71 / 99
ルドルのダンジョン編
第71話 エリクサーとスキル【スラッシュ】
しおりを挟む
「きゃああ! ヒロトさーん!」
「ぐもおお!」
キングジャンプを切り捨てた! と、思った瞬間、サクラが上から落ちて来た。
サクラのボディプレスを、顔面で受けてしまった。
俺とサクラが、ひっからまって地面に倒れ込む。
俺の顔面が、サクラの胸にめり込む。
く、苦しい……。
エリス姫と執事セバスチャンが、歓声を上げた。
「おおう! 見事じゃ!」
「お見事な剣筋です! 【スラッシュ】ですな!」
うん? 【スラッシュ】?
スキル【スラッシュ】は、【剣術】に付随するスキルで斬撃系だ。
剣の斬撃の威力を、強化する。
俺が、持っていなかったスキルだ。
ステータス画面を開いて見ると、【スラッシュ】が追加されていた。
どうやら新たに、このスキルを得たらしい。
サクラが、上にのしかかりながら話しかけて来た。
「ふふ。ヒロトさん、【スラッシュ】カッコ良かったですよ」
「ありがとう。ところで、胸が顔に当たって、息が苦しい……」
「あ、ごめんなさい!」
サクラが体を離した。
今更、顔を赤らめている。
浴びせ蹴りとかで、戦闘中は、いつも下着が丸見えなんだがな。
自覚があるんだか、ないんだか。
しかし、間に合って良かった。
あのまま、サクラがキングジャンプに食われていたら、シャレにならなかった。
セレーネが近寄って来て、俺の頭にゲンコツを落した。
いかん、ご立腹だ。
「ヒロトは、今日ダメダメだよ! さっきは、ボーっとしてたし、あわてて前に出て、キングジャンプに攻撃かわされたし。最後はサクラの胸に、かじりついて何やってるの!」
「すいません」
それについては、反省しかない。
執事セバスチャンの支援魔法が珍しくて、戦闘中にウォッチャーになってしまった。
セレーネは、腰に手をあてて頬を膨らませている。
不謹慎ながら、可愛く感じる。
エリス姫が助け舟を出してくれた。
「まあ、セレーネ、許してやったらどうじゃ? 最後は、キッチリ決めたからの。それより、ほれ! 宝箱がドロップしておるぞ!」
キングジャンプの横に、銀色に光る宝箱が落ちている。
銀箱だ! 低階層で銀箱は、珍しい。
今回の共同探索で得た獲物の素材やドロップ品は、基本的にヒロトパーティーの所有になる契約をしている。
宝箱からドロップしたアイテムの所有権は、俺たちにある。
俺たちは、特別探索のボーナスが得られない。
それを気にして、エリス姫が配慮してくれたのだ。
俺はセレーネから逃げ、宝箱にダッシュした。
必死でセレーネのご機嫌を取る。
「ホントだ! 銀箱だよ! ホラホラ! セレーネ! 開けてみなよ!」
セレーネが、ジト目で近づいて来た。
「まったくもう! じゃあ、私が開けるよ!」
セレーネが、バンと銀箱を開けた。
何が出る?
銀箱なら、アーティファクト――秘宝級――か、レア――希少級――が出る。
かなり価値の高いアイテムが出そうだ。
みんなで宝箱の中を覗き込む。
宝箱の中は、濃い上品な緑色のラシャ張りだ。
その真ん中に、綺麗なガラス瓶が1本、光を放っていた。
やわらかい光で、見ていると心が癒される。
執事セバスチャンが、唸り声を上げた。
「ぬう。これは……! エリクサーですな!」
「これがですか!?」
俺は慌てて【鑑定】を発動して、光る瓶を【鑑定】する。
「間違いないですね。俺の【鑑定】結果も、エリクサーと出てます」
サクラが、情報を補足する。
「エリクサーは、アーティファクト、秘宝級ですね。どんな怪我でも、病気でも、完全回復します。HPとMPが満タンになりますよ」
執事セバスチャンが、申し訳なさそうに頭を下げた。
「申し訳ありませんが、このエリクサーは、こちらの取り分にしていただけないでしょうか?」
俺たちは、サクラが回復魔法が使える。
レベル的にエリクサーが必要なほど、強い敵と戦う事はない。
エリス姫側が欲しいと言うなら、譲っても良いけれど……。
ただ、契約では……基本的に俺たちヒロトパーティーに権利がある。
セレーネも、サクラも、YESとも、NOとも、言えない微妙な顔をしている。
ちょっと変な雰囲気になった。
「あの……、何か理由があるのですか?」
「はい。現在、オーランド王国王室には、エリクサーが2本ございます。王族が暗殺や重篤な病にかかった場合に、救命する為です」
「なるほど」
「ただ、エリス姫様は、現在王都から離れ、ここルドルで活動しております。万一の際にエリクサーを使用する事が出来ません」
俺、セレーネ、サクラが、同時に納得した声を上げた。
「あー」
「あー」
「あー」
「もう、おわかりと思いますが、姫様に万一の事態が出来《しゅったい》した場合に備え、エリクサーを持っておきたいのです」
俺、セレーネ、サクラは、目を見合わせた。
セレーネとサクラが、軽くうなずいた。
「わかりました。そう言う事情なら、このエリクサーは、エリス姫の取り分で構いませんよ」
「ありがとうございます」
執事セバスチャンが、丁寧なお辞儀をした。
エリス姫は、嬉しそうにエリクサーを手に取った。
「ヒロト、セレーネ、サクラ、ありがとう」
エリス姫は、ギュッとエリクサーを抱きしめた。
とても嬉しそうな顔をしている。
エリクサーは、売れば相当の値段が付くだろう。
だが、幼馴染のシンディを奴隷商から買い戻す費用は、エリス姫が出してくれる。
家を立て直す金は……。
まあ、またボチボチ稼げば良いし、いざとなったら、エリス姫に相談にのってもらおう。
俺たちは、キングジャンプをマジックバッグに収容して、転移部屋から地上に戻った。
*
特別依頼が出てから、4日目になった。
精霊ルートの探索は、ハイペースで進んでいる。
昼も夜も、どこかのパーティーが必ずダンジョンに潜っている。
他所の街からやって来た冒険者も加わって、ボーナス100万ゴルドをめぐる争いは、激化している。
1日目 夜 5階層クリア
2日目 昼 6階層クリア
2日目 夜 7階層クリア
3日目 昼 8階層クリア
3日目 夜 9階層クリア
今日、4日目、冒険者たちは、10階層の探索をしている。
俺たちは、1日1回、昼頃にダンジョンに潜っている。
エリス姫のお供だ。
新しい階層に一番乗りしたパーティーに、転移部屋から、新しい階層に連れて行ってもらう。
新しい階層は、いつも混んでいる。
だから、1階層戻って、ボスを倒したらお疲れ様って感じだ。
エリス姫陣営とウォール・ニューヨークファミリー陣営との、冒険者の取り合いも続いている。
なんと、エリス姫陣営が、かなり盛り返している。
精霊ルートは、大人気だ。
ギルドから提示された、魔物素材の買取価格が良い。
風属性の魔石や利用できる素材が多く、ヒロトルートと同程度の価格だ。
ニューヨークファミリー以外は、自由に入れる。
他の街から来た冒険者も増えている。
そして、ついに!
ニューヨークファミリーから離脱する冒険者が出て来た。
あの時のウォールの行動は裏目に出た。
仲間でも、あっさり裏切って、殺害すると噂が流れた。
ニューヨークファミリーに参加していた、E、Fランクの冒険者達は、どんどんファミリーを抜けて、こっちに来ている。
ウォールの悪い噂とエリス姫の特別依頼が効いている。
E、Fランクの冒険者でもポーター――荷物持ちの仕事が沢山ある。
泊まり探索の場合は、荷物が増えるので、上位のパーティーがポーターを欲しがるのだ。
パーティー丸ごとで、雇われている連中もいる。
ポーターでは、ボーナスの100万ゴルドの分け前は無い。
獲物の素材やドロップしたアイテムの権利もない。
だが、ポーターでも特別報酬は出る。
特別報酬+ポーターの報酬で、結構な稼ぎになっている。
領主館の中には、ポーター仕事待ちの、E、Fランク冒険者がたむろしている。
4の鐘が鳴っている。
夕方4時だ。
俺とサクラは、エリス姫に頼まれた見回り中だ。
領主館敷地内の様子を見て、サクラがつぶやいた。
「いや~、凄いね~、日に日に人が増えているよね~」
「特別報酬を、値上げしたらしいよ」
「え? いくら?」
「今、2万8千ゴルドじゃないかな……」
「はあ?」
サクラが、驚いて甲高い声を上げた。
無理もないよね。
「ニューヨークファミリーも、日当を出すようになったんだよ。エリス姫の特別依頼より千ゴルド多くね」
「ほうほう」
「そしたら、エリス姫が、それより多く報酬を設定した。そうすると、ニューヨークファミリーが、それよりも高く設定して……」
「そのチキンレースみたいな、日当アップ合戦は何!?」
そう、まさにチキンレース。
どちらも降りられない。
「日当アップレースの結果、現在、2万8千ゴルドになりましたって事だよ」
「はあ~! バブル状態ですね……」
まさに、バブルだ。
ポーターのE、Fランクの冒険者もホクホク顔だ。
俺たちは、領主館の外を一回りして、敷地の中を見回る。
臨時の解体場が見えて来た。
「セレーネ、忙しそうだね」
「魔物の解体が早いですよね」
セレーネは、空いた時間に解体担当ミルコさんの手伝いをしている。
スキル【解体】持ちだから、魔物の解体速度がハンパじゃなく早い。
特に、この時間帯、夕方は忙しい。
屋台の店主達が、肉を買いに来る。
夕方から冒険者たちが酒を飲み始めるので、肉はいくらあっても足りないらしい。
ダンジョンから上がって来る冒険者が増えて来た。
ジュリさんが、臨時のテントで冒険者たちをさばいている。
すると、門の方から大きな声が聞こえて来た。
「通せ!」
「ダメだ! ニューヨークファミリーは、立ち入り禁止だ!」
俺とサクラは、顔を見合わせた。
ニューヨークファミリー?
俺とサクラは、解体場を後にして門の方へ駆け出した。
「ぐもおお!」
キングジャンプを切り捨てた! と、思った瞬間、サクラが上から落ちて来た。
サクラのボディプレスを、顔面で受けてしまった。
俺とサクラが、ひっからまって地面に倒れ込む。
俺の顔面が、サクラの胸にめり込む。
く、苦しい……。
エリス姫と執事セバスチャンが、歓声を上げた。
「おおう! 見事じゃ!」
「お見事な剣筋です! 【スラッシュ】ですな!」
うん? 【スラッシュ】?
スキル【スラッシュ】は、【剣術】に付随するスキルで斬撃系だ。
剣の斬撃の威力を、強化する。
俺が、持っていなかったスキルだ。
ステータス画面を開いて見ると、【スラッシュ】が追加されていた。
どうやら新たに、このスキルを得たらしい。
サクラが、上にのしかかりながら話しかけて来た。
「ふふ。ヒロトさん、【スラッシュ】カッコ良かったですよ」
「ありがとう。ところで、胸が顔に当たって、息が苦しい……」
「あ、ごめんなさい!」
サクラが体を離した。
今更、顔を赤らめている。
浴びせ蹴りとかで、戦闘中は、いつも下着が丸見えなんだがな。
自覚があるんだか、ないんだか。
しかし、間に合って良かった。
あのまま、サクラがキングジャンプに食われていたら、シャレにならなかった。
セレーネが近寄って来て、俺の頭にゲンコツを落した。
いかん、ご立腹だ。
「ヒロトは、今日ダメダメだよ! さっきは、ボーっとしてたし、あわてて前に出て、キングジャンプに攻撃かわされたし。最後はサクラの胸に、かじりついて何やってるの!」
「すいません」
それについては、反省しかない。
執事セバスチャンの支援魔法が珍しくて、戦闘中にウォッチャーになってしまった。
セレーネは、腰に手をあてて頬を膨らませている。
不謹慎ながら、可愛く感じる。
エリス姫が助け舟を出してくれた。
「まあ、セレーネ、許してやったらどうじゃ? 最後は、キッチリ決めたからの。それより、ほれ! 宝箱がドロップしておるぞ!」
キングジャンプの横に、銀色に光る宝箱が落ちている。
銀箱だ! 低階層で銀箱は、珍しい。
今回の共同探索で得た獲物の素材やドロップ品は、基本的にヒロトパーティーの所有になる契約をしている。
宝箱からドロップしたアイテムの所有権は、俺たちにある。
俺たちは、特別探索のボーナスが得られない。
それを気にして、エリス姫が配慮してくれたのだ。
俺はセレーネから逃げ、宝箱にダッシュした。
必死でセレーネのご機嫌を取る。
「ホントだ! 銀箱だよ! ホラホラ! セレーネ! 開けてみなよ!」
セレーネが、ジト目で近づいて来た。
「まったくもう! じゃあ、私が開けるよ!」
セレーネが、バンと銀箱を開けた。
何が出る?
銀箱なら、アーティファクト――秘宝級――か、レア――希少級――が出る。
かなり価値の高いアイテムが出そうだ。
みんなで宝箱の中を覗き込む。
宝箱の中は、濃い上品な緑色のラシャ張りだ。
その真ん中に、綺麗なガラス瓶が1本、光を放っていた。
やわらかい光で、見ていると心が癒される。
執事セバスチャンが、唸り声を上げた。
「ぬう。これは……! エリクサーですな!」
「これがですか!?」
俺は慌てて【鑑定】を発動して、光る瓶を【鑑定】する。
「間違いないですね。俺の【鑑定】結果も、エリクサーと出てます」
サクラが、情報を補足する。
「エリクサーは、アーティファクト、秘宝級ですね。どんな怪我でも、病気でも、完全回復します。HPとMPが満タンになりますよ」
執事セバスチャンが、申し訳なさそうに頭を下げた。
「申し訳ありませんが、このエリクサーは、こちらの取り分にしていただけないでしょうか?」
俺たちは、サクラが回復魔法が使える。
レベル的にエリクサーが必要なほど、強い敵と戦う事はない。
エリス姫側が欲しいと言うなら、譲っても良いけれど……。
ただ、契約では……基本的に俺たちヒロトパーティーに権利がある。
セレーネも、サクラも、YESとも、NOとも、言えない微妙な顔をしている。
ちょっと変な雰囲気になった。
「あの……、何か理由があるのですか?」
「はい。現在、オーランド王国王室には、エリクサーが2本ございます。王族が暗殺や重篤な病にかかった場合に、救命する為です」
「なるほど」
「ただ、エリス姫様は、現在王都から離れ、ここルドルで活動しております。万一の際にエリクサーを使用する事が出来ません」
俺、セレーネ、サクラが、同時に納得した声を上げた。
「あー」
「あー」
「あー」
「もう、おわかりと思いますが、姫様に万一の事態が出来《しゅったい》した場合に備え、エリクサーを持っておきたいのです」
俺、セレーネ、サクラは、目を見合わせた。
セレーネとサクラが、軽くうなずいた。
「わかりました。そう言う事情なら、このエリクサーは、エリス姫の取り分で構いませんよ」
「ありがとうございます」
執事セバスチャンが、丁寧なお辞儀をした。
エリス姫は、嬉しそうにエリクサーを手に取った。
「ヒロト、セレーネ、サクラ、ありがとう」
エリス姫は、ギュッとエリクサーを抱きしめた。
とても嬉しそうな顔をしている。
エリクサーは、売れば相当の値段が付くだろう。
だが、幼馴染のシンディを奴隷商から買い戻す費用は、エリス姫が出してくれる。
家を立て直す金は……。
まあ、またボチボチ稼げば良いし、いざとなったら、エリス姫に相談にのってもらおう。
俺たちは、キングジャンプをマジックバッグに収容して、転移部屋から地上に戻った。
*
特別依頼が出てから、4日目になった。
精霊ルートの探索は、ハイペースで進んでいる。
昼も夜も、どこかのパーティーが必ずダンジョンに潜っている。
他所の街からやって来た冒険者も加わって、ボーナス100万ゴルドをめぐる争いは、激化している。
1日目 夜 5階層クリア
2日目 昼 6階層クリア
2日目 夜 7階層クリア
3日目 昼 8階層クリア
3日目 夜 9階層クリア
今日、4日目、冒険者たちは、10階層の探索をしている。
俺たちは、1日1回、昼頃にダンジョンに潜っている。
エリス姫のお供だ。
新しい階層に一番乗りしたパーティーに、転移部屋から、新しい階層に連れて行ってもらう。
新しい階層は、いつも混んでいる。
だから、1階層戻って、ボスを倒したらお疲れ様って感じだ。
エリス姫陣営とウォール・ニューヨークファミリー陣営との、冒険者の取り合いも続いている。
なんと、エリス姫陣営が、かなり盛り返している。
精霊ルートは、大人気だ。
ギルドから提示された、魔物素材の買取価格が良い。
風属性の魔石や利用できる素材が多く、ヒロトルートと同程度の価格だ。
ニューヨークファミリー以外は、自由に入れる。
他の街から来た冒険者も増えている。
そして、ついに!
ニューヨークファミリーから離脱する冒険者が出て来た。
あの時のウォールの行動は裏目に出た。
仲間でも、あっさり裏切って、殺害すると噂が流れた。
ニューヨークファミリーに参加していた、E、Fランクの冒険者達は、どんどんファミリーを抜けて、こっちに来ている。
ウォールの悪い噂とエリス姫の特別依頼が効いている。
E、Fランクの冒険者でもポーター――荷物持ちの仕事が沢山ある。
泊まり探索の場合は、荷物が増えるので、上位のパーティーがポーターを欲しがるのだ。
パーティー丸ごとで、雇われている連中もいる。
ポーターでは、ボーナスの100万ゴルドの分け前は無い。
獲物の素材やドロップしたアイテムの権利もない。
だが、ポーターでも特別報酬は出る。
特別報酬+ポーターの報酬で、結構な稼ぎになっている。
領主館の中には、ポーター仕事待ちの、E、Fランク冒険者がたむろしている。
4の鐘が鳴っている。
夕方4時だ。
俺とサクラは、エリス姫に頼まれた見回り中だ。
領主館敷地内の様子を見て、サクラがつぶやいた。
「いや~、凄いね~、日に日に人が増えているよね~」
「特別報酬を、値上げしたらしいよ」
「え? いくら?」
「今、2万8千ゴルドじゃないかな……」
「はあ?」
サクラが、驚いて甲高い声を上げた。
無理もないよね。
「ニューヨークファミリーも、日当を出すようになったんだよ。エリス姫の特別依頼より千ゴルド多くね」
「ほうほう」
「そしたら、エリス姫が、それより多く報酬を設定した。そうすると、ニューヨークファミリーが、それよりも高く設定して……」
「そのチキンレースみたいな、日当アップ合戦は何!?」
そう、まさにチキンレース。
どちらも降りられない。
「日当アップレースの結果、現在、2万8千ゴルドになりましたって事だよ」
「はあ~! バブル状態ですね……」
まさに、バブルだ。
ポーターのE、Fランクの冒険者もホクホク顔だ。
俺たちは、領主館の外を一回りして、敷地の中を見回る。
臨時の解体場が見えて来た。
「セレーネ、忙しそうだね」
「魔物の解体が早いですよね」
セレーネは、空いた時間に解体担当ミルコさんの手伝いをしている。
スキル【解体】持ちだから、魔物の解体速度がハンパじゃなく早い。
特に、この時間帯、夕方は忙しい。
屋台の店主達が、肉を買いに来る。
夕方から冒険者たちが酒を飲み始めるので、肉はいくらあっても足りないらしい。
ダンジョンから上がって来る冒険者が増えて来た。
ジュリさんが、臨時のテントで冒険者たちをさばいている。
すると、門の方から大きな声が聞こえて来た。
「通せ!」
「ダメだ! ニューヨークファミリーは、立ち入り禁止だ!」
俺とサクラは、顔を見合わせた。
ニューヨークファミリー?
俺とサクラは、解体場を後にして門の方へ駆け出した。
21
お気に入りに追加
2,854
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル
異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった
孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた
そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた
その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。
5レベルになったら世界が変わりました
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
転生してしまったので服チートを駆使してこの世界で得た家族と一緒に旅をしようと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
俺はクギミヤ タツミ。
今年で33歳の社畜でございます
俺はとても運がない人間だったがこの日をもって異世界に転生しました
しかし、そこは牢屋で見事にくそまみれになってしまう
汚れた囚人服に嫌気がさして、母さんの服を思い出していたのだが、現実を受け止めて抗ってみた。
すると、ステータスウィンドウが開けることに気づく。
そして、チートに気付いて無事にこの世界を気ままに旅することとなる。楽しい旅にしなくちゃな
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
転生した社畜は異世界でも無休で最強へ至る(旧題|剣は光より速い-社畜異世界転生)
丁鹿イノ
ファンタジー
【ファンタジア文庫にて1巻発売中!】
深夜の職場で人生を終えた青桐 恒(25)は、気づいたらファンタジーな異世界に転生していた。
前世の社畜人生のお陰で圧倒的な精神力を持ち、生後から持ち前の社畜精神で頑張りすぎて魔力と気力を異常に成長させてしまう。
そのうち元Sクラス冒険者である両親も自重しなくなり、魔術と剣術もとんでもないことに……
異世界に転生しても働くのをやめられない!
剣と魔術が存在するファンタジーな異世界で持ち前の社畜精神で努力を積み重ね成り上がっていく、成長物語。
■カクヨムでも連載中です■
本作品をお読みいただき、また多く感想をいただき、誠にありがとうございます。
中々お返しできておりませんが、お寄せいただいたコメントは全て拝見し、執筆の糧にしています。
いつもありがとうございます。
◆
書籍化に伴いタイトルが変更となりました。
剣は光より速い - 社畜異世界転生 ~社畜は異世界でも無休で最強へ至る~
↓
転生した社畜は異世界でも無休で最強へ至る
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~
うみ
ファンタジー
恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。
いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。
モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。
そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。
モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。
その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。
稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。
『箱を開けるモ』
「餌は待てと言ってるだろうに」
とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
俺の畑は魔境じゃありませんので~Fランクスキル「手加減」を使ったら最強二人が押しかけてきた~
うみ
ファンタジー
「俺は畑を耕したいだけなんだ!」
冒険者稼業でお金をためて、いざ憧れの一軒家で畑を耕そうとしたらとんでもないことになった。
あれやこれやあって、最強の二人が俺の家に住み着くことになってしまったんだよ。
見た目こそ愛らしい少女と凛とした女の子なんだけど……人って強けりゃいいってもんじゃないんだ。
雑草を抜くのを手伝うといった魔族の少女は、
「いくよー。開け地獄の門。アルティメット・フレア」
と土地ごと灼熱の大地に変えようとしやがる。
一方で、女騎士も似たようなもんだ。
「オーバードライブマジック。全ての闇よ滅せ。ホーリースラッシュ」
こっちはこっちで何もかもを消滅させ更地に変えようとするし!
使えないと思っていたFランクスキル「手加減」で彼女達の力を相殺できるからいいものの……一歩間違えれば俺の農地(予定)は人外魔境になってしまう。
もう一度言う、俺は最強やら名誉なんかには一切興味がない。
ただ、畑を耕し、収穫したいだけなんだ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる