し、我慢出来ずクロモも加わる。
鶏達は卵をポンポン産み、ヒヨコはグングン成長し鶏になり、布の輝きが増していき、林檎の木が大きくなり、その横から新しい林檎の木が生えてきた。他の果物も次々に増えていきどんどん成長してクロモの家のある山の半分が果物の木になってしまった。畑の野菜も増えているし、今まではクロモの家の周りだけだったが、山全体の木が花を咲かせた。
外に出て、あまりの光景にクロモは絶対に一緒に歌うのはやめようと思った。
やはり桃にも影響があり、すぐ出産。女の子が産まれ『花』と名付けた。
ゆきや小梅にも影響があったようで、ゆきは、春になる前に産まれそうだし、小梅もお腹が目立つくらい大きくなった。
花に乳を飲ませながら、桃はクロモに頼んでつゆ子の様子を見ていた。
つゆ子は、夫となった太一と雪を掻き分けて苗木を植えたり、畑を作ったりしていた。
つゆ子が嫁に行く事で、村に大熊の事が正しく伝わり、大熊も村まで来て畑仕事などを手伝ってくれている。
クロモから教わった植物に少し神力を分ける事で、雪深い村でも果物の木が育ち実をつけていた。
つゆ子は、桃譲りの綺麗な歌声で毎日歌い、連れて行った鶏達も一緒に歌った。大熊も低い綺麗な歌声でつゆ子の声に合わせて畑仕事をしながら歌い続けた。
ちょうど桃がつゆ子の様子を見ていた時に、子に恵まれなかった夫婦が大熊の元に走ってきた。
「山神様!!ありがとうございます。私達に子が授かりました!!もうお腹が少し膨らんで、動いているのがわかるんです!!」
「良かったな!本当に良かった!!」
「はい!!これも山神様とつゆ子様のおかげです!!」
「おーい、太一、つゆ子ちゃん!!大変だ!!」
「父さんどうしたの?」
「か、母さんの腹が膨らんで来て、どうやら子ができたようなんだ。」
「うちもなんだ!もぅ子どもは諦めていたのに……。山神様とつゆ子様のおかげだ!」
「そうだな。つゆ子ちゃんの歌を聞いていると力が湧いてくるんだ。それに、若返ったような気がする。太一、本当に素晴らしい嫁をもらったな!!」
「うん。つゆちゃんは凄い。可愛いし歌が上手いし、畑の事もよく知ってて、山神様と僕達との架け橋になってくれた。僕には勿体ないよ!」
「そんな事はないです。太一さんが優しく私を迎え入れてくれたから。私は、ここに来られて太一さんと一緒になれて幸せなんです。大熊様、連れて来てくださってありがとうございます。」
「いや、つゆ子殿が来てくれたから村が変わっていった。つゆ子殿にも、黒蜘蛛殿、桃殿にも感謝しても足りない。ありがとう!!」
幸せそうで良かったぁ~。つゆ子も笑顔だし、村の人達も幸せそう。
桃はホッとしながら、花をサクラに預けて機織りをした。
雪が降る日が減り、梅の花が咲き出した頃、ゆきに陣痛がきた。
サクラが慣れた様子で、準備をして、桃もゆきの手を握る。
「少し痛いけど、料理で指を切った時の方が痛いわ。」
「ゆき様、そろそろ頭が出て来そうです。お腹に力を入れてください。」
「わかった。……んんんーーーー!!」
「そぅ、もう少しですよ!」
「んんんんんーーーー!!!」
「おぎゃーんぎゃー!」
「可愛い女の子です!………あれ?ゆき様、もぅ1度お腹に力を入れてください!!」
「えっ?わかった……んんんんーー!!」
「んぎゃーんぎゃー!!」
「双子ですよ!!ゆき様!!2人とも女の子です。」
「えぇ!!ゆき、凄いわ!!よく頑張ったね!」
「母様、双子なんてビックリね!あっ、母様もこれでおばあちゃんね!」
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