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第六章 二人の王子
第99話 国王の狙い
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――翌日、午前中。
俺は政治向きに関係のあるアンジェロ領のメンバーを集めた。
お題は、昨日の論功行賞と父上からの重大発表。
場所は、母上――第三王妃の宮である橙木宮の広間だ。
・俺
・じい(コーゼン男爵)
・エルハムさん(騎士爵)
・ルーナ先生
・黒丸師匠
・白狼族のサラ
・熊族のボイチェフ
・リス族のキュー
・第二騎士団長ローデンバッハ男爵
・副官ポニャトフスキ騎士爵
・シメイ伯爵
シメイ伯爵は予定になかったのだけれど、挨拶に寄ってくれたので参加して貰うことにした。
領地貴族として意見を述べて欲しいとお願いした。
獣人三族は、近隣の友好的な種族ということで参加して貰う。
大きなテーブルの中央の席に俺が座り、会議がスタートした。
最初の話題は、父上からの重大発表――『五年後、王位を二人の王子、どちらかに譲る』だ。
まず、爵位が一番高いシメイ伯爵が発言した。
「いや、昨日の王様の話は、まいったぜ! 何せ突然だろ? 王宮は、一体どうなってるんだ?」
シメイ伯爵らしいざっくばらんな口調が、みんなの緊張をほぐし、発言しやすい雰囲気を作る。
第二騎士団長ローデンバッハ男爵が、シメイ伯爵に答えた。
「私は知らなかった。少なくとも軍関係者に事前情報はなかった」
ローデンバッハ男爵は、領地を持たない法衣貴族だ。
王宮から役職・仕事を貰って、報酬を得る。
中央とのコネクションは、シメイ伯爵より強い。
軍関係者からの情報は、ここにいる誰よりも早く耳に入るだろう。
そんなローデンバッハ男爵でも、事前情報はなかったという。
俺もローデンバッハ男爵に続く。
「俺も知らなかった。論功行賞の事前折衝では、父上が五年で退位する話は、まったく出ていなかった」
「ふーん……。すると、王様の独断か? 今回、色々あったから、嫌になっちまったのかな? 無理もねえ。息子が裏切って死んだ訳だしな……。気の毒に……」
シメイ伯爵が、父上に同情する。
根が優しいな。
「苦肉の策ですじゃろ」
「ん~? コーゼン男爵は、何か情報を持っていたのかい?」
俺はじいに、話を続けるようにうなずいてみせた。
「いえ。わたくしも聞いてなかったので、昨晩は驚きました。しかし、考えてみると――」
「考えてみると? 何だ? どうして苦肉の策なんだ?」
「我が国は、危機に瀕しております」
「戦争には勝ったぞ!」
「ええ、戦争には勝ちました。しかし、他国への救援に赴き、救援に行った国に裏切られたのです。新たな領地は得られず、金貨も得られず。国として見れば、タダ働きですじゃ」
「ああ……それで俺が貰った褒賞が、アレか……」
シメイ伯爵は、論功行賞の報償として『安眠の魔道具』を貰ったそうだ。
魔道具は高価な物だけれど、武闘派のシメイ伯爵の報償としては、ちょっと微妙だ。
金貨や武具の方が、嬉しかっただろうな。
「二カ国が敵に回り、第一王子と宰相が亡くなったことで、貴族の派閥も再編……」
「そう言われてみれば、グダグダだな……。オイ! オイ! 中央は大丈夫なのかよ?」
シメイ伯爵は、南部に大領地を持つ地方の貴族だ。
普段は南部のシメイ伯爵領にいるから、中央の視点は持ち得ないのだろう。
じいに解説されて、フリージア王国の状況が見えてきたようだ。
「そこで、五年で王位を譲るのでしょう」
「何? わかるように説明しろよ」
「ここからは、あくまでも推測ですが……。恐れながら国王陛下の求心力は低下しております。元々宰相エノー伯爵の専横を許しておりました所に、裏切り、更にニアランド王国の間諜であったのではないかと……」
「うーむ。国王としては迂闊過ぎるな……。隣国の間諜を重臣として取り立てていたのだから、人を見る目がないし、チェックが甘い」
「その通りですじゃ。そこで五年と期限をつけて、両王子のどちらかに王位を譲るとしたのでしょう。五年と期限を切れば、少なくとも五年の間は国王陛下の地位は安泰ですじゃ」
「まあ、そうだよな。五年経てば、どちらかの王子様に王位を譲るのだからな」
俺もじいの解説を聞いて、父上の考えが分かってきた。
なるほど、確かにそうだ。
また、ニアランド王国あたりが陰謀をしかけて、クーデターを起こされてはたまらない。
それなら期限を区切って『自分は期間限定の王様』としておいた方が、王として色々と進めやすいだろう。
「でもよ。コーゼン男爵。何で五年なんだ? 来年でも良かっただろう?」
「それはアンジェロ様の年齢でしょう。アンジェロ様は、まだ十才。来年は十一才。王位を継ぐには、若すぎますじゃ」
「あー、確かに。五年後なら十五才で王位を継いでもおかしくない年だ」
「左様ですじゃ。国王陛下としても、跡継ぎを決めかねたのでしょう。普通に考えれば、内政派貴族の支持が厚く年長のアルドギスル様が跡継ぎで決まりです。しかし、アンジェロ様の魔法の威力は魅力的……」
「そうだな! あれはスゲエ!」
「それにグースとクイックの開発もあります。国王陛下としても、悩まれたのではないでしょうか?」
「ああ。アルドギスル様も悪くねえ。戦闘指揮も落ち着いていたからな」
俺もそう思う。
外見や言動が、ちょっとアレだけど……。
アルドギスル兄上は、国王になるだけの器がある。
フリージア王国は、メロビクスやミスルのような大国ではない。
大陸北西部では、中程度の国だ。
アルドギスル兄上なら、十分に治められるだろう。
黙って話を聞いていた第二騎士団副官ポニャトフスキ騎士爵が口を開いた。
「ふむ……コーゼン男爵の推測は、恐らく正しいでしょう。付け加えるならば、二人の王子、正確には二人の王子派閥に競わせる事で、我が国を立て直すつもりでは?」
「ん? ポニャトフスキ。どういうことだ?」
第二騎士団長ローデンバッハ男爵が反応する。
「五年後に、どちらかの王子に王位を譲るとなれば、派閥に属する貴族は王子の評価を上げようと奮闘するでしょう。内政に! 外交に! 軍事に!」
「なるほど。確かに、そうだ。そうすれば我が国の国力が上がるな」
「はい。先ほどコーゼン男爵がおっしゃったように。現在、我が国は危機的な状況にあります。この状況を覆す鬼手が、『五年後の王位継承』なのでは?」
そういうことなのか。
父上も考えたな。
あっ……そう言えば……。
「メロビクス戦役の帰路だ……。父上から『二人の王子が、皆の希望だ』と言われた……」
俺のつぶやきをポニャトフスキ騎士爵が拾う。
「まさに希望です! 希望があれば、みな希望に向かって努力を惜しまないでしょう。さて、小官の予測が正しければ……。この度の報償と我ら第二騎士団の配置も色々と意味を持つかと。アンジェロ王子いかがでしょうか?」
視線が俺に集まる。
俺はじいと目を合わせ、うなずき合う。
今回の論功行賞の裏話をしよう。
「今回の論功行賞で、俺は商業都市ザムザを得た。俺とじいで、事前交渉をした成果だが、条件もつけられた。条件の一つが、東部防衛だ」
「「「「「「東部防衛?」」」」」」
「西部、つまりメロビクス王大国とニアランド王国に対する防衛は、アルドギスル兄上を中心に行う。両国に対する外交は、父上の下についた外交族貴族が行う」
「なるほど。王族で分担するわけですな」
ポニャトフスキ騎士爵が、ノリノリだ。
彼は第二騎士団で参謀役だが、軍事面だけでなく政治面もいけるのかな?
だとしたら、頼もしい。
俺は丁寧に説明を続ける。
「そこで、第三王子の俺が東部方面に対する防衛を担うことになった。ブルムント、ベロイア、イタロスが受け持ちだ」
「それで、我ら第二騎士団がアンジェロ王子の配下に?」
「そう。現在、東部のブルムント、ベロイア、イタロスは、我が国に友好的だ。ただ、絶対に攻撃してこない保証はない」
「確かにそうですな。我が国西部がメロビクス王大国、ニアランド王国によって、脅かされている。反対側の東側諸国が、欲を出さないとは限らない……と?」
俺は静かにうなずく。
まさに、ポニャトフスキ騎士爵が言う通りだ。
メロビクス戦役では、俺の極大魔法メテオストリームが炸裂して、二カ国の軍が全滅した。
その結果を聞いたら、普通はちょっかいを出さない。
しかし、『ひょっとしたらイケるんじゃないか?』と考える、無駄に積極的な国があるかもしれない。
「王宮の文官を中心に、その意見が多かった。そこで、『報償として商業都市ザムザを希望するなら、東部防衛に責任を持って下さい』と交渉過程で言われた。父上とアルドギスル兄上の負担が減るから、受け入れたよ」
「ふーむ。すると、第二王子のアルドギスル様は西部を担当。第三王子のアンジェロ様は東部を担当。二人が東西に分かれて競い合うのですな……」
「そりゃあ、見物だな!」
シメイ伯爵が『見物』と言った瞬間、堅物のじいがジロリとにらんだ。
俺は苦笑しながら、じいをなだめる。
「今は国難の時だ。結果的に競争する事になるかもしれないが、東部を安泰にし、発展させることがフリージア王国に資する。皆の協力を頼む!」
「「「「「「はっ!」」」」」」
会議は終わり、シメイ伯爵、第二騎士団長ローデンバッハ男爵、副官ポニャトフスキ騎士爵は、帰って行った。
俺は居眠りをしていたサラとボイチェフを起こす。
「サラ、ボイチェフ、終わったよ」
「……うあ。終わったか。何か難しい話をしていたから、ついウトウトしてしまったぞ」
「んあ~。あんじぇろ。お腹が空いてきただ」
サラとボイチェフは、肉体労働担当だから寝ていても良い。
頭脳労働担当リス族のキューがちゃんと聞いていたから大丈夫だ。
俺が席を立とうとするとじいが、まだ話があると言う。
「さて……確認いたしますが……。アンジェロ様は、王位につくお気持ちはございますか?」
俺は政治向きに関係のあるアンジェロ領のメンバーを集めた。
お題は、昨日の論功行賞と父上からの重大発表。
場所は、母上――第三王妃の宮である橙木宮の広間だ。
・俺
・じい(コーゼン男爵)
・エルハムさん(騎士爵)
・ルーナ先生
・黒丸師匠
・白狼族のサラ
・熊族のボイチェフ
・リス族のキュー
・第二騎士団長ローデンバッハ男爵
・副官ポニャトフスキ騎士爵
・シメイ伯爵
シメイ伯爵は予定になかったのだけれど、挨拶に寄ってくれたので参加して貰うことにした。
領地貴族として意見を述べて欲しいとお願いした。
獣人三族は、近隣の友好的な種族ということで参加して貰う。
大きなテーブルの中央の席に俺が座り、会議がスタートした。
最初の話題は、父上からの重大発表――『五年後、王位を二人の王子、どちらかに譲る』だ。
まず、爵位が一番高いシメイ伯爵が発言した。
「いや、昨日の王様の話は、まいったぜ! 何せ突然だろ? 王宮は、一体どうなってるんだ?」
シメイ伯爵らしいざっくばらんな口調が、みんなの緊張をほぐし、発言しやすい雰囲気を作る。
第二騎士団長ローデンバッハ男爵が、シメイ伯爵に答えた。
「私は知らなかった。少なくとも軍関係者に事前情報はなかった」
ローデンバッハ男爵は、領地を持たない法衣貴族だ。
王宮から役職・仕事を貰って、報酬を得る。
中央とのコネクションは、シメイ伯爵より強い。
軍関係者からの情報は、ここにいる誰よりも早く耳に入るだろう。
そんなローデンバッハ男爵でも、事前情報はなかったという。
俺もローデンバッハ男爵に続く。
「俺も知らなかった。論功行賞の事前折衝では、父上が五年で退位する話は、まったく出ていなかった」
「ふーん……。すると、王様の独断か? 今回、色々あったから、嫌になっちまったのかな? 無理もねえ。息子が裏切って死んだ訳だしな……。気の毒に……」
シメイ伯爵が、父上に同情する。
根が優しいな。
「苦肉の策ですじゃろ」
「ん~? コーゼン男爵は、何か情報を持っていたのかい?」
俺はじいに、話を続けるようにうなずいてみせた。
「いえ。わたくしも聞いてなかったので、昨晩は驚きました。しかし、考えてみると――」
「考えてみると? 何だ? どうして苦肉の策なんだ?」
「我が国は、危機に瀕しております」
「戦争には勝ったぞ!」
「ええ、戦争には勝ちました。しかし、他国への救援に赴き、救援に行った国に裏切られたのです。新たな領地は得られず、金貨も得られず。国として見れば、タダ働きですじゃ」
「ああ……それで俺が貰った褒賞が、アレか……」
シメイ伯爵は、論功行賞の報償として『安眠の魔道具』を貰ったそうだ。
魔道具は高価な物だけれど、武闘派のシメイ伯爵の報償としては、ちょっと微妙だ。
金貨や武具の方が、嬉しかっただろうな。
「二カ国が敵に回り、第一王子と宰相が亡くなったことで、貴族の派閥も再編……」
「そう言われてみれば、グダグダだな……。オイ! オイ! 中央は大丈夫なのかよ?」
シメイ伯爵は、南部に大領地を持つ地方の貴族だ。
普段は南部のシメイ伯爵領にいるから、中央の視点は持ち得ないのだろう。
じいに解説されて、フリージア王国の状況が見えてきたようだ。
「そこで、五年で王位を譲るのでしょう」
「何? わかるように説明しろよ」
「ここからは、あくまでも推測ですが……。恐れながら国王陛下の求心力は低下しております。元々宰相エノー伯爵の専横を許しておりました所に、裏切り、更にニアランド王国の間諜であったのではないかと……」
「うーむ。国王としては迂闊過ぎるな……。隣国の間諜を重臣として取り立てていたのだから、人を見る目がないし、チェックが甘い」
「その通りですじゃ。そこで五年と期限をつけて、両王子のどちらかに王位を譲るとしたのでしょう。五年と期限を切れば、少なくとも五年の間は国王陛下の地位は安泰ですじゃ」
「まあ、そうだよな。五年経てば、どちらかの王子様に王位を譲るのだからな」
俺もじいの解説を聞いて、父上の考えが分かってきた。
なるほど、確かにそうだ。
また、ニアランド王国あたりが陰謀をしかけて、クーデターを起こされてはたまらない。
それなら期限を区切って『自分は期間限定の王様』としておいた方が、王として色々と進めやすいだろう。
「でもよ。コーゼン男爵。何で五年なんだ? 来年でも良かっただろう?」
「それはアンジェロ様の年齢でしょう。アンジェロ様は、まだ十才。来年は十一才。王位を継ぐには、若すぎますじゃ」
「あー、確かに。五年後なら十五才で王位を継いでもおかしくない年だ」
「左様ですじゃ。国王陛下としても、跡継ぎを決めかねたのでしょう。普通に考えれば、内政派貴族の支持が厚く年長のアルドギスル様が跡継ぎで決まりです。しかし、アンジェロ様の魔法の威力は魅力的……」
「そうだな! あれはスゲエ!」
「それにグースとクイックの開発もあります。国王陛下としても、悩まれたのではないでしょうか?」
「ああ。アルドギスル様も悪くねえ。戦闘指揮も落ち着いていたからな」
俺もそう思う。
外見や言動が、ちょっとアレだけど……。
アルドギスル兄上は、国王になるだけの器がある。
フリージア王国は、メロビクスやミスルのような大国ではない。
大陸北西部では、中程度の国だ。
アルドギスル兄上なら、十分に治められるだろう。
黙って話を聞いていた第二騎士団副官ポニャトフスキ騎士爵が口を開いた。
「ふむ……コーゼン男爵の推測は、恐らく正しいでしょう。付け加えるならば、二人の王子、正確には二人の王子派閥に競わせる事で、我が国を立て直すつもりでは?」
「ん? ポニャトフスキ。どういうことだ?」
第二騎士団長ローデンバッハ男爵が反応する。
「五年後に、どちらかの王子に王位を譲るとなれば、派閥に属する貴族は王子の評価を上げようと奮闘するでしょう。内政に! 外交に! 軍事に!」
「なるほど。確かに、そうだ。そうすれば我が国の国力が上がるな」
「はい。先ほどコーゼン男爵がおっしゃったように。現在、我が国は危機的な状況にあります。この状況を覆す鬼手が、『五年後の王位継承』なのでは?」
そういうことなのか。
父上も考えたな。
あっ……そう言えば……。
「メロビクス戦役の帰路だ……。父上から『二人の王子が、皆の希望だ』と言われた……」
俺のつぶやきをポニャトフスキ騎士爵が拾う。
「まさに希望です! 希望があれば、みな希望に向かって努力を惜しまないでしょう。さて、小官の予測が正しければ……。この度の報償と我ら第二騎士団の配置も色々と意味を持つかと。アンジェロ王子いかがでしょうか?」
視線が俺に集まる。
俺はじいと目を合わせ、うなずき合う。
今回の論功行賞の裏話をしよう。
「今回の論功行賞で、俺は商業都市ザムザを得た。俺とじいで、事前交渉をした成果だが、条件もつけられた。条件の一つが、東部防衛だ」
「「「「「「東部防衛?」」」」」」
「西部、つまりメロビクス王大国とニアランド王国に対する防衛は、アルドギスル兄上を中心に行う。両国に対する外交は、父上の下についた外交族貴族が行う」
「なるほど。王族で分担するわけですな」
ポニャトフスキ騎士爵が、ノリノリだ。
彼は第二騎士団で参謀役だが、軍事面だけでなく政治面もいけるのかな?
だとしたら、頼もしい。
俺は丁寧に説明を続ける。
「そこで、第三王子の俺が東部方面に対する防衛を担うことになった。ブルムント、ベロイア、イタロスが受け持ちだ」
「それで、我ら第二騎士団がアンジェロ王子の配下に?」
「そう。現在、東部のブルムント、ベロイア、イタロスは、我が国に友好的だ。ただ、絶対に攻撃してこない保証はない」
「確かにそうですな。我が国西部がメロビクス王大国、ニアランド王国によって、脅かされている。反対側の東側諸国が、欲を出さないとは限らない……と?」
俺は静かにうなずく。
まさに、ポニャトフスキ騎士爵が言う通りだ。
メロビクス戦役では、俺の極大魔法メテオストリームが炸裂して、二カ国の軍が全滅した。
その結果を聞いたら、普通はちょっかいを出さない。
しかし、『ひょっとしたらイケるんじゃないか?』と考える、無駄に積極的な国があるかもしれない。
「王宮の文官を中心に、その意見が多かった。そこで、『報償として商業都市ザムザを希望するなら、東部防衛に責任を持って下さい』と交渉過程で言われた。父上とアルドギスル兄上の負担が減るから、受け入れたよ」
「ふーむ。すると、第二王子のアルドギスル様は西部を担当。第三王子のアンジェロ様は東部を担当。二人が東西に分かれて競い合うのですな……」
「そりゃあ、見物だな!」
シメイ伯爵が『見物』と言った瞬間、堅物のじいがジロリとにらんだ。
俺は苦笑しながら、じいをなだめる。
「今は国難の時だ。結果的に競争する事になるかもしれないが、東部を安泰にし、発展させることがフリージア王国に資する。皆の協力を頼む!」
「「「「「「はっ!」」」」」」
会議は終わり、シメイ伯爵、第二騎士団長ローデンバッハ男爵、副官ポニャトフスキ騎士爵は、帰って行った。
俺は居眠りをしていたサラとボイチェフを起こす。
「サラ、ボイチェフ、終わったよ」
「……うあ。終わったか。何か難しい話をしていたから、ついウトウトしてしまったぞ」
「んあ~。あんじぇろ。お腹が空いてきただ」
サラとボイチェフは、肉体労働担当だから寝ていても良い。
頭脳労働担当リス族のキューがちゃんと聞いていたから大丈夫だ。
俺が席を立とうとするとじいが、まだ話があると言う。
「さて……確認いたしますが……。アンジェロ様は、王位につくお気持ちはございますか?」
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