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013 檜垣榮吾
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「──ねぇ、なんで榮吾がアンコ入りのナンを知ってるの?緑子が言ってたっていつ話したの?」
陽か朱音、どちらが突っ込んで来るかと思ったが、やっぱり想像通り朱音だった。
陽はひと呼吸置くが朱音はいつも猪突猛進気味だからな。
「いつだったっけ?」
悩むフリをすれば朱音が焦れる。
嫉妬深い朱音の頭の中ではいろいろも妄想が膨らんでいるだろうが、それでも最悪な妄想には至っていないだろうな。
「緑子とインドカレー屋に行きだしたのは最近なんだけど。なに?2人はメールでもしてるの?」
笑える。
メールの妄想でここまで嫉妬を露わにしているのか?
──どれだけ緑子が好きなんだよ。
俺のことは全く興味も示さない癖に緑子が絡むとコレだ。
いつも、いつも緑子しか頭にない。
陽も何も言わずにビールを飲んでいるけれど瞳が冷ややかだ。
俺に緑子を取られるなんて想像もしてななっただろうし。
朱音は陽を、陽は朱音を邪魔に思ってた。
その中で俺は朱音が好きで歯牙にも掛けないかからない安全な男だったんだろう。
──もうウンザリだ。
3人のラブゲームの当て馬の様な存在には。
それに気づかず、幸せそうにしている緑子にも少し──苛ついた。
本来は可愛くて大好きな幼馴染みなのに──好きな女の想い人なんてそりゃメンタルやられるよ。
でも──1番苛つかせたのは朱音だ。
相手にもしていなかった奴に好きな女を奪られるなんて──ホント──笑える。
「緑子いつだったけ?緑子のマンション行ったの?」
流石に陽もビールを飲んでいた手が止まった。
朱音に至っては時間が止まったかのように微動だにしない。
今頃、頭の中では更に妄想が膨らんでいるのだろう。
「えっ⁈ 」
緑子の言っていいのか、どこまで言うのか考えてなかった焦りが空気に漏れる。
緑子は〈付き合っているフリ〉をする事にしたとは言え、いつ話すかなんて考えていなかったのだろう。
その焦りが朱音と陽には〈なにか〉を思わせる。
「──なに?檜垣と緑子さんは2人でよく会ってるの?」
陽が流石に口を開く。
そうだよな。
陽は朱音のブロックが厳しくて緑子と2人にはさせて貰えないけれど、俺はフリーパス状態だ。
朱音も俺にも多少、餌でも撒いておけばこんな事にはならなかったのに。
こんなに旨いビールは久しぶりだ。
空になったビールを取りに冷蔵庫へ向かう。
その横のキッチンには緑子が突っ立っている。
笑える。
「なんで緑子もびっくりしてんだよ」
そう声を掛けても表情が変わらない。
──朱音や陽が緑子を好きなのもわかる。
俺も緑子が可愛いと思うし。
「この前の煮豚も美味かったし緑子はホント、いい嫁さんになるよ」
緑子はそんな事ないよ……となんだかしどろもどろだ。
この異様な空気に慄いている。
「ちょっと、榮吾!」
冷蔵庫から取り出した缶ビールのタブを開け飲む。
朱音の顔を──瞳をこんな気持ちで見る日がくるとは思わなかった。
「俺と緑子、付き合ってるんだよ」
可愛さ余って憎さ百倍って言葉があるけれど──その気持ちが今、わかるよ、朱音。
陽か朱音、どちらが突っ込んで来るかと思ったが、やっぱり想像通り朱音だった。
陽はひと呼吸置くが朱音はいつも猪突猛進気味だからな。
「いつだったっけ?」
悩むフリをすれば朱音が焦れる。
嫉妬深い朱音の頭の中ではいろいろも妄想が膨らんでいるだろうが、それでも最悪な妄想には至っていないだろうな。
「緑子とインドカレー屋に行きだしたのは最近なんだけど。なに?2人はメールでもしてるの?」
笑える。
メールの妄想でここまで嫉妬を露わにしているのか?
──どれだけ緑子が好きなんだよ。
俺のことは全く興味も示さない癖に緑子が絡むとコレだ。
いつも、いつも緑子しか頭にない。
陽も何も言わずにビールを飲んでいるけれど瞳が冷ややかだ。
俺に緑子を取られるなんて想像もしてななっただろうし。
朱音は陽を、陽は朱音を邪魔に思ってた。
その中で俺は朱音が好きで歯牙にも掛けないかからない安全な男だったんだろう。
──もうウンザリだ。
3人のラブゲームの当て馬の様な存在には。
それに気づかず、幸せそうにしている緑子にも少し──苛ついた。
本来は可愛くて大好きな幼馴染みなのに──好きな女の想い人なんてそりゃメンタルやられるよ。
でも──1番苛つかせたのは朱音だ。
相手にもしていなかった奴に好きな女を奪られるなんて──ホント──笑える。
「緑子いつだったけ?緑子のマンション行ったの?」
流石に陽もビールを飲んでいた手が止まった。
朱音に至っては時間が止まったかのように微動だにしない。
今頃、頭の中では更に妄想が膨らんでいるのだろう。
「えっ⁈ 」
緑子の言っていいのか、どこまで言うのか考えてなかった焦りが空気に漏れる。
緑子は〈付き合っているフリ〉をする事にしたとは言え、いつ話すかなんて考えていなかったのだろう。
その焦りが朱音と陽には〈なにか〉を思わせる。
「──なに?檜垣と緑子さんは2人でよく会ってるの?」
陽が流石に口を開く。
そうだよな。
陽は朱音のブロックが厳しくて緑子と2人にはさせて貰えないけれど、俺はフリーパス状態だ。
朱音も俺にも多少、餌でも撒いておけばこんな事にはならなかったのに。
こんなに旨いビールは久しぶりだ。
空になったビールを取りに冷蔵庫へ向かう。
その横のキッチンには緑子が突っ立っている。
笑える。
「なんで緑子もびっくりしてんだよ」
そう声を掛けても表情が変わらない。
──朱音や陽が緑子を好きなのもわかる。
俺も緑子が可愛いと思うし。
「この前の煮豚も美味かったし緑子はホント、いい嫁さんになるよ」
緑子はそんな事ないよ……となんだかしどろもどろだ。
この異様な空気に慄いている。
「ちょっと、榮吾!」
冷蔵庫から取り出した缶ビールのタブを開け飲む。
朱音の顔を──瞳をこんな気持ちで見る日がくるとは思わなかった。
「俺と緑子、付き合ってるんだよ」
可愛さ余って憎さ百倍って言葉があるけれど──その気持ちが今、わかるよ、朱音。
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