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17 勉強とココア
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ご飯を食べながら桃に卵の様子を聞くと、大事そうに見せてくれた。湯を替える時などタオルで作った袋に入れて首から下げ桃の胸あたりの体温で温めているそうだ。
くそー!ヒヨコめ!!羨ましいぞ!!もし、オスだったら許さない!!
しょーもない嫉妬をしていたが、今日も卵があったからと2つの卵を温めている。
温泉の熱を利用して孵卵器を作ろう。
そして、少し元気になったクロモはその二つの卵にちょびっとだけ神力を注いだ。
これで少し早く孵るだろう。
次の日早速、温泉を引いている石の上に卵がちょうど入る穴を開けて、タオルを切って敷き詰めた。
桃を呼んで、卵を置くように言うと2個目の卵と今朝産まれた3個目の卵を入れた。初めての卵は自分で孵すと譲らなかった。
クロモが嫉妬しているとは全く思ってない桃は、愛しそうに卵1を抱えて機織りに戻った。
桃は織り機の横に今日も卵1を持ってきて、話しかけたり歌いかけたりしながら機織りを頑張っていた。
私の織った布が誉められちゃった。もっと沢山織れるようになってお金を沢山貰えるようになったらクロモ様に何かプレゼントしよう!!
貰ってばっかりだし、クロモ様何が良いかなぁ~。やっぱりお肉かな?
それとも林檎を喜んでいたから珍しい果物とか?町には何でもあるって言ってたからなぁ~。楽しみだな。
でも、クロモ様の怪我がしっかり治って私もお金の計算や文字や数字をしっかりと覚えないと町には行けないって言われたし、まだまだ先だ……はぁ~、早くクロモ様とお出かけしたい。
そんな事を考えながらの機織りの時間はあっという間に過ぎて、晩御飯を食べてから、昨日の続きの勉強の時間になった。
桃は、クロモに聞かれるまで読み書きも計算も出来ない事に全く気付いてなかった。
爺様や婆様は、読み書きを習う時間があったから知っていたが、今の若い子達は、人数も少ないせいで日々の生活に精一杯だ。
爺様達は、言い伝えを紙に書いて残してくれているが、大人の数人がなんとか読める程度。
字を習う時間があったら畑を耕し野菜を作らないと生活できない。夜の少ない時間に大人だけ爺様が教えているが暗くてなかなか進まない。
子どもは仕事で疲れ果てて早く寝てしまうので、勉強なんてした事がなかった。特に桃達は親が居ないから、ちょっとの時間にひらがな程度教えてもらう事もなく、何も不自由を感じずにここまできてしまった。
源は時々畑仕事をしていると母親からひらがなの「い・ろ・は・に」まで教えてもらったとか、書けるようになったとか自慢しに来ていたが、桃は野菜を一つでも多く育てる事の方が大事だった。
あーぁ、こんな事なら少しでも源から教えてもらうんだったなぁ~。でもあの時は、字が読めるよりお腹いっぱい食べる方が良かったもん。仕方ないかぁ。
クロモはいろはにほへと…ではなく、あいうえお表を作って教えた。
「あ」の横にはクロモが蟻の絵を書いてくれている。とても分かりやすい。
まずは「も」を覚えた。自分の名前だ。しかも一つ覚えるだけで名前が書ける。父さんは、なんと素晴らしい名前を付けてくれたんだ!と感謝した。
ひらがな練習ノートを作って、昨日から書き取りをしている。
面倒な事に、日本語にはカタカナもあるし、漢字まであるらしい。漢字は簡単な物を覚えられるだけでいいと言ってくれているが、字を覚えたら次は計算を覚え、その次はお金の使い方なども覚えなくてはいけない。
はぁ~、いつになったら町に行けるんだろう。
桃が乾電池という物で光るライトを付けて勉強していると、クロモが温かいココアを淹れて持って来てくれた。
この前、初めてココアを飲んで、あまりの美味しさに泣き出した桃を見て勉強のご褒美に飲ませてくれる事になった。
「はぁ~、美味しい。世の中にこんな美味しい物があったなんて!!」
「良かったな。他にも桃がビックリするような美味しい物が沢山あるぞ!それに、字が読めるようになったら、料理の作り方が書いてある本もあるし、桃の好きな甘味も自分で本を読んで作る事が出来るようになる。」
「ぅわーーー!!よし、頑張る!!」
「桃、勉強の邪魔になるだろ?卵は俺が温めておく。」
「あっ、大丈夫!絶対私1人で孵すんだもん!」
「……そ、そうか………。」
くそー!ヒヨコめ!!羨ましいぞ!!もし、オスだったら許さない!!
しょーもない嫉妬をしていたが、今日も卵があったからと2つの卵を温めている。
温泉の熱を利用して孵卵器を作ろう。
そして、少し元気になったクロモはその二つの卵にちょびっとだけ神力を注いだ。
これで少し早く孵るだろう。
次の日早速、温泉を引いている石の上に卵がちょうど入る穴を開けて、タオルを切って敷き詰めた。
桃を呼んで、卵を置くように言うと2個目の卵と今朝産まれた3個目の卵を入れた。初めての卵は自分で孵すと譲らなかった。
クロモが嫉妬しているとは全く思ってない桃は、愛しそうに卵1を抱えて機織りに戻った。
桃は織り機の横に今日も卵1を持ってきて、話しかけたり歌いかけたりしながら機織りを頑張っていた。
私の織った布が誉められちゃった。もっと沢山織れるようになってお金を沢山貰えるようになったらクロモ様に何かプレゼントしよう!!
貰ってばっかりだし、クロモ様何が良いかなぁ~。やっぱりお肉かな?
それとも林檎を喜んでいたから珍しい果物とか?町には何でもあるって言ってたからなぁ~。楽しみだな。
でも、クロモ様の怪我がしっかり治って私もお金の計算や文字や数字をしっかりと覚えないと町には行けないって言われたし、まだまだ先だ……はぁ~、早くクロモ様とお出かけしたい。
そんな事を考えながらの機織りの時間はあっという間に過ぎて、晩御飯を食べてから、昨日の続きの勉強の時間になった。
桃は、クロモに聞かれるまで読み書きも計算も出来ない事に全く気付いてなかった。
爺様や婆様は、読み書きを習う時間があったから知っていたが、今の若い子達は、人数も少ないせいで日々の生活に精一杯だ。
爺様達は、言い伝えを紙に書いて残してくれているが、大人の数人がなんとか読める程度。
字を習う時間があったら畑を耕し野菜を作らないと生活できない。夜の少ない時間に大人だけ爺様が教えているが暗くてなかなか進まない。
子どもは仕事で疲れ果てて早く寝てしまうので、勉強なんてした事がなかった。特に桃達は親が居ないから、ちょっとの時間にひらがな程度教えてもらう事もなく、何も不自由を感じずにここまできてしまった。
源は時々畑仕事をしていると母親からひらがなの「い・ろ・は・に」まで教えてもらったとか、書けるようになったとか自慢しに来ていたが、桃は野菜を一つでも多く育てる事の方が大事だった。
あーぁ、こんな事なら少しでも源から教えてもらうんだったなぁ~。でもあの時は、字が読めるよりお腹いっぱい食べる方が良かったもん。仕方ないかぁ。
クロモはいろはにほへと…ではなく、あいうえお表を作って教えた。
「あ」の横にはクロモが蟻の絵を書いてくれている。とても分かりやすい。
まずは「も」を覚えた。自分の名前だ。しかも一つ覚えるだけで名前が書ける。父さんは、なんと素晴らしい名前を付けてくれたんだ!と感謝した。
ひらがな練習ノートを作って、昨日から書き取りをしている。
面倒な事に、日本語にはカタカナもあるし、漢字まであるらしい。漢字は簡単な物を覚えられるだけでいいと言ってくれているが、字を覚えたら次は計算を覚え、その次はお金の使い方なども覚えなくてはいけない。
はぁ~、いつになったら町に行けるんだろう。
桃が乾電池という物で光るライトを付けて勉強していると、クロモが温かいココアを淹れて持って来てくれた。
この前、初めてココアを飲んで、あまりの美味しさに泣き出した桃を見て勉強のご褒美に飲ませてくれる事になった。
「はぁ~、美味しい。世の中にこんな美味しい物があったなんて!!」
「良かったな。他にも桃がビックリするような美味しい物が沢山あるぞ!それに、字が読めるようになったら、料理の作り方が書いてある本もあるし、桃の好きな甘味も自分で本を読んで作る事が出来るようになる。」
「ぅわーーー!!よし、頑張る!!」
「桃、勉強の邪魔になるだろ?卵は俺が温めておく。」
「あっ、大丈夫!絶対私1人で孵すんだもん!」
「……そ、そうか………。」
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