没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!

武蔵野純平

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第一章 王都から追放

第11話 脱出! 王都屋敷!

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「ネコ野郎……!? みーちゃんは、女の子ニャ! 怒りのネコパンチを喰らうニャ!」

「うわああ!」

「始末しろ!」

「シャアァァァァァ!」

 敷地の外でみーちゃんとチンピラがもみ合う声が聞こえる。

(急がなきゃ!)

 俺はひたすら手を動かし、屋敷の解体を続ける。
 スキルで屋敷を素材ブロックに生成し、マジックバッグに収納する。

 あともう少し……。
 もう少し……。

「よし! 終った!」

 エトワール伯爵家の王都屋敷は、消えてなくなり、ガランと何もない更地が残った。
 俺は全力で馬車へ走る。

 執事のセバスチャンに大声で叫ぶ。

「終った! 出せ!」

「かしこまりました!」

 馬車の扉を開いて、キャビンに入ると妹のマリーが目を覚まし怯えていた。
 妹のマリーが、俺に抱きつく。

「お兄様!」

「大丈夫! 大丈夫! 大丈夫だから!」

 馬車が動かない。
 どうした?

「セバスチャン! どうした?」

「ノエル様! これはどうやって動かせば?」

「ああ! わかった! 俺がやる! ゴーレムよ! 走れ!」

 俺が馬車の窓から身を乗り出した命令すると、馬型のストーンゴーレムが動き出した。
 加速が凄い!
 あっという間にトップスピードだ。

「ゴーレムよ! ライトを点けろ!」

 光属性の魔方陣でゴーレムの目が光るようにしてある。
 俺の命令を受けて、ゴーレムの目が光り、前方を明るく照らした。

 執事のセバスチャンが感嘆の声を上げる。

「おお! 素晴らしい!」

 馬型ゴーレムはトップスピードになった。
 ガタガタと馬車が激しく揺れる。

 妹のマリーが悲鳴を上げた。

「キャア!」

「マリー! しっかりつかまるんだ!」

 前世日本の自動車を基準にして時速四十キロを『馬型ゴーレムの走る速度』に設定したが失敗だ!
 速すぎる!
 ガタガタと揺れが凄い!

 俺は馬車の窓枠を必死でつかみ、外へ向かって怒鳴る。

「どけどけ! ひき殺されるぞ!」

 暗闇の中でチンピラたちが驚く声が聞こえた。

「おわ!」
「何だ!? 光ってるぞ!?」
「馬車だ! 前に出て止めろ!」

 だれだ! バカな命令を出したヤツは!
 俺はすぐに大声で警告する!

「こいつはゴーレムだから止まらないぞ! 本当にひかれるから、どいてくれ!」

「マジか!?」
「冗談じゃねえ!?」
「お頭! 無理でしょ!」

 チンピラどもが道を空けたようだ。
 馬型ゴーレムに牽かれた馬車は、エトワール伯爵家王都屋敷の敷地から外へ出た。

 ガタガタ揺れる車内で、俺はみーちゃんに必死で呼びかける。

「みーちゃん! 飛び乗れ!」

「ニャアーーーー!」

 箱型馬車の中に人が飛び込んできた。
 みーちゃんだ!

「みーちゃん、無事か!?」

「大丈夫ニャ! それより、この乗り心地は何とかならないかニャ!」

「少し我慢して! 襲ってきた連中から離れたら速度を落とす!」

「マリーが吐きそうニャ!」

 暗い馬車の中で妹のマリーが『うう、うう』と、うなっているのか聞こえた。
 だが、速度は落とせない。
 チンピラ連中から逃げなければ……。

「マリー! もうちょっと頑張れ!」

 マリーは返事をする余裕がない。
 俺の声が聞こえているかもわからない。

 馬車の車輪が王都の石畳を削る。
 石の継ぎ目を車輪が拾い、箱馬車が細かに揺れギシギシ音を立てる。
 車体が保つか……?
 自分のスキルで作ったとはいえ、これだけ揺れるとさすがに不安になる。

「みーちゃん、後ろを見てくれ!」

「ニャ! 追っ手は来てないニャ! 大分離れたニャ!」

「わかった! ゴーレムよ! 歩け!」

 馬車の速度がガクンと落ちた。
 歩く速度は、時速十キロだ。
 人が歩くより速い。

 カツカツカツと馬型ゴーレムが石畳を叩く小気味よい足音が響く。
 馬車の揺れも先ほどよりはマシになった。

「ゴーレムよ! 右に曲がれ!」

 俺は馬型ゴーレムに大通りを右に曲がるように指示した。
 御者席から執事のセバスチャンが、心配そうに聞いてきた。

「ノエル様。街道へ向かうなら左ですが?」

「ああ、ちょっと寄り道するよ」

「寄り道? どちらへ?」

「王宮へ! ちょっと仕返ししてくるよ!」
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