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第九章 グンマー連合王国

第246話 暑くてタマらん……ズボンを脱がせるのである!

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 ブンゴ隊長率いる部隊と黒丸たちは、砂漠地帯にやって来た。

 砂漠といっても、ここはゴツゴツとした岩場が続く乾燥地帯だ。
 もうしばらく南へ行くと、砂だらけの砂漠に達する。

 黒丸は、奴隷狩りをしていた若い男二人に問いかけた。

「ここは、もう、ミスル王国であるな。どうであるか? オマエたちの本拠地はミスルであるか?」

「「……」」

「話す気はないのであるか。残念であるな……。では、サソリ固めの刑である!」

 残念という言葉と裏腹に、黒丸は上機嫌で若い男のズボンを脱がせ始めた。

「なんだ! なんだ! 何をするんだ!?」

「やめろよ! 気持ち悪いな!」

「そうであるなあ~。こんな暑い中、ズボンをはいていたら、暑くてタマらんと思うのである。それがしは、親切であるな~」

 黒丸は二人のズボンを脱がすと、エビ反りにして大きな岩にロープでくくりつけた。
 男たちは、岩からロープで逆さにつるされているので、胸元と顔で体重を支えている。

「ぐうう……」
「苦しい……」

 二人の男は苦しそうではあるが、拷問というほどではない。
 ルーナが黒丸に不満を述べた。

「黒丸! これでは面白くない! チンチン丸出しにして、縛っただけ! 芸がない!」

「まあ、待つのである。ルーナのマジックバッグに、食材があったのである。肉が欲しいのである」

「肉? これで良い?」

 ルーナは、魔物肉の塊をマジックバッグから取り出した。

 エビ反りにしてつるし上げた男と魔物肉の塊。
 黒丸が一体何をするのか?

 ブンゴ隊長や兵士、サーベルタイガー・テイマーのイネスは、興味深く見ていた。

 黒丸は、腰から作業用のナイフを抜くと、魔物肉を削り始めた。
 削った魔物肉は、男たちの腰の近く……。

 つまり、男性器の近くに集中している。

 ブンゴ隊長が、額に手を置き呆れ声をあげた。

「もう、わかったッス! 黒丸さんはねえ……。戦闘はあんな強いのに……、どうして、こう……ロクデモナイことを考えるんスか!」

「それは、ロクデモナイ連中が、この世に存在するからである! ロクデモナイ連中には、ロクデモナイ仕打ちを! このロクデナシどもにふさわしい末路を!」

「俺たちはロクデナシじゃない!」

「そうだ! 革命戦士だ!」

 黒丸の罵倒に、若い男二人は反発する。
 だが、黒丸は二人に容赦なく反論した。

「オマエたちは、女子供を狙いさらったのである。反撃も出来ない最も弱い者を狙い、奴隷として売り飛ばす。クズであり! ロクデナシであり! 卑怯者である!」

「俺たちは卑怯者じゃない! 革命の為に戦っているんだ!」

「そのカックメーイとは、何であるか?」

「それは――」

「オイ! しゃべるな!」

 一人の男が怒りに任せて言葉を発しようとするのを、もう一人の男が止めた。
 黒丸が何を言おうが、二人は無言を貫いた。

「ふん……しゃべらないのであるな?」

「「……」」

「それならそれで良いのである。ほれ! お客さんがやって来たのである!」

「「?」」

 黒丸は岩場の陰に目をやった。
 全員が、岩場の陰を注視する。

 そこには、何かがうごめいていた。
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