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3 嘔吐
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「俺が怖いか?」
「………い、いえ……。」
「……本当に?」
「…う、嘘ではない……です……はい。」
「なら、なぜ逃げる?」
「………いや、ちょっと…………ごにょごにょ………。」
「………正直に言え。怒りはしない。」
「…ほ、本当に?ほんとーーーに、怒りませんか?」
「あぁ、怒らない。」
「………本当に?」
「しつこい!怒らんって言ったら怒らん!」
「………ぃ……に……む……。」
「はっ?聞こえん!!ハッキリ言え!」
「だから、生理的に無理!怖いんじゃなくて気持ち悪いの!!」
「……ハッキリ言い過ぎじゃないか?」
だって、私は蜘蛛が大嫌いで、見た目が無理。あの足がいっぱいある所や動きも全てが苦手だ。生き物の中で1番嫌い!!なので正直に本当の事を言っただけだ。
「く、蜘蛛を見るのも嫌なの!!見た目が気持ち悪くて無理!」
もう一度ハッキリ伝えておいた。
「………あ……ちょっと傷ついた……。見た目が無理って……はぁ~。でも、今回の花嫁はお前なんだろ?」
「わ、私は山神様の花嫁なの!蜘蛛の花嫁じゃない!!こっち見ないで!私の視界から消えて!!」
「……酷い……。俺がその山神様って呼ばれてるんだよ。」
「えっ?」
「いや、だから、俺、山神!」
「はっ?」
「お前は、俺の嫁!」
「…………っ…………おえーーー……うっぷ……ゲロゲロゲロ~」
「ぅわーーー!吐くな!!汚いなぁー!!最悪だ!」
「こっちの方が………ぉえーー!」
「ぎゃぁぁぁぁ~。お前みたいな最低な嫁、初めてだ!」
気持ち悪すぎての嘔吐に、ドン引きの自称山神様を見ないようにしていたら、何やらぶつぶつ言い出した。
「全く、最低な女だな。俺を見て吐くなんて!……ぅわ~汚ねぇ~。せっかくの花嫁衣装がゲロまみれ。……はぁ~、もぅこの結婚は罰ゲームだな。あぁくそっ!!面倒だ!」
一瞬風が吹いたような気がして、ふと化け物を見てしまった。
………あれ?
「………さっきの気持ち悪い化け物は?」
「……俺だよ!!」
「はっ?」
「だから、人間の姿になれるんだよ!」
「じゃあ、最初からその姿でいてよ!」
「……あのなぁ。人間の姿になれるってだけで、俺の本当の姿はあっちなんだよ!」
「………二度とあっちの姿に戻らないで。」
目の前の気持ち悪い蜘蛛は、黒髪の黒い服の村では見た事もない爽やかなイケメンになっていた。
「……お前なぁ~!!はぁ、とりあえず家に行くぞ!このままここにいたら熊や狼に襲われるぞ。」
「うっ、分かった。」
「俺は荷物運ぶのに本当の姿にならなきゃ一度に運べない。」
「絶対にダメ!また吐く!!」
「………そんな事言われても。ここまで遠いんだよ!わがまま言うな。」
「あんな気持ち悪いの、もぅ二度と見たくない!!」
「……俺も怒るよ?ちょっと酷すぎないか?」
「無理なもんは無理!!」
「がーーー!!!うるさい!!分かったよ!じゃあしばらく寝てろ!」
そう言われてすぐに目の前が真っ暗になった。
「おい!いい加減、起きろ!!」
「………うーん……蜘蛛……気持ち悪~……。」
「……腹立つ嫁だな。このやろう!!」
ペチンと頬に少し痛みが来て、目が覚めた。
「ここは?」
「俺ん家。」
気づいたら白無垢は脱がされて肌着のみで布団で寝ていた。
「げっ!!脱がせたの?」
「げって……。俺の花嫁なんだから何したっていいだろ!」
「……よくない。」
「お前なぁ~。俺は神様で、お前は俺の嫁!」
「蜘蛛だって知ってたら嫁になんかならなかったもん!」
「……もぅ村には戻れないし諦めろ。」
「……う……。」
「飯食うか?」
「私は、蛾とか虫は食べないし。」
「俺だって食わねぇよ!ご飯と焼き魚と味噌汁だ!」
「料理出来るんだ……。お腹空いたからいただきます。」
「もっと遠慮してもいいぞ!図々しい奴だな。」
「吐いてお腹空っぽだから、お腹空いた。」
「………あれだけ吐いたらそりゃなぁ~。」
「………い、いえ……。」
「……本当に?」
「…う、嘘ではない……です……はい。」
「なら、なぜ逃げる?」
「………いや、ちょっと…………ごにょごにょ………。」
「………正直に言え。怒りはしない。」
「…ほ、本当に?ほんとーーーに、怒りませんか?」
「あぁ、怒らない。」
「………本当に?」
「しつこい!怒らんって言ったら怒らん!」
「………ぃ……に……む……。」
「はっ?聞こえん!!ハッキリ言え!」
「だから、生理的に無理!怖いんじゃなくて気持ち悪いの!!」
「……ハッキリ言い過ぎじゃないか?」
だって、私は蜘蛛が大嫌いで、見た目が無理。あの足がいっぱいある所や動きも全てが苦手だ。生き物の中で1番嫌い!!なので正直に本当の事を言っただけだ。
「く、蜘蛛を見るのも嫌なの!!見た目が気持ち悪くて無理!」
もう一度ハッキリ伝えておいた。
「………あ……ちょっと傷ついた……。見た目が無理って……はぁ~。でも、今回の花嫁はお前なんだろ?」
「わ、私は山神様の花嫁なの!蜘蛛の花嫁じゃない!!こっち見ないで!私の視界から消えて!!」
「……酷い……。俺がその山神様って呼ばれてるんだよ。」
「えっ?」
「いや、だから、俺、山神!」
「はっ?」
「お前は、俺の嫁!」
「…………っ…………おえーーー……うっぷ……ゲロゲロゲロ~」
「ぅわーーー!吐くな!!汚いなぁー!!最悪だ!」
「こっちの方が………ぉえーー!」
「ぎゃぁぁぁぁ~。お前みたいな最低な嫁、初めてだ!」
気持ち悪すぎての嘔吐に、ドン引きの自称山神様を見ないようにしていたら、何やらぶつぶつ言い出した。
「全く、最低な女だな。俺を見て吐くなんて!……ぅわ~汚ねぇ~。せっかくの花嫁衣装がゲロまみれ。……はぁ~、もぅこの結婚は罰ゲームだな。あぁくそっ!!面倒だ!」
一瞬風が吹いたような気がして、ふと化け物を見てしまった。
………あれ?
「………さっきの気持ち悪い化け物は?」
「……俺だよ!!」
「はっ?」
「だから、人間の姿になれるんだよ!」
「じゃあ、最初からその姿でいてよ!」
「……あのなぁ。人間の姿になれるってだけで、俺の本当の姿はあっちなんだよ!」
「………二度とあっちの姿に戻らないで。」
目の前の気持ち悪い蜘蛛は、黒髪の黒い服の村では見た事もない爽やかなイケメンになっていた。
「……お前なぁ~!!はぁ、とりあえず家に行くぞ!このままここにいたら熊や狼に襲われるぞ。」
「うっ、分かった。」
「俺は荷物運ぶのに本当の姿にならなきゃ一度に運べない。」
「絶対にダメ!また吐く!!」
「………そんな事言われても。ここまで遠いんだよ!わがまま言うな。」
「あんな気持ち悪いの、もぅ二度と見たくない!!」
「……俺も怒るよ?ちょっと酷すぎないか?」
「無理なもんは無理!!」
「がーーー!!!うるさい!!分かったよ!じゃあしばらく寝てろ!」
そう言われてすぐに目の前が真っ暗になった。
「おい!いい加減、起きろ!!」
「………うーん……蜘蛛……気持ち悪~……。」
「……腹立つ嫁だな。このやろう!!」
ペチンと頬に少し痛みが来て、目が覚めた。
「ここは?」
「俺ん家。」
気づいたら白無垢は脱がされて肌着のみで布団で寝ていた。
「げっ!!脱がせたの?」
「げって……。俺の花嫁なんだから何したっていいだろ!」
「……よくない。」
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「蜘蛛だって知ってたら嫁になんかならなかったもん!」
「……もぅ村には戻れないし諦めろ。」
「……う……。」
「飯食うか?」
「私は、蛾とか虫は食べないし。」
「俺だって食わねぇよ!ご飯と焼き魚と味噌汁だ!」
「料理出来るんだ……。お腹空いたからいただきます。」
「もっと遠慮してもいいぞ!図々しい奴だな。」
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「………あれだけ吐いたらそりゃなぁ~。」
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