43 / 90
43 源と春太
しおりを挟む
かなり元気になったクロモは、やっと風呂まで行けるようになり温泉に浸かり、傷もほとんど塞がった。
桃が離れないのでクロモの部屋で一緒に寝る事にして、桃が寝たのを確認してから、もう一度温泉に浸かった。
日記を書きながら林檎を食べて朝までゆっくりと過ごす。
人間の姿になり、桃を起こすと大泣きしながら抱きつかれた。
背中にもお腹にも傷があるから痛かったが、桃が心配して蜘蛛の姿の自分にずっと付き添ってくれた事が嬉しくて我慢した。
今日はクロモと一緒にゆきと春太の事を見守りたいと言うので桃の部屋に行き、ベットに寝ながら様子見ることにした。まだ動くのは辛いのでちょうどいい。
春太は、桃と小梅が住んでいた家をリフォームして住むらしく、せっせと木を切りに行ったりと走り回っていた。
小梅は、鶏達の世話や畑仕事などを頑張っていて、放し飼いの鶏達が小梅の周りに集まって、桃の歌っていた歌を歌え!!とヤイヤイ言っている。
小梅が歌うと、喜んで一緒に歌い出す。
ほのぼのとしている春太と小梅に比べ、真冬のような冷たい空気のゆきと源。
春太が家をリフォームしていると、源がやってきた。
「あの……、今ちょっといいか?」
「いいよ。何?」
「ぉ、俺!!ゆきさんと、そのっ、仲良くしたいと思うんだけど……ど、どうしたらいいか分からなくて…。ほら、俺、山神様に酷い事してしまっただろ。許される事じゃない。でも、本当に悪かったと思ってるんだ。ゆきさんの父親だし、俺の事許せないだろうし……。もぅどうしたらいいのか分からなくて……。」
「ふーん。僕は小梅ちゃんととっても仲良しだよ。もぅプロポーズ……結婚の申し込みもしたからね!」
「……そ、そうか……。」
「はぁ~、今のは、ちょっと意地悪。僕だって父様に大怪我させた君の事を、そんなにすんなり許せないよ。」
「そうだよな………本当に、本当にすまなかった!!謝る事しかできない!!」
「……うん、だからさ、そうやって素直に謝ればいいんじゃないかな?ちゃんと姉さんに謝ってないでしょ?姉さんだって頭では分かってるよ。君の結婚相手なんだし、僕達山神の子は他の人と結婚できないんだから。」
「男が簡単に女に頭を下げるのは……。」
「だーかーらー!!それだよ!何それ?悪い事したのなら謝るのは当たり前だろ!謝りもせずに許されると思ってる?男とか女とか関係ない。もう少しで君は殺人犯だったんだ!その事分かってる?」
「………ぅ……。」
「僕が姉さんの立場でも許せないと思うよ!僕達がここに来るまで、どれだけ努力したと思う?村人の為に何が必要か調べて、荷物をまとめて、勉強も沢山した。読み書き、計算、畑仕事に、炊事洗濯。全て出来るように毎日毎日努力したんだ。それも全て、結婚相手の為、村の人達の為。……それなのに、村の事1番考えてる父様が殺されかけたんだ。男だからとか女に頭下げたら格好悪いとか………ふざけるな!!!」
「……っ。………ごめんなさい……。」
「それは僕にじゃないでしょ!あの時の爺様は、自分の命をかけて村を守った。それが格好悪く見えた?僕は、爺様すごいなと思ったけどね!!それに、君だけが母様が居なくなって寂しかったと思ってる?1番寂しかったのは小梅ちゃんだよ!小梅ちゃんは、たった1人の家族が居なくなって毎晩泣いていたそうだよ。それでも、爺様達の前では元気に明るく振る舞ってた……。自分1人が辛いって被害者ぶって、そんな奴の嫁になる姉さんがかわいそうだ!!」
「………ぐっ………ごめ……なざい……、お、俺……。」
「僕は言いたいこと言えてスッキリしたぁ~。君も姉さん幸せにするって父様と約束したんだ。しっかり守って!!」
「………分かった。ありがとう。」
ぅわ~、春太はかなり溜まってたんだろうな。確かにゆきにとって辛い事になってしまった。
俺は何もしてやれない……。ゆき……許してやってくれ。
隣を見ると、桃も悔しそうな顔のまま泣いていた。
桃が離れないのでクロモの部屋で一緒に寝る事にして、桃が寝たのを確認してから、もう一度温泉に浸かった。
日記を書きながら林檎を食べて朝までゆっくりと過ごす。
人間の姿になり、桃を起こすと大泣きしながら抱きつかれた。
背中にもお腹にも傷があるから痛かったが、桃が心配して蜘蛛の姿の自分にずっと付き添ってくれた事が嬉しくて我慢した。
今日はクロモと一緒にゆきと春太の事を見守りたいと言うので桃の部屋に行き、ベットに寝ながら様子見ることにした。まだ動くのは辛いのでちょうどいい。
春太は、桃と小梅が住んでいた家をリフォームして住むらしく、せっせと木を切りに行ったりと走り回っていた。
小梅は、鶏達の世話や畑仕事などを頑張っていて、放し飼いの鶏達が小梅の周りに集まって、桃の歌っていた歌を歌え!!とヤイヤイ言っている。
小梅が歌うと、喜んで一緒に歌い出す。
ほのぼのとしている春太と小梅に比べ、真冬のような冷たい空気のゆきと源。
春太が家をリフォームしていると、源がやってきた。
「あの……、今ちょっといいか?」
「いいよ。何?」
「ぉ、俺!!ゆきさんと、そのっ、仲良くしたいと思うんだけど……ど、どうしたらいいか分からなくて…。ほら、俺、山神様に酷い事してしまっただろ。許される事じゃない。でも、本当に悪かったと思ってるんだ。ゆきさんの父親だし、俺の事許せないだろうし……。もぅどうしたらいいのか分からなくて……。」
「ふーん。僕は小梅ちゃんととっても仲良しだよ。もぅプロポーズ……結婚の申し込みもしたからね!」
「……そ、そうか……。」
「はぁ~、今のは、ちょっと意地悪。僕だって父様に大怪我させた君の事を、そんなにすんなり許せないよ。」
「そうだよな………本当に、本当にすまなかった!!謝る事しかできない!!」
「……うん、だからさ、そうやって素直に謝ればいいんじゃないかな?ちゃんと姉さんに謝ってないでしょ?姉さんだって頭では分かってるよ。君の結婚相手なんだし、僕達山神の子は他の人と結婚できないんだから。」
「男が簡単に女に頭を下げるのは……。」
「だーかーらー!!それだよ!何それ?悪い事したのなら謝るのは当たり前だろ!謝りもせずに許されると思ってる?男とか女とか関係ない。もう少しで君は殺人犯だったんだ!その事分かってる?」
「………ぅ……。」
「僕が姉さんの立場でも許せないと思うよ!僕達がここに来るまで、どれだけ努力したと思う?村人の為に何が必要か調べて、荷物をまとめて、勉強も沢山した。読み書き、計算、畑仕事に、炊事洗濯。全て出来るように毎日毎日努力したんだ。それも全て、結婚相手の為、村の人達の為。……それなのに、村の事1番考えてる父様が殺されかけたんだ。男だからとか女に頭下げたら格好悪いとか………ふざけるな!!!」
「……っ。………ごめんなさい……。」
「それは僕にじゃないでしょ!あの時の爺様は、自分の命をかけて村を守った。それが格好悪く見えた?僕は、爺様すごいなと思ったけどね!!それに、君だけが母様が居なくなって寂しかったと思ってる?1番寂しかったのは小梅ちゃんだよ!小梅ちゃんは、たった1人の家族が居なくなって毎晩泣いていたそうだよ。それでも、爺様達の前では元気に明るく振る舞ってた……。自分1人が辛いって被害者ぶって、そんな奴の嫁になる姉さんがかわいそうだ!!」
「………ぐっ………ごめ……なざい……、お、俺……。」
「僕は言いたいこと言えてスッキリしたぁ~。君も姉さん幸せにするって父様と約束したんだ。しっかり守って!!」
「………分かった。ありがとう。」
ぅわ~、春太はかなり溜まってたんだろうな。確かにゆきにとって辛い事になってしまった。
俺は何もしてやれない……。ゆき……許してやってくれ。
隣を見ると、桃も悔しそうな顔のまま泣いていた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。
拝啓、借金のカタに鬼公爵に無理やり嫁がされましたが、私はとても幸せです。大切にしてくれる旦那様のため、前世の知識で恩返しいたします。
伊東万里
恋愛
手軽に読んでいただけるよう、短めにまとめる予定です。
毎日更新できるよう頑張ります。
【あらすじ】
実家の子爵家の借金の返済猶予の交渉ために、鬼人と呼ばれ恐れられていた20歳も年上の公爵の元に嫁がされることとなった子爵家の娘。
実母が亡くなってからは、継母や腹違いの妹に虐げられ、実の父も庇ってくれず、実家に居場所なんてなくなっていた。心を殺して生きてきた娘は、無理やり嫁がされた鬼公爵家で、大事にされすぎ、驚きを隠せない。娘の凍り付いた心が徐々に溶けていき、喜怒哀楽の表情がでてくる。
そんな娘が、前世で極めた薬学、経済学の記憶をフル活用し、鬼人の旦那様に感謝の気持ちで恩返しをする話。
<アルファポリスのみに投稿しています>
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる