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ヒロトvs剛田➀

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ヒロトはフィールド内で筋肉マッチョの男と対面していた。
「なーんだ、弱そうなやつが入ってきたなー。」
「はあ。」
「まあいい、剛田力也ごうだりきやだ。よろしくな。」
「はい、千手ヒロトです。よろしくお願いします。」
ヒロトはこの時、こいつの力は筋力だ。マッチョすぎてうすうす感じていた。
「お前、どんな力があるんだ?」
「それは言わないときます。」
「おーい、けち臭いこと言ってねえで教えろよー。減るもんじゃねえんだしよー。」
「遠慮しときます。」俺の力はギャップが大事なんだ。そう自分に言い聞かせた。
「ちぇー、つまんねえ奴。」
二人は席に着いた。
コイントスでヒロトは攻めになった。力也がカードをセットする。
「さあさあ、早く引いてくれよー。」
「はい、いきます。」
ヒロトはカード両方を触って強度を確かめた。…やっぱり、片方のカードが抜けそうになかった。俺と同じ作戦で勝ち上がってきたんだ。しかも見るからに相手は筋力だ。俺は握力一本なんだぞ!心の中で突っ込みを入れた。
「こっち、抜けないんですけど。」ヒロトが力也に尋ねる。
「はー、そんなはずはねえだろー。」棒読みで力也が答える。
「そうですか。」ヒロトは仕方がなく抜ける方のカードを引いた。やはりジョーカーだ。
「にひひひひ。ざんねーん。」ただこの時ヒロトには自分もカードを引かせないという自信があった。決勝までの試合の中で、カードが指からずれることが一度もなかったからだ。そんな中強敵が現れ、何ならわくわくしていたのだ。
「どうぞ。」ヒロトがカードを差し出す。
「ん?どうした。堅いぞ。」ヒロトのもつ片方のカードを触って、力也が言う。
「はー、そんなはずはないですよー。」わざとらしく言ってやった。
「お前なあ、」力也がほほ笑んだ。
「うおおおおおおおおーーーーーー。」力也は雄叫びとともにカードを引こうとした。
やばい、ちょっと待って、
「何の力だか知らねえが、これを耐えるとはなかなかやるじゃねえか」ぎりぎり抜かれることはなかった。
「だがこれでどうだ。」力也が椅子から立ち中腰になった。
「うおおおおおおおーーーーーーーー。」
だめだ、勝てない。ヒロトは認めたくないが抜かれる未来しか見えなかった。
「ふふ、なかなかいい相手だったぜ。」ヒロトからAを奪った力也が言った。
ヒロトは全身からの汗が止まらなかった。力也の一本だ。
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