36 / 90
36 山犬様
しおりを挟む
桃が目をぎゅっと閉じて体を縮めた時に、声がした。
「おいっ!!山犬様、桃を揶揄ないでください!!」
「ク、クロモ様ーーー、この怖い人が急に家の中に!!」
「落ち着け桃、大丈夫だ。俺の前の山神様だ。」
「え?」
「驚いたか?俺が山神だ。まだ山神をやめていなかったら、お前は、俺の嫁だ。」
「クロモ様で良かったぁ~。」
「おい、失礼だな!!」
「だって、顔怖い。」
「俺はそこの蜘蛛と違ってモテモテだぞ!!」
「蜘蛛でもクロモ様の方が良い。」
「…………酷くないか?俺は、元とはいえ、神だぞ?」
「クククククっ!!あははははは!も、桃、本当に桃はブレないな!すみません、こいつは俺にも最初から失礼だったので許してやってください。」
「まぁいい。今日はな、初めての出産は大変だろうと思い、俺の嫁を1人連れて来た。そこの眷族にでも覚えてもらえ。産まれて落ち着いたら迎えに来る。ほら、出て来い!」
「わたくし、ふゆと申します。」
「あっ、よろしくお願いします。桃です。あ、あの、山犬様……ありがとうございます。」
「はははは、よいよい。産まれた後などの事は俺はよく分からないからな!ふゆにしっかりと教えてもらえ。」
「はい。あっ、そうだ。クロモ様、ご飯食べていってもらいましょう!!お酒もありますよ!」
「そうだな。聞きたい事もあるし、どうでしょう?」
「では、遠慮なくいただくとしよう。」
サクラと一緒に簡単な料理を作り、ひとまずお酒と一緒に出す。
後はクロが一緒に料理を作ってくれると言うので、桃も話しに加わった。
「ほぅ、この酒は美味いな!」
「これは梅の実を漬けた、梅酒。本当なら、もっと漬け込むのですが桃が歌うと酒が早く出来上がる。」
「俺も梅酒は知っているが、これほどの味だったか?」
「桃の歌で、野菜は良く育ち美味しくなり、あの林檎は実が大きくなり効果も上がる。梅酒の味も美味しくなる。さぁ、この料理も桃の歌を聞いて育った野菜です。美味しいですよ。」
「それは楽しみだ。」
料理もどんどん運ばれてきて、昔に無かった料理を美味い美味いと食べてくれる。
ふゆは、お淑やかにパクパク食べているが、かなり気に入ったのか箸の動くスピードがすごい。
「あっ、山犬様。私、山犬様の本当の姿が見てみたいです。」
「お?いいぞ!惚れるなよ。」
ふわっと風が吹いて、大きなもふもふのちょっと顔が怖い犬がお座りをしていた。
「か、かっこいいー!それに可愛いーー!さ、触っても良いですか?」
「あぁ、いいぞ。」
「ぅわ~、ふっかふか。」
「そうだろ?桃、俺の嫁になるか?」
「桃を揶揄わないでください!!」
「まぁ、そう妬くな。後1人くらいなら嫁が増えるのも良い。どうだ?」
「山犬様、元の姿はクロモ様に比べたら月とスッポン!気持ち悪い蜘蛛よりずっとずっと素敵です。でも、私はクロモ様の容姿が好きなんじゃないんです。クロモ様が私を思ってくれる気持ちが大好きなんです。」
「ほぉ~、良かったな、黒蜘蛛。」
「……はい。」
「なので、ごめんなさい。私はいくら気持ち悪い蜘蛛でもクロモ様の嫁がいいです。それに少しは慣れて来ました。思い出すくらい………うっ……ぉえ。」
「ぅわー!!桃、ここで吐くな!!それに、さっきから気持ち悪い言い過ぎだ!!」
「がはははははははは、面白い嫁をもらったな。」
サクラとふゆの部屋を整えて、暖めておいた。妊娠中の桃は先に休ませてもらう事にした。
桃が部屋に入ってからもしばらく料理を楽しみ、ふゆを部屋に案内してから、クロモは自分が引いた温泉に案内して山犬様と一緒に入る事にする。
「俺に聞きたい事があるのだろう?」
「はい。俺は桃が嫌がるから日中は人間の姿でいます。どれくらいなら人間の姿でいても大丈夫なのでしょうか?」
「ふむ。俺は日中元の姿だったが夜は毎晩人間の姿になっていた。嫁が8人もいたら大変でな。あまり気にしなくていいんじゃないか?」
「そ、そうですか。」
「おいっ!!山犬様、桃を揶揄ないでください!!」
「ク、クロモ様ーーー、この怖い人が急に家の中に!!」
「落ち着け桃、大丈夫だ。俺の前の山神様だ。」
「え?」
「驚いたか?俺が山神だ。まだ山神をやめていなかったら、お前は、俺の嫁だ。」
「クロモ様で良かったぁ~。」
「おい、失礼だな!!」
「だって、顔怖い。」
「俺はそこの蜘蛛と違ってモテモテだぞ!!」
「蜘蛛でもクロモ様の方が良い。」
「…………酷くないか?俺は、元とはいえ、神だぞ?」
「クククククっ!!あははははは!も、桃、本当に桃はブレないな!すみません、こいつは俺にも最初から失礼だったので許してやってください。」
「まぁいい。今日はな、初めての出産は大変だろうと思い、俺の嫁を1人連れて来た。そこの眷族にでも覚えてもらえ。産まれて落ち着いたら迎えに来る。ほら、出て来い!」
「わたくし、ふゆと申します。」
「あっ、よろしくお願いします。桃です。あ、あの、山犬様……ありがとうございます。」
「はははは、よいよい。産まれた後などの事は俺はよく分からないからな!ふゆにしっかりと教えてもらえ。」
「はい。あっ、そうだ。クロモ様、ご飯食べていってもらいましょう!!お酒もありますよ!」
「そうだな。聞きたい事もあるし、どうでしょう?」
「では、遠慮なくいただくとしよう。」
サクラと一緒に簡単な料理を作り、ひとまずお酒と一緒に出す。
後はクロが一緒に料理を作ってくれると言うので、桃も話しに加わった。
「ほぅ、この酒は美味いな!」
「これは梅の実を漬けた、梅酒。本当なら、もっと漬け込むのですが桃が歌うと酒が早く出来上がる。」
「俺も梅酒は知っているが、これほどの味だったか?」
「桃の歌で、野菜は良く育ち美味しくなり、あの林檎は実が大きくなり効果も上がる。梅酒の味も美味しくなる。さぁ、この料理も桃の歌を聞いて育った野菜です。美味しいですよ。」
「それは楽しみだ。」
料理もどんどん運ばれてきて、昔に無かった料理を美味い美味いと食べてくれる。
ふゆは、お淑やかにパクパク食べているが、かなり気に入ったのか箸の動くスピードがすごい。
「あっ、山犬様。私、山犬様の本当の姿が見てみたいです。」
「お?いいぞ!惚れるなよ。」
ふわっと風が吹いて、大きなもふもふのちょっと顔が怖い犬がお座りをしていた。
「か、かっこいいー!それに可愛いーー!さ、触っても良いですか?」
「あぁ、いいぞ。」
「ぅわ~、ふっかふか。」
「そうだろ?桃、俺の嫁になるか?」
「桃を揶揄わないでください!!」
「まぁ、そう妬くな。後1人くらいなら嫁が増えるのも良い。どうだ?」
「山犬様、元の姿はクロモ様に比べたら月とスッポン!気持ち悪い蜘蛛よりずっとずっと素敵です。でも、私はクロモ様の容姿が好きなんじゃないんです。クロモ様が私を思ってくれる気持ちが大好きなんです。」
「ほぉ~、良かったな、黒蜘蛛。」
「……はい。」
「なので、ごめんなさい。私はいくら気持ち悪い蜘蛛でもクロモ様の嫁がいいです。それに少しは慣れて来ました。思い出すくらい………うっ……ぉえ。」
「ぅわー!!桃、ここで吐くな!!それに、さっきから気持ち悪い言い過ぎだ!!」
「がはははははははは、面白い嫁をもらったな。」
サクラとふゆの部屋を整えて、暖めておいた。妊娠中の桃は先に休ませてもらう事にした。
桃が部屋に入ってからもしばらく料理を楽しみ、ふゆを部屋に案内してから、クロモは自分が引いた温泉に案内して山犬様と一緒に入る事にする。
「俺に聞きたい事があるのだろう?」
「はい。俺は桃が嫌がるから日中は人間の姿でいます。どれくらいなら人間の姿でいても大丈夫なのでしょうか?」
「ふむ。俺は日中元の姿だったが夜は毎晩人間の姿になっていた。嫁が8人もいたら大変でな。あまり気にしなくていいんじゃないか?」
「そ、そうですか。」
1
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
拝啓、借金のカタに鬼公爵に無理やり嫁がされましたが、私はとても幸せです。大切にしてくれる旦那様のため、前世の知識で恩返しいたします。
伊東万里
恋愛
手軽に読んでいただけるよう、短めにまとめる予定です。
毎日更新できるよう頑張ります。
【あらすじ】
実家の子爵家の借金の返済猶予の交渉ために、鬼人と呼ばれ恐れられていた20歳も年上の公爵の元に嫁がされることとなった子爵家の娘。
実母が亡くなってからは、継母や腹違いの妹に虐げられ、実の父も庇ってくれず、実家に居場所なんてなくなっていた。心を殺して生きてきた娘は、無理やり嫁がされた鬼公爵家で、大事にされすぎ、驚きを隠せない。娘の凍り付いた心が徐々に溶けていき、喜怒哀楽の表情がでてくる。
そんな娘が、前世で極めた薬学、経済学の記憶をフル活用し、鬼人の旦那様に感謝の気持ちで恩返しをする話。
<アルファポリスのみに投稿しています>
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
婚約破棄に向けて悪役令嬢始めました
樹里
ファンタジー
王太子殿下との婚約破棄を切っ掛けに、何度も人生を戻され、その度に絶望に落とされる公爵家の娘、ヴィヴィアンナ・ローレンス。
嘆いても、泣いても、この呪われた運命から逃れられないのであれば、せめて自分の意志で、自分の手で人生を華麗に散らしてみせましょう。
私は――立派な悪役令嬢になります!
【完結済み】ブレイメン公国の気球乗り。異世界転移した俺は特殊スキル気球操縦士を使って優しい赤毛の女の子と一緒に異世界経済を無双する。
屠龍
ファンタジー
山脈の国に降り立った気球乗りと心優しい竜騎士王女の純愛ものです。
「ドラゴンを解剖させてください」
「お前は何を言っているんだ」
日本の大学を卒業して奨学金返済の為に観光施設で気球乗りとして働いていた水無瀬隼人(みなせはやと)が謎の風に乗って飛ばされたのは異世界にある山脈の国ブレイメン公国。隼人が出会ったのは貧しくも誇り高く懸命に生きるブレイメン公国の人々でした。しかしこのブレイメン公国険しい山国なので地下資源は豊富だけど運ぶ手段がない。「俺にまかせろ!!」意気込んで気球を利用して自然環境を克服していく隼人。この人たちの為に知識チートで出来る事を探すうちに様々な改革を提案していきます。「銀山経営を任されたらやっぱ灰吹き法だよな」「文字書きが出来ない人が殆どだから学校作らなきゃ」日本の大学で学んだ日本の知識を使って大学を設立し教育の基礎と教師を量産する隼人と、ブレイメン公国の為に人生の全てを捧げた公女クリスと愛し合う関係になります。強くて健気な美しい竜騎士クリス公女と気球をきっかけにした純愛恋愛物語です。
。
第17回ファンタジー小説大賞参加作品です。面白いと思われたらなにとぞ投票をお願いいたします。
実家から絶縁されたので好きに生きたいと思います
榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。
なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね?
【ご報告】
書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m
発売日等は現在調整中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる