没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!

武蔵野純平

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第三章 ノエル南部に立つ!

第40話 異世界初!? マジックバレル爆誕!

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「ねー! みーちゃん! まだー?」

「マリー! もうちょっとニャ!」

 目をつぶっているマリーが、目を開けて良いかとネコネコ騎士のみーちゃんを急かす。
 みーちゃんが、俺に目配せした。
 みーちゃんの目が焦り、『早くするニャ!』と語っている。

 待ってくれ!
 あと、ちょっとだ!

「セバスチャン! あそこだ!」

「参りましょう!」

 俺は執事のセバスチャンに材料の詰まった布袋型のマジックバッグを担がせ、井戸を掘っていた場所へ走る。

 井戸を掘っていた場所に、古ぼけた木の囲いがあった。
 かなりグズグズになっているので、触ると崩れそうだ。

 そっと中をのぞいてみる。
 真っ暗で何も見えない。

「ノエル様。カンテラで照らしてみますか?」

 執事のセバスチャンがマジックバッグの中からカンテラを取り出そうとしたが、俺は首を振って止めた。

「いや……。火は危険だ。あの黒い水は、火を近づけると燃えるのだ」

「なんと!」

 執事のセバスチャンが、顔色を変える。
 この世界では、石油の危険性について誰も理解していないだろう。
 俺がちゃんと教えないとダメだ。

「それに黒い水は、ガスを発生させる場合もある。この中に火を近づけたら爆発するかもしれない」

「非常に危険ですね!」

 確かガソリンは揮発しやすく、空気と混ざり火を近づけると爆発する。
 原油が揮発するのかは、わからないが、用心するに越したことはない。

 俺とセバスチャンは、再び木の囲いをのぞき込む。
 中は見えないが、底の方からコポコポと音が聞こえた。

 間違いない。
 ここが石油の湧出地点だ。
 ここを塞げば、再び石油が流出することはない。
 川はきれいに保たれる。

「セバスチャン! 石材だ!」

「こちらに!」

 セバスチャンが布袋型マジックバッグから石材の固まりを取り出し地面に置く。

「スキル発動! 【マルチクラフト】!」

 俺は、すぐに生産スキルを発動させた。
 掘られた穴にピッタリはまるサイズの石材をイメージする。

 生産スキル【マルチクラフト】が、俺のイメージを読み取り設計プロセスを進める。
 石材の形を変化させるだけなので、スキルによる設計はすぐに終わり、生成プロセスに入った。

 魔力が黄金の光となってほとばしり、スキルが七色の光を発する。
 光が収まると、石油の湧出地点は石材で覆われていた。

「ふう。これで大丈夫だろう」

 俺はみーちゃんに手で合図を送り、執事のセバスチャンを村長のベント老人と村人二人の元へ走らせた。

「すごーい! 黒いお水が消えているわ!」

 妹のマリーが目を開けて、驚いている。
 村長のベント老人と二人の村人たちも、原油の沼が消えてあ然としている。

「ええ!?」
「消えた!?」
「黒い水は、どこへ行った!?」

 騒ぎを聞きつけて、エルフのシューさんが戻ってきた。

「終ったね」

 シューさんは淡々としている。
 俺はシューさんに尋ねた。

「驚かないのですね?」

「何か解決方法があるのだろうと予想していた。何をしたのかは聞かない。あの樽は何?」

 そしてチラリと樽型マジックバッグを見た。
 バレバレだ。

 誤魔化しようがないので、俺は正直に告げた。

「あれは……樽型マジックバッグだよ。液体を収納出来る」

「樽型……? 普通の樽に見えるけど、マジックバッグの機能がついているの?」

「そう」

「じゃあ、マジックバレル」

「良いですね! マジックバレルと呼びましょう!」

 うん。マジックバレル。わかりやすくて良い名前だ。

 エルフのシューさんは、ジトッと俺を見る。
 何だろう?

「なに?」

「マジックバレルには、液体を収納できると言ったよね?」

「そうですよ」

「私の知る限り液体を収納できるマジックバッグはない。液体を樽に入れてマジックバッグに収納する」

「あー……」

 どうやら俺はやってしまったらしい。
 この世にはないアイテムを誕生させてしまったのだ。

「さあ、答えて! マジックバレルは、どこで入手したの!」

「ひ……秘密です!」

 俺はシューさんの追求にタジタジになったが口を割らなかった。

 俺の生産スキル【マルチクラフト】のおかげで川はきれいになり、開拓村の村人たちは水浴びや洗濯を行い、俺は村人たちから感謝され新しい領主として信頼を得た。

 まず第一歩だ!
 さあ、次は……。
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