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第一章 冒険者から始めよう!
第8話 スキル【ドロップ★5】の力
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沢本さんが、ドロップ品を拾い上げた。
「金貨!? ウソだろ!?」
沢本さんは驚いて目を大きく開いた。
撮影をしている片山さんが、沢本さんの表情をとらえようと近づいているが、スマートフォンを持つ手が微かに震えている。
「沢本さん! 見せて!」
俺は沢本さんから、ドロップ品の金貨を受け取った。
大きさは、一円玉より一回り小さい。
指先にのるサイズの金貨だ。
表面には、コボルドのイラストが彫り込まれている。
「ダンジョン金貨ですね。そのサイズは小金貨です」
片山さんが、カメラを近づけながら俺に教えてくれた。
「小金貨……これいくらで売れますか?」
「冒険者ギルドなら、小金貨一枚一万五千円で買い取りです!」
「こんな小さな金貨が一万五千円!?」
俺は小金貨を松明の火にかざした。
小金貨がキラリと光る。
金って、価値があるんだ……。
買い取りショップがあちこちにあるけど、こんな小さな金貨で一万五千円なら納得だ。
御手洗さんが小金貨に顔を近づけてきたので、俺は御手洗さんに小金貨を渡した。
「御手洗さんも見て下さい」
「ダンジョンって、凄いですね……。金貨がドロップするんですか……」
御手洗さんは手のひらの上に金貨をのせて、じっくりと見ている。
御手洗さんのつぶやきを沢本さんが拾った。
「いや、どこのダンジョンでも、金貨がドロップするってわけじゃないぜ!」
「そうなの?」
「ああ。野菜とか肉がドロップするダンジョンもあるからな。ボス戦でもないのに、金貨がドロップするって相当珍しいよ!」
「へえ~!」
俺は二人の話を聞いて思い当たることがあった。
それは、俺のスキルだ。
――スキル【ドロップ★5】
これか?
このスキルが原因で、ダンジョン金貨がドロップしたのか?
俺が二人にスキルのことを話そうとしたら、片山さんがスマートフォンを持って俺の前に回り込んできた。
俺を撮影するようなフリをしながら、指を口に当てた。
「シーッ!」
黙っていろということか……。
そういえば、俺のスキルは★5で珍しいから一般の冒険者からは見えないようにデータにマスクをかけると片山さんは言っていた。
片山さんとしては、俺のスキルは公表しない方が良いと思っているようだ。
確かに、一階層からダンジョン金貨をドロップさせてしまうようなスキルは危険だ。
主に俺の身柄が……。
俺は無言でコクリとうなずいた。
沢本さんと御手洗さんには申し訳ないが、俺が単独である程度戦えるようになるまで、身を守れるまでは、俺のスキルは伏せておこう。
俺たちは、ひとしきり喜ぶと、ダンジョン探索を再開した。
洞窟の一本道をひたすら進む。
五分もしないうちに、また、コボルドが現れた。
「どりゃあ!」
沢本さんが、また、同じ動きでコボルドを瞬殺した。
さすがLv10の軽剣士!
一階層は、まったく問題ない。
コボルドが光の粒子になって消えると、また、ドロップ品が残った。
「おい! また金貨だ!」
沢本さんは、金貨を拾い上げ大喜びだ。
これで、今日の売り上げは三万円!
また、一本道を進む。
また、コボルドに出会う。
沢本さんが、優しくコボルドに微笑む。
「なあ、カケル……」
「何?」
「コボルドが金貨に見える!」
「あははは! 俺もだよ!」
こうして、俺たちは一階層を探索し、沢本さんは次々にコボルドを撃破した。
金貨がドロップする音が、ダンジョンに響く。
「金貨!? ウソだろ!?」
沢本さんは驚いて目を大きく開いた。
撮影をしている片山さんが、沢本さんの表情をとらえようと近づいているが、スマートフォンを持つ手が微かに震えている。
「沢本さん! 見せて!」
俺は沢本さんから、ドロップ品の金貨を受け取った。
大きさは、一円玉より一回り小さい。
指先にのるサイズの金貨だ。
表面には、コボルドのイラストが彫り込まれている。
「ダンジョン金貨ですね。そのサイズは小金貨です」
片山さんが、カメラを近づけながら俺に教えてくれた。
「小金貨……これいくらで売れますか?」
「冒険者ギルドなら、小金貨一枚一万五千円で買い取りです!」
「こんな小さな金貨が一万五千円!?」
俺は小金貨を松明の火にかざした。
小金貨がキラリと光る。
金って、価値があるんだ……。
買い取りショップがあちこちにあるけど、こんな小さな金貨で一万五千円なら納得だ。
御手洗さんが小金貨に顔を近づけてきたので、俺は御手洗さんに小金貨を渡した。
「御手洗さんも見て下さい」
「ダンジョンって、凄いですね……。金貨がドロップするんですか……」
御手洗さんは手のひらの上に金貨をのせて、じっくりと見ている。
御手洗さんのつぶやきを沢本さんが拾った。
「いや、どこのダンジョンでも、金貨がドロップするってわけじゃないぜ!」
「そうなの?」
「ああ。野菜とか肉がドロップするダンジョンもあるからな。ボス戦でもないのに、金貨がドロップするって相当珍しいよ!」
「へえ~!」
俺は二人の話を聞いて思い当たることがあった。
それは、俺のスキルだ。
――スキル【ドロップ★5】
これか?
このスキルが原因で、ダンジョン金貨がドロップしたのか?
俺が二人にスキルのことを話そうとしたら、片山さんがスマートフォンを持って俺の前に回り込んできた。
俺を撮影するようなフリをしながら、指を口に当てた。
「シーッ!」
黙っていろということか……。
そういえば、俺のスキルは★5で珍しいから一般の冒険者からは見えないようにデータにマスクをかけると片山さんは言っていた。
片山さんとしては、俺のスキルは公表しない方が良いと思っているようだ。
確かに、一階層からダンジョン金貨をドロップさせてしまうようなスキルは危険だ。
主に俺の身柄が……。
俺は無言でコクリとうなずいた。
沢本さんと御手洗さんには申し訳ないが、俺が単独である程度戦えるようになるまで、身を守れるまでは、俺のスキルは伏せておこう。
俺たちは、ひとしきり喜ぶと、ダンジョン探索を再開した。
洞窟の一本道をひたすら進む。
五分もしないうちに、また、コボルドが現れた。
「どりゃあ!」
沢本さんが、また、同じ動きでコボルドを瞬殺した。
さすがLv10の軽剣士!
一階層は、まったく問題ない。
コボルドが光の粒子になって消えると、また、ドロップ品が残った。
「おい! また金貨だ!」
沢本さんは、金貨を拾い上げ大喜びだ。
これで、今日の売り上げは三万円!
また、一本道を進む。
また、コボルドに出会う。
沢本さんが、優しくコボルドに微笑む。
「なあ、カケル……」
「何?」
「コボルドが金貨に見える!」
「あははは! 俺もだよ!」
こうして、俺たちは一階層を探索し、沢本さんは次々にコボルドを撃破した。
金貨がドロップする音が、ダンジョンに響く。
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