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第十章 レッドアラート!
第265話 戦時体制
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――十二月二十四日、サイターマ領ウーラの街。
壁、壁、壁……。
わけいっても、わけいっても、深い壁……。
俺はひたすら土魔法で防壁を生成している。
ソビエト連邦からの要求は却下だ。
王政を廃止しろと言われても、『はい、そうですか』と出来るわけがない。
じいの読みでは、出来ないことを承知の上で無茶な要求をしているのだろうと。
それによって、自分たちの活動をアピールし、自分たちの主張をしているのだろうと。
とはいえ、『答えはノーだ!』とバカ正直に返事はしない。
回答期限は、今月いっぱいだ。
回答はせずに防衛体制を整えるのだ。
グンマー連合王国は、戦時体制に入った。
各地で兵の募集が行われ、ソ連との国境線に兵士が続々と送られてくる。
鍛冶工房では、剣、盾、矢などの武器防具の生産を最優先にするように命令を出した。
鍛冶場の火が落ちることがないくらいの忙しさになっているだろう。
そして、俺は、国境線や重要拠点に防壁を作っている。
今は、ウーラの街の周りをぐるりと囲む防壁を土魔法で生成している。
正直、面倒臭い。
もう、ずっと防壁を作っているのだ。
飽きたよ……。
ソ連を攻撃する案も検討したが、却下した。
ソ連は労働者の代表が政治を行う、労働者の国だと、ヤツラは喧伝している。
俺は歴史上、共産主義国が独裁国になってしまうことが多いと知っているが、この世界の人たちは知らない。
労働者の国というプロパガンダを真に受けている人も沢山いるだろう。
ソ連に攻め込んで、ソ連の民衆全体が敵に回ると非常によろしくない。
仮に勝てたとしても、戦後統治も大変そうだ。
そんな訳で、専守防衛。
大量の魔力を持つ俺は防壁を作ることになったのだ。
「アンジェロ。地味、つまらない」
「地味だけど、防壁があれば、防御力が高まりますから、確実性はありますよ」
ルーナ先生が、俺の近くに座って、魔石に印を切っている。
さすがに作業に飽きたか。
気持ちはわかる。
「イセサッキに乗って突撃したい」
「ソ連は広いですからね。突撃のしようがありません」
「ソビエット相手の戦いは、つまらない。クリスマスイブなのに、チキンを――」
ドーン!
突然、大きな爆発音が聞こえた。
「爆発!?」
どこだ?
火薬を保存した小屋が爆発したのか?
「アンジェロ! 煙!」
ルーナ先生が国境の方角を指さした。
煙が上がっている。
ドーン!
再び爆発音。
国境の方から、さらに煙が上がる。
これは事故じゃない、これは――。
「アンジェロ! 攻撃だ!」
「国境の防壁に転移します!」
俺は転移魔法でゲートを開き、国境の防壁へと転移した。
壁、壁、壁……。
わけいっても、わけいっても、深い壁……。
俺はひたすら土魔法で防壁を生成している。
ソビエト連邦からの要求は却下だ。
王政を廃止しろと言われても、『はい、そうですか』と出来るわけがない。
じいの読みでは、出来ないことを承知の上で無茶な要求をしているのだろうと。
それによって、自分たちの活動をアピールし、自分たちの主張をしているのだろうと。
とはいえ、『答えはノーだ!』とバカ正直に返事はしない。
回答期限は、今月いっぱいだ。
回答はせずに防衛体制を整えるのだ。
グンマー連合王国は、戦時体制に入った。
各地で兵の募集が行われ、ソ連との国境線に兵士が続々と送られてくる。
鍛冶工房では、剣、盾、矢などの武器防具の生産を最優先にするように命令を出した。
鍛冶場の火が落ちることがないくらいの忙しさになっているだろう。
そして、俺は、国境線や重要拠点に防壁を作っている。
今は、ウーラの街の周りをぐるりと囲む防壁を土魔法で生成している。
正直、面倒臭い。
もう、ずっと防壁を作っているのだ。
飽きたよ……。
ソ連を攻撃する案も検討したが、却下した。
ソ連は労働者の代表が政治を行う、労働者の国だと、ヤツラは喧伝している。
俺は歴史上、共産主義国が独裁国になってしまうことが多いと知っているが、この世界の人たちは知らない。
労働者の国というプロパガンダを真に受けている人も沢山いるだろう。
ソ連に攻め込んで、ソ連の民衆全体が敵に回ると非常によろしくない。
仮に勝てたとしても、戦後統治も大変そうだ。
そんな訳で、専守防衛。
大量の魔力を持つ俺は防壁を作ることになったのだ。
「アンジェロ。地味、つまらない」
「地味だけど、防壁があれば、防御力が高まりますから、確実性はありますよ」
ルーナ先生が、俺の近くに座って、魔石に印を切っている。
さすがに作業に飽きたか。
気持ちはわかる。
「イセサッキに乗って突撃したい」
「ソ連は広いですからね。突撃のしようがありません」
「ソビエット相手の戦いは、つまらない。クリスマスイブなのに、チキンを――」
ドーン!
突然、大きな爆発音が聞こえた。
「爆発!?」
どこだ?
火薬を保存した小屋が爆発したのか?
「アンジェロ! 煙!」
ルーナ先生が国境の方角を指さした。
煙が上がっている。
ドーン!
再び爆発音。
国境の方から、さらに煙が上がる。
これは事故じゃない、これは――。
「アンジェロ! 攻撃だ!」
「国境の防壁に転移します!」
俺は転移魔法でゲートを開き、国境の防壁へと転移した。
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