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相対良知の果実
136_ジーノ_
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上々の反応だ。
ユーリは僕たちの仲に希望を持った。
彼女の一番の願いは僕たち二人を手に入れることなのだから目の前に自分の欲しい希望があれば多少歪だろうと欲しくなるはずだ。
三島は仕事を以前から調整しているようで粗方目処は
ついているそうだ。
調整していた理由は大方想像できた。
だが、日本を離れる事は今回は言わなかった。
今のユーリでは無理だ。
僕と三島の愛は彼女の信頼を失った。
もう一度取り戻すには時間が必要だ。
夫人はユーリが子どもを産むまでは僕たちが侑梨を
傷つけない限り手を出さないだろう。
その10ヶ月の間に手を打たなければ僕たちの負けだ。
「おい。お前のマンションに一緒に住むのか⁈」
「君のマンションでは住めないよ」
あの部屋はゴミ溜めだ。
「それもあるが、夫人はお前のマンションを知っている。別の場所にした方がいいだろう?」
「……どこに変えても逃げられないさ」
それならユーリが少しでも馴染みのある場所の方がいい。
「……俺はマンションがある」
「君がゴミ溜めマンションにいる間、僕は彼女とずっと一緒だ。そうしたいならそうすればいいよ。ただ、夫人が仕掛けてくる可能性はあるから、これを機に彼女が疲れない程度に旅行に行こうかと思ってる。いなければ置いていくからね」
「……お前、まさか侑梨を抱くつもりはないよな?」
「僕も調べたよ。セックスは問題ないけれど、流産した時にそれが原因だと思い込んでメンタルに支障をきたすことが多いって。残念だけど自重するよ」
安堵の息を漏らす彼に問う。
「君は彼女を抱いた時に避妊をした。それなら僕の子だと思う。それでも彼女の子どもとして愛せるのかい?」
「……生まれた子どもに俺を父親だと思うようにしてやるさ」
──本気で言っているこのバカ真面目さが怖いよ。
「僕のマンションで生活しよう。セックス以外は彼女が問題なければOKにしよう……寝室は暫くは別にしよう。
僕も流石にまだ抵抗がある」
三島の明らかにホッとしている所に水を刺す。
「けれど彼女から僕か君のベットに来たのならそこに介入はなしだ」
そうなればお互い地獄のような時間だ。
「──俺はお前に養ってもらう状態か?」
触れたくない内容から逸らした。
金銭面の不満があるようだ。
「マウロ家から手を引いた際にそれなりのお金は頂いたからね。君を養っても問題ないよ」
「そういう問題じゃない」
流石にお金のことは矜恃があるだろう。
彼女が三島を欲しているのにつまらないことで怒らすのは本意ではない。仕方がない。
「なら君はユーリに贈る指輪を買ってくれ。僕たち三人のだ」
「俺が店で三つ頼むのか?」
「そうだね。僕は17号でよろしく」
唖然とする彼に追い討ちをかける。
「彼女を連れていくといい。それとも僕も行こうか?」
無言で被りを振る。
「……本当は僕が買いたいんだ。君だけが我慢している
訳じゃない」
彼女が立つキッチンへ進む。
後ろから抱きしめると切なそうに微笑む彼女の心が見える。
これで良かったと確信する。
ユーリは僕たちの仲に希望を持った。
彼女の一番の願いは僕たち二人を手に入れることなのだから目の前に自分の欲しい希望があれば多少歪だろうと欲しくなるはずだ。
三島は仕事を以前から調整しているようで粗方目処は
ついているそうだ。
調整していた理由は大方想像できた。
だが、日本を離れる事は今回は言わなかった。
今のユーリでは無理だ。
僕と三島の愛は彼女の信頼を失った。
もう一度取り戻すには時間が必要だ。
夫人はユーリが子どもを産むまでは僕たちが侑梨を
傷つけない限り手を出さないだろう。
その10ヶ月の間に手を打たなければ僕たちの負けだ。
「おい。お前のマンションに一緒に住むのか⁈」
「君のマンションでは住めないよ」
あの部屋はゴミ溜めだ。
「それもあるが、夫人はお前のマンションを知っている。別の場所にした方がいいだろう?」
「……どこに変えても逃げられないさ」
それならユーリが少しでも馴染みのある場所の方がいい。
「……俺はマンションがある」
「君がゴミ溜めマンションにいる間、僕は彼女とずっと一緒だ。そうしたいならそうすればいいよ。ただ、夫人が仕掛けてくる可能性はあるから、これを機に彼女が疲れない程度に旅行に行こうかと思ってる。いなければ置いていくからね」
「……お前、まさか侑梨を抱くつもりはないよな?」
「僕も調べたよ。セックスは問題ないけれど、流産した時にそれが原因だと思い込んでメンタルに支障をきたすことが多いって。残念だけど自重するよ」
安堵の息を漏らす彼に問う。
「君は彼女を抱いた時に避妊をした。それなら僕の子だと思う。それでも彼女の子どもとして愛せるのかい?」
「……生まれた子どもに俺を父親だと思うようにしてやるさ」
──本気で言っているこのバカ真面目さが怖いよ。
「僕のマンションで生活しよう。セックス以外は彼女が問題なければOKにしよう……寝室は暫くは別にしよう。
僕も流石にまだ抵抗がある」
三島の明らかにホッとしている所に水を刺す。
「けれど彼女から僕か君のベットに来たのならそこに介入はなしだ」
そうなればお互い地獄のような時間だ。
「──俺はお前に養ってもらう状態か?」
触れたくない内容から逸らした。
金銭面の不満があるようだ。
「マウロ家から手を引いた際にそれなりのお金は頂いたからね。君を養っても問題ないよ」
「そういう問題じゃない」
流石にお金のことは矜恃があるだろう。
彼女が三島を欲しているのにつまらないことで怒らすのは本意ではない。仕方がない。
「なら君はユーリに贈る指輪を買ってくれ。僕たち三人のだ」
「俺が店で三つ頼むのか?」
「そうだね。僕は17号でよろしく」
唖然とする彼に追い討ちをかける。
「彼女を連れていくといい。それとも僕も行こうか?」
無言で被りを振る。
「……本当は僕が買いたいんだ。君だけが我慢している
訳じゃない」
彼女が立つキッチンへ進む。
後ろから抱きしめると切なそうに微笑む彼女の心が見える。
これで良かったと確信する。
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