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あえかなる夜の知覚

x85_櫂_

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夫人の友人となれば政財界や大企業の婦人達だ。
すぐにリストアップしライバル商品を排除し、
そこから嗜好に合うものをピックアップしなければならない。
社員総出の仕事だ。
侑梨に結婚を申し込もうと思っていたのに、
見事に邪魔をしてくれる。
──だが、これを最後にしよう。
侑梨としばらく東京を離れるのもいいかもしれない。
侑梨の部屋のクッションが欧州風のキリム柄だったことを思い出す。侑梨とトルコでクッションとラグを買おう。
2人での新しい生活にキリムの鮮やかさが色を添えてくれるだろう。
思考が脱線する。
その為には今は明日までに夫人のお茶会を
成功させることだけを考えよう。
12月には珍しく雪がチラついている。
来年のクリスマスに侑梨と2人きりで過ごす時も
雪が降ればいいのに。
「沙織。リストくれ」

──次の日から彼女と連絡が取れないなんて思いもしなかった。
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