左遷されたオッサン、移動販売車と異世界転生でスローライフ!?~貧乏孤児院の救世主!

武蔵野純平

文字の大きさ
30 / 107
第三章 商業ギルドに気をつけろ!

第30話 領主屋敷への道中

しおりを挟む
 ――翌日の午後。

 シスターメアリーが、領主と面会することになった。
 午後に領主と面会予約が取れたそうだ。

「リョージさんも一緒に来て下さいな。私は商売のことは専門外なので、リョージさんがいて下さると心強いです」

「わかりました。同行しましょう」

 領主つまりこの町のトップに会うので、俺はワイシャツの上からネクタイを締めた。

 移動販売車の助手席にシスターメアリーを乗せ領主屋敷へ向う。
 領主の屋敷は、サイドクリークの町の東側にある。
 サイドクリークの西側には魔の森が広がっているので、領主屋敷はサイドクリークの中でも安全な地域に立地している。

(色々と考えて町づくりをしているんだな……)

 領地経営や町づくりも面白そうだなと考えながら移動販売車を運転する。
 シスターメアリーはいつもの笑顔で、これから領主に会うというのに気負うところは全くない様子だ。

 昨晩、商業ギルド長ヤーコフを怒鳴りつけた件といい、今の態度といい、シスターメアリーは意外と肝が太いのかもしれない。
 それとも、シスターメアリーは、結構高位の聖職者なのだろうか?

 俺は色々気になってシスターメアリーに質問してみることにした。

「シスターメアリー。昨晩の商業ギルド長の件ですが……」

「私もビックリしましたわ! あんなガラの悪い男たちを引き連れて乗り込んでくるなんて! それでお金を寄越せでしょう! 信じられません!」

 シスターメアリーは憤慨している。
 まあ、そりゃそうだよな。
 やっと貧乏生活から脱出と思ったら、商業ギルド長ヤーコフが乗り込んできて金をせびられたのだ。

「これは確認ですが……、以前から商業ギルドともめていたのでしょうか?」

「いいえ! 接点は全くありませんでした。話したこともありません!」

「そうなんですね。では、商業ギルドにお金を払う必要性はあるのでしょうか?」

「ありませんよ! 商業ギルドが教会に口出しするなんて!」

 シスターメアリーは、かなりお怒りだ。
 どうにも力関係や権利関係が元日本人の俺にはよく分からない。
 シスターメアリーに基本的なところを教えてもらおう。

「シスターメアリー。私は迷い人なので、この国のことがよく分からないのです。商業ギルドとは、どんな組織なのでしょうか?」

「商業ギルドは、商人が所属する大きな組織です。国をまたぐ組織なので、大きな影響力があります。領主に代って商業税の徴収を行うこともあるそうよ」

「では、精霊の宿も商業ギルドに所属しないと不味いのでしょうか?」

「いいえ。教会は不入の地なのです。何人も侵してはならないのです。領主も、商業ギルドも、教会に干渉することは出来ません」

 俺はやっと理解が出来た。
 教会は非常に独立性の強い場所なのだろう。
 だからシスターメアリーは、商業ギルド長ヤーコフに強気で対応出来たのか。

「なるほど……。領主といえども、教会の運営に立ち入ることが出来ないから『不入』ですか……」

「そうですわ。どこの国も教会に税はかけていません」

 ははあ、なるほど。
 日本でも宗教法人の宗教活動は無税だったな。

「宿屋の経営も無税で良いのでしょうか?」

「多分、大丈夫だと思いますよ。教会本部は信者に色々販売していますが、税金を払っていると聞いたことがありません。その辺りを領主様に確認し、商業ギルド長ヤーコフの非道を訴えるのです!」

「なるほど」

 俺は他にもシスターメアリーに質問した。

 商業ギルド、冒険者ギルド、教会は、独立した組織で、それぞれ干渉することはないそうだ。
 精霊教の教会は王都に本部があり、国王や貴族への影響力が結構強いらしい。

 では、領主の力が弱いのかというと、そんなこともなくて、領地の司法権を有し軍事力を振るえるのは領主だけであり強力な騎士団を抱えているそうだ。

(色々勉強になるな……)

 シスターメアリーから学び取るうちに領主屋敷に到着した。
しおりを挟む
感想 40

あなたにおすすめの小説

小さな貴族は色々最強!?

谷 優
ファンタジー
神様の手違いによって、別の世界の人間として生まれた清水 尊。 本来存在しない世界の異物を排除しようと見えざる者の手が働き、不運にも9歳という若さで息を引き取った。 神様はお詫びとして、記憶を持ったままの転生、そして加護を授けることを約束した。 その結果、異世界の貴族、侯爵家ウィリアム・ヴェスターとして生まれ変ることに。 転生先は優しい両親と、ちょっぴり愛の強い兄のいるとっても幸せな家庭であった。 魔法属性検査の日、ウィリアムは自分の属性に驚愕して__。 ウィリアムは、もふもふな友達と共に神様から貰った加護で皆を癒していく。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

処理中です...