追放王子の異世界開拓!~魔法と魔道具で、辺境領地でシコシコ内政します

武蔵野純平

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第九章 グンマー連合王国

第217話 黒丸師匠をあおってみた

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 ――翌日。

 俺は、ルーナ先生、黒丸師匠、じいを連れて、サイターマ領都オオミーヤの街へ来た。
 じいを連れて来たのは、外交的に不味いことになった場合に、フォローしてもらう為だ。

 ついでといっては何だが、グンマークロコダイル四匹――マエバシ、タカサキ、イセサッキ、ミドリも連れて来た。

 サイターマでは、第二騎士団団長ローデンバッハ子爵が迎えてくれた。
 天幕に入り、早速、打ち合わせを始める。

「陛下。馬賊のアジトには、交代で上空から監視を行っています」

 ローデンバッハ子爵の手配に遺漏はない。
 二機を一組として、グースを交代で飛ばしているそうだ。
 馬賊が移動しても、上空から追跡できる。

「ご苦労様。動きはある?」

「はい。それが……かなりの数が出入りしているそうです。我が国だけでなく、ミスル王国内も荒らし回っているようです」

「なるほど……。それは、そうだよね」

 馬賊のアジトは、ミスル王国内にあるのだ。
 そりゃ、ミスル王国内を襲うよ。

 俺は自分の考えの至らなさに、自らの未熟を感じた。
 トップに立ったのだから、もっと、こう……見通せるようにならないと……。

 黒丸師匠が、愚痴をこぼす。

「なんだかなあ~である。ミスル王国の為に、我々が馬賊退治をするみたいで、嫌なのである」

「黒丸師匠。俺もそんな気分ですよ。けれど、サイターマ領に馬賊が侵入してきているのですから、やらざるを得ません」

「そうで、あるか……」

 いかんな。
 黒丸師匠のやる気ゲージが、どんどん下がっている。
 少しやる気を出してもらおう。

 俺は黒丸師匠を、あおってみることにした。

「グンマー連合王国は、おっかない所だと馬賊たちにわからせてやりましょう。そうすれば、二度とこちらに来なくなるでしょう」

「なるほど……! ただ倒すだけでなく、悪党どもの中に『グンマーは恐ろしい』と噂が流れるように仕向けるのであるな!」

「そういうことです」

 俺と黒丸師匠は、目を合わせてニヤリと笑った。

「アンジェロ少年。具体的に、どう対応するのであるか?」

「まだ、考えていません。馬賊のアジトを見てから、策を練りましょう」

「そうであるな~♪」

 黒丸師匠が、ニヤニヤと楽しそうにしている。
 隣のルーナ先生も、ご機嫌だ。

「楽しそう♪ イセサッキも喜ぶ!」

 俺たち三人の様子を見て、じいとローデンバッハ子爵が額に手を当ててため息をつく。

「お三方……ほどほどにお願いしますよ……」

「ローデンバッハ子爵は、面白みが足らないのである。人生はエンジョイした者の勝ちなのである。人族は人生が短いのだから、もっと楽しむのである」

 黒丸師匠の言葉に、ローデンバッハ子爵が呆れ顔で応じる。

「黒丸さん。普通は、馬賊討伐をエンジョイしません」

「それがしたちは、エンジョイしまくるのである」

「そーだ! そーだ!」

 ルーナ先生も加勢して、なんだか真面目なローデンバッハ子爵が悪いみたいになってしまった。

 俺は手を叩いて、会議の終りを告げた。

「はい! はい! それくらいで! じゃあ、偵察に出かけますよ!」

 俺は、黒丸師匠、ルーナ先生、じいを連れて、上空から馬賊のアジトを偵察に出かけた。
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