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第二章 異世界領主のスタート

第22話 街道整備を開始!

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 ――二週間後、八月末。

 街道整備が早くも始まった。
 バルデュックの街側から道路を切り開いて、ミネヤマ領を目指すのだ。

 商人ギルド長のサンマルチノさんと話し合って、道路計画は以下のように定まった。

 ・馬車がすれ違える広さ。
 ・途中に休憩地点を二か所整備する。
 ・休憩地点には井戸を掘る。
 ・石畳で舗装する。

 現代日本人感覚で考えたらこうなった。
 サンマルチノさんによると、俺が発注した街道はこの世界ではかなり立派な道路らしい。

 『ミネヤマ様! 私が考えていたよりも、遥かに良い街道が出来そうです!』

 だそうです。

 サンマルチノさんは、馬車が通れる程度の道。日本の林道とか農道程度の街道整備をイメージしていたようだ。

 だけど、俺は街道と言えば、ちゃんとセンターラインがあって、両方向から自動車が通れるような広めの市道や県道をイメージしていた。

 この辺りは意識の差は、日本人と異世界人のギャップだね。

 俺としては、沢山の商人、冒険者、移住希望者に俺の領地に来て欲しい。
 そうすると馬車が通りやすい道、すれ違いも可能な道が欲しい。
 将来は駅馬車が走ると良いな、なんて考えてサンマルチノ案より道幅は広くなった。

 まず、これで予算アップ!

 高速道路のサービスエリアみたいなのがあっても良いよね。
 水を補給したり、お馬さんに水を飲ませたり出来ると良いよね。
 ――と考えて井戸付きの休憩地点を10kmちょいに一か所、合計二か所設置する事になった。

 さらに予算アップ! 

 そして、俺とサラが電動スクーターで走り回る事を考えると、石畳の舗装は外せない。
 土がむき出しの道路だと雨の後ぬかるんでしまう。
 電動スクーターじゃ、走り辛いよ。

 またも予算アップ!

 ――と言う議論を経て、予算は五億ゴルドに増えた。
 まあ、俺はお金の事を気にしていない。
 
 だって、毎週2000万ゴルドのペースで金貨が溜まって行くのだ。
 パワーストーンもジャージ生地の注文も増えている。
 どうやら国内だけでなく外国からも引き合いがあるらしい。

 繊維商人によると、秋冬の社交界に向けてジャージ生地で作った服の注文が激増しているそうだ。

『大ヒット! 全異世界が泣いた!』くらいの勢いみたいよ。知らんけど。

 そんな訳で、金貨が溜まる一方だ。
 ここらで貯め込んだ金貨を吐き出しておくのも良いだろう。

 土曜の朝一にいつものように商人ギルドでパワーストーンとジャージ生地の取引をした。
 その後、商人ギルドのサンマルチノさんと街道整備の視察だ。

 いつもの獣道には、沢山の人がいて道路建設作業をしている。

 体の大きな獣人が、大型の斧で木を切り倒し運び出している。
 異世界は力のある種族がいるから、重機は不要だな。

 ローブを着た魔法使いも参加していて、地面に手をついて何かしている。

「あの魔法使いは、何をしているのですか?」

「土魔法で地面を柔らかくしているのです。ホラ、地面が柔らかくなったので、切り株を獣人が引っこ抜いているでしょう」

「ああ、本当ですね! これは作業効率が良い!」

 へえ、なるほどね。
 魔法を道路整備に応用するのか。

「この後、地面を魔法で固くして、道路を石畳で舗装します。舗装も土魔法で行います」

 ほうほう。
 舗装も魔法か。

「これなら大分早く街道は開通しそうですね。魔法使い様々ですね」

「ええ、ですが……、彼ら土木魔法使いは、なかなか高額でして……」

 ああ、人件費が高いのか。
 サンマルチノさんは、苦笑している。

「まあ、それは仕方ないですね。売れっ子でしょ?」

「はい。軍の仕事から、民間の仕事までやっていますからね。それでも人数は確保しましたので、六十日で街道開通の予定です」

「早い!」

 凄いな。
 許認可とか、設計とかのプロセスがないにしても、六十日はバカ早いだろう。
 この辺は、獣人パワーに魔法パワーだな。
 異世界恐るべし。

 サンマルチノさんに貰った地図を開く。
 この街道はバルデュックの街から左上、北西に向けて斜めに伸びる街道だ。

 この地図によれば……。

 俺の領地から東へ街道を通せば王都方面へ通じる。
 また、南もしくは、南西へ街道を通せば外国へも通じる。

 ふむ。
 俺の領地を交易都市みたいにするのも悪くないか。
 ダンジョンや魔の森でとれる魔物素材と、俺が持ちこむ日本の品が交易品だな。

 俺の家の周りに空き地が徐々に広がっているが、どこまで広がるかわからならい。
 空き地を農地にするよりは、商業地域として開放した方が効率良いか……。

 俺が今後のミネヤマ領の経営に思いを馳せていると、サンマルチノさんが時間を気にした。

「ミネヤマ様、そろそろ参りましょう」

「そうですね」

 この後は、バルデュックの街の領主と会う予定だ。
 俺、サラ、商人ギルド長のサンマルチノさんと領主の館へ向かった。
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