左遷されたオッサン、移動販売車と異世界転生でスローライフ!?~貧乏孤児院の救世主!

武蔵野純平

文字の大きさ
96 / 107
第六章 スタンピード

第96話 シスター・エレナの大躍進

しおりを挟む
 俺とシスター・エレナは、左側のオークに向かって走り出した。

「リョージさん。付与魔法をお願いします♪」

 シスター・エレナの求めに応じて、俺はシスター・エレナの杖に付与魔法をかける。
 俺はシスター・エレナの杖に向かって左手を伸ばす。
 手を開き意識を集中すると腹の底から左手に向かって魔力がスッと引き出された。

「硬化! 鋭刃!」

 開いた手のひらが明滅し、シスター・エレナの持つ杖が光り輝く。

 シスター・エレナの杖に付与した魔法は、武器が硬くなる『硬化』と切れ味が鋭くなる『鋭刃』だ。

 続いて、俺の持つ棍棒にも付与魔法をかける。

「硬化!」

 俺の棍棒が光る。
 これで棍棒は折れにくく硬くなった。
 硬くなった分、ダメージも乗る。

 成長したのはソフィーだけではない。
 俺もアシュリーさんとマリンさんの指導を受けて、付与魔法を使えるようになったのだ。

 付与魔法は戦闘が終るまで効果が継続する。
 俺の棍棒とシスター・エレナの杖は、攻撃力がアップした状態だ。

 さて、狩りの時間だ!
 俺とシスター・エレナは、笑顔で走る。

「さあ~突撃で~す! お肉♪ お肉♪」

「イエス! 大盛り目指してがんばりましょう!」

「おとーさーん! お肉!」

「おう! ソフィー! 大漁だ!」

 シスター・エレナのはしゃいだ声と、ソフィーの応援を受けながら俺はオークの生き残り集団になだれ込んだ。
 俺は猛スピードで突っ込み勢いのまま棍棒を地面と平行にフルスイングした。

「シッ!」

「ブモッ!? モー!」

 オークは土手っ腹に俺の棍棒フルスイングをくらい、『くの字』になって飛んでいった。
 飛んだ先には別のオークがいる。
 別のオークに『くの字』オークが激突し、さらに別のオークを巻き込んで三頭のオークが多重衝突事故のようにぶつかり地面を転がる。

 俺はすり足で素早く近づき、オークの頭部めがけて上から下に棍棒を振り下ろす。

「ブモッ!?」

「ブッ!」

「ブモー!」

 オークが悲鳴を上げるが容赦しない。
 倒せる時に倒す。
 肉は獲れる時に獲る。
 これが俺たちの掟だ。

 ゴンゴンゴンと三連発で棍棒を振り下ろし、オーク三頭を仕留めた。

 俺は、右、左と棍棒を振るいオークを弾き飛ばす。
 オークが弾き飛ぶ先には、別のオークがいる。
 ビリヤードの要領で、どこにオークを飛ばしたら他のオークに当たるかを一瞬で判断しているのだ。

 毎日ダンジョンに潜った成果が付与魔法以外にも表れている。
 付与魔法『硬化』+戦闘経験+謎テクノロジーの怪力で、俺は生き残ったオークを蹂躙していく。

「ブヒー!」

 後ろから怒り狂ったオークの声が響く。
 俺に仲間を殺され、怒り心頭なのだろう。
 俺を背後から襲おうという魂胆だろうが、俺の後ろにはシスター・エレナがいる。

「ロースちゃん♪ いらっしゃーい♪」

 ああ、哀れオークの名前はロースになったらしい。
 はなから食材である。

 俺は他のオークに棍棒を振るいながら、シスター・エレナの戦いぶりを横目で見る。

 シスター・エレナは、キリッとした表情で突進してくるオークを迎え撃つ。

「ブモー!」

 オークが右上から左下に棍棒を斜めに振り下ろす。
 シスター・エレナは、棍棒の軌道を見切った。
 ステップを踏み、距離を取ってかわす。

「ブモッ!?」

 ミス!
 棍棒を空振りした勢いで、オークの体勢が崩れた。

「いくわよ! ロースちゃん!」

 シスター・エレナの足が地面を力強く蹴りつけ、両手が杖を低く繰り出す。
 杖の先端がオークの右足の筋を切り裂いた。
 オークがバランスを崩す。

 勢いのまま杖が円を描き、回転した杖の先端はオークの首筋を切り裂いた。
 致命傷だ。
 オークは身動きが出来ず血をまき散らしながら地に沈んだ。

「ウフフ。血抜きをしないと、お肉が臭いですからね♪ ねえ、ロースちゃん♪」

 ――鬼である。

 シスター・エレナの杖の先端はU字型になっている。
 U字の端の部分が平らになっているのだが、俺の付与魔法『鋭刃』がかかっているので、ぶ厚いオークの皮も熱したナイフでバターを切るようにスッと刃が入る。

 魔物の体勢を崩した後に、首筋を切り裂く凶悪なコンボは、シスター・エレナの得意技だ。


 俺たちのパーティーで一番伸びたのは、シスター・エレナだ。

 最初に出会った頃に比べて、明らかに血色が良くなり、体格も良くなった。
 今ではアスリート体型になり戦闘指揮だけでなく、1.5列目の優秀なシャドーアタッカーとして活躍している。

 俺が棍棒を振るい大雑把に敵を倒し、討ち漏らしをシスター・エレナが確実に仕留める。

「次のあなたは、ベーコンちゃんですよ~♪」

「ブモー!」

 仲間を倒されたオークが怒り狂っているが、シスター・エレナにとってオークはベーコン――加工予定の食材にすぎない。

 オークの先制の一撃を完璧に見切ってかわす。
 大きく足を開き、右足が地面を蹴る。

 チラッと見えた足。
 アキレス腱からふくらはぎにかけて、グッと力が入る。
 服越しでもお尻が張っているのがわかる。
 シスター・エレナは意外とお尻が大きい。

「おとーさーん! しゅーちゅー!」

(イカン! イカン!)

 俺は一瞬、シスター・エレナの後ろ姿に見とれてしまった。
 見透かしたようにソフィーから檄が飛んで来た。

「オリャ! セイッ!」

「お次はハムちゃんですよ♪」

 俺とシスター・エレナは、生き残ったオークを蹂躙した。
しおりを挟む
感想 40

あなたにおすすめの小説

小さな貴族は色々最強!?

谷 優
ファンタジー
神様の手違いによって、別の世界の人間として生まれた清水 尊。 本来存在しない世界の異物を排除しようと見えざる者の手が働き、不運にも9歳という若さで息を引き取った。 神様はお詫びとして、記憶を持ったままの転生、そして加護を授けることを約束した。 その結果、異世界の貴族、侯爵家ウィリアム・ヴェスターとして生まれ変ることに。 転生先は優しい両親と、ちょっぴり愛の強い兄のいるとっても幸せな家庭であった。 魔法属性検査の日、ウィリアムは自分の属性に驚愕して__。 ウィリアムは、もふもふな友達と共に神様から貰った加護で皆を癒していく。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

処理中です...