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第一章 王都から追放
第4話 バキバキ童貞~ネコネコ騎士登場!
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屋敷の扉が勢いよく開いた。
「ニャー! 助けに来たニャー!」
現れたのは、猫獣人……。
というより大きな猫のぬいぐるみだ。
全身茶色の毛で覆われて、頭には三銃士みたいなツバの広い革の帽子、仕立ての良さそうな服を着て腰にはサーベル、足元は革製のブーツ。
この世界には獣人という種族がいる。
見た目は、ほぼ人と同じだが、尻尾や獣耳がある。
目の前に立つ猫獣人は、この世界の獣人よりも、かなり獣度が高い。
それに装備が良い。
獣人は簡単な服や簡素な革鎧を身につけている場合が多い。
だが、この猫獣人は、見るからに高級そうな服を着ている。
誰だ? コイツ?
「どちらさまでしよ?」
「わたしニャ! みーちゃんニャ! 久しぶりニャ!」
「えっ!? 知り合い!?」
いや……。
知らないぞ……。
この世界に転生してから出会った人は、だいたい覚えている。
何せ赤ん坊からやり直しだったのだ。
赤ん坊でも意識は大人。
十三才まで会った人の記憶にあるが、こんな特徴のある猫獣人は会ってないぞ。
「あの……大変失礼ながら……お目にかかった覚えがないのですが……」
「わたしニャ! 女神様の忠実なシモベ! ネコネコ騎士のみーちゃんニャ!」
俺が尋ねると、みーちゃんと名乗る猫獣人は、戦隊モノみたいなポーズを決めた。
オマエなんか知らん!
いや、待てよ……女神様!?
――俺は十三年前の記憶を頭から引っ張り出した。
前世日本で俺は、IT企業に勤める二十九才独身バリバリのビジネスメンだった。
会社からの帰り道、コンビニ弁当を片手に歩いていると、猫が車にひかれそうになっていた。
とっさに俺は道路に飛び出し猫を抱きかかえた。
宙を舞うコンビニ弁当とともに、俺の命は飛び散った。
ああ、海苔鮭弁当だったのに……。
次に目が覚めると、真っ白な空間で美しい女性が立っていた。
彼女は女神様だった。
俺が助けた猫は、女神様の使いで、俺はお礼として今の世界に異世界転生させてもらった。
ということは……。
「あっ! あの時、助けたネコか!」
「ニャー! 正解ニャ! 女神様の命により参上! 手伝いに来たニャ!」
「手伝い?」
「ニャ!」
みーちゃんの説明によれば、女神様は時々下界をウォッチしているそうだ。
先日、ふと俺のことを思い出して、この異世界をウォッチしてみると、俺が苦境に陥っていた。
そこで、『ノエルを助けるように!』とみーちゃんに命じてくれたらしい。
「そうか、女神様は俺のことを気にかけてくれていたんだ! 感謝だな! ところでその姿は?」
「女神様のお力で、この姿に変えてもらったのニャ! ネコネコ騎士なのニャ!」
「あー、わかった、わかった」
みーちゃんは、よほど今の姿が気に入っているのだろう。
満面の笑みで胸を張った。
議論すると面倒臭いことになりそうなので、俺はスルーを決めた。
「いやあ、なかなかの美形に転生したニャ!」
みーちゃんが感慨深そうに俺の姿を眺める。
俺は感謝の言葉を口にした。
「ありがとう。感謝しているよ」
「前世では、二十九才独身バキバキ童貞メンだったのに、偉い変わりようニャ!」
「なっ!? おまえ!?」
「家と会社の往復で女っ気の『お』の字もない人生だったニャ」
「やめて」
「でも、惜しかったニャ。もう少しで魔法使いになれたニャ」
「もう、やめて」
「バキバキ童貞で死んでしまったニャ」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
――俺のライフはゼロになった。
もう、やだ、こいつ嫌い!
俺はジトッとネコネコ騎士みーちゃんをにらむ。
「みーちゃんは、俺を助けに来たのか? それとも俺を虐めに来たのか?」
「ニャハハハ! ごめんニャ! 苦境を救いに来たニャ!」
「そう。それで何をしてくれるの?」
「まず護衛ニャ! 華麗なるネコネコ剣術で守ってあげるニャ!」
「ああ、まあ、うん。それはありがたいね」
みーちゃんは剣を振る動きをしたが、上手いのか下手なのかサッパリわからない。
まあ、でも、みーちゃんは、メイドバイ女神様だ。
それなりに戦えるのだろう。
魔物が多い南部へ行くに際し、護衛はありがたい。
「それから、これがもっとも重要ニャ!」
みーちゃんが、キリッとした顔をした。
何だろう?
「スキルの活性化ニャ!」
「ニャー! 助けに来たニャー!」
現れたのは、猫獣人……。
というより大きな猫のぬいぐるみだ。
全身茶色の毛で覆われて、頭には三銃士みたいなツバの広い革の帽子、仕立ての良さそうな服を着て腰にはサーベル、足元は革製のブーツ。
この世界には獣人という種族がいる。
見た目は、ほぼ人と同じだが、尻尾や獣耳がある。
目の前に立つ猫獣人は、この世界の獣人よりも、かなり獣度が高い。
それに装備が良い。
獣人は簡単な服や簡素な革鎧を身につけている場合が多い。
だが、この猫獣人は、見るからに高級そうな服を着ている。
誰だ? コイツ?
「どちらさまでしよ?」
「わたしニャ! みーちゃんニャ! 久しぶりニャ!」
「えっ!? 知り合い!?」
いや……。
知らないぞ……。
この世界に転生してから出会った人は、だいたい覚えている。
何せ赤ん坊からやり直しだったのだ。
赤ん坊でも意識は大人。
十三才まで会った人の記憶にあるが、こんな特徴のある猫獣人は会ってないぞ。
「あの……大変失礼ながら……お目にかかった覚えがないのですが……」
「わたしニャ! 女神様の忠実なシモベ! ネコネコ騎士のみーちゃんニャ!」
俺が尋ねると、みーちゃんと名乗る猫獣人は、戦隊モノみたいなポーズを決めた。
オマエなんか知らん!
いや、待てよ……女神様!?
――俺は十三年前の記憶を頭から引っ張り出した。
前世日本で俺は、IT企業に勤める二十九才独身バリバリのビジネスメンだった。
会社からの帰り道、コンビニ弁当を片手に歩いていると、猫が車にひかれそうになっていた。
とっさに俺は道路に飛び出し猫を抱きかかえた。
宙を舞うコンビニ弁当とともに、俺の命は飛び散った。
ああ、海苔鮭弁当だったのに……。
次に目が覚めると、真っ白な空間で美しい女性が立っていた。
彼女は女神様だった。
俺が助けた猫は、女神様の使いで、俺はお礼として今の世界に異世界転生させてもらった。
ということは……。
「あっ! あの時、助けたネコか!」
「ニャー! 正解ニャ! 女神様の命により参上! 手伝いに来たニャ!」
「手伝い?」
「ニャ!」
みーちゃんの説明によれば、女神様は時々下界をウォッチしているそうだ。
先日、ふと俺のことを思い出して、この異世界をウォッチしてみると、俺が苦境に陥っていた。
そこで、『ノエルを助けるように!』とみーちゃんに命じてくれたらしい。
「そうか、女神様は俺のことを気にかけてくれていたんだ! 感謝だな! ところでその姿は?」
「女神様のお力で、この姿に変えてもらったのニャ! ネコネコ騎士なのニャ!」
「あー、わかった、わかった」
みーちゃんは、よほど今の姿が気に入っているのだろう。
満面の笑みで胸を張った。
議論すると面倒臭いことになりそうなので、俺はスルーを決めた。
「いやあ、なかなかの美形に転生したニャ!」
みーちゃんが感慨深そうに俺の姿を眺める。
俺は感謝の言葉を口にした。
「ありがとう。感謝しているよ」
「前世では、二十九才独身バキバキ童貞メンだったのに、偉い変わりようニャ!」
「なっ!? おまえ!?」
「家と会社の往復で女っ気の『お』の字もない人生だったニャ」
「やめて」
「でも、惜しかったニャ。もう少しで魔法使いになれたニャ」
「もう、やめて」
「バキバキ童貞で死んでしまったニャ」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
――俺のライフはゼロになった。
もう、やだ、こいつ嫌い!
俺はジトッとネコネコ騎士みーちゃんをにらむ。
「みーちゃんは、俺を助けに来たのか? それとも俺を虐めに来たのか?」
「ニャハハハ! ごめんニャ! 苦境を救いに来たニャ!」
「そう。それで何をしてくれるの?」
「まず護衛ニャ! 華麗なるネコネコ剣術で守ってあげるニャ!」
「ああ、まあ、うん。それはありがたいね」
みーちゃんは剣を振る動きをしたが、上手いのか下手なのかサッパリわからない。
まあ、でも、みーちゃんは、メイドバイ女神様だ。
それなりに戦えるのだろう。
魔物が多い南部へ行くに際し、護衛はありがたい。
「それから、これがもっとも重要ニャ!」
みーちゃんが、キリッとした顔をした。
何だろう?
「スキルの活性化ニャ!」
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