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【いつものように皆んなで陽ちゃん家でお泊まり会しない?】
そうグループメールに送れば榮吾くんは楽しみだと、朱音ちゃんはナンカレーが食べたいと、陽ちゃんは早くおいでと言ってくれる。
こんなに仲が良いのに変わらないといけないのだろうか?
誰かと付き合うとかそんなこと抜きにしてはいられないのだろうか?
自分が子どもっぽい事を言っているのは理解しているけれど──これが私の本心だ。
【私が買い出し行くね】
榮吾くんはサービス業だから来るのも遅くならりそうだし、朱音ちゃんも病院勤務でどうなるのか分からない。
【陽ちゃんは行ける?行けるなら一緒に行ってくれる?】
荷物がなかなかありそうなので自分だけだと少し不安だ。
するとすぐに返信が来た。
【私が行くよ。緑子、いつものスーパーで待ち合わせしようよ】
朱音ちゃんからの返信だ。
その優しさに心が暖かくなる。
【ありがとう朱音ちゃん。でも大丈夫?】
最近忙しいと溢していたので心配だ。
そう返信すれば陽ちゃんのメールが入る。
【忙しいのに無理しなくていいよ朱音さん。時間に余裕あるから僕が緑子さんと行くよ】
【いいから。私が行くよ】
陽ちゃんも優しいなぁ。
忙しい朱音ちゃんを気遣っているのだろう。
そんな姿を見れば──やっぱり陽ちゃんは朱音ちゃんが好きなんだと思う。
──さて、どうしよう。
ここは私も気を効かせた方がいいだろう。
でも買い物は私がした方がいいだろうし……3人で行けば私はお邪魔だろう。
困ったなぁ。
【じゃあ私が陽ちゃん家でナン捏ねてる間に残りの食材を2人で買ってきてくれる?】
そうすれば陽ちゃんも朱音ちゃんを迎えに行けるし、朱音ちゃんも陽ちゃんと2人の時間が取れる。
インドカレー自体はそんなに時間が掛からないから時間の掛かるナンとチキンの最低限の食材だけなら1人でも持っていけるし大丈夫だ。
榮吾くんも陽ちゃん、そして朱音ちゃんもお酒が大好きだから結構嵩張るんだよね……。
そんな事を考えていれば電話の着信音が鳴る。
陽ちゃんだ。
『どうしたの陽ちゃん?』
『食材はメールオーダーにして僕の家に届けてもらうようにしておけばいいよ。そうすれば無理に朱音さんが急ぐ必要も無いし緑子さんも時間を気にせずにゆっくり僕の家で作れるでしょ?』
『でも高くなっちゃうよ』
『緑子さんはその日休みでしょ?食材費なんて僕が出すからお昼ご飯も作りに来てよ』
『……陽ちゃんまたコーヒーだけの生活してないよね?』
『お酒も好きだよ』
これはしてるなぁ。
陽ちゃんは食べない時は全然食べないから心配になる。
榮吾くんはしっかりと栄養素とか考えていて寧ろ私が教わりたいくらいによく知っている。
この間なんてレモン一個にビタミンCがレモン二個分入っていると教えてくれた時は意味が分からなかった。
それに唐揚げにレモンを掛ける際はレモンの向きがあるらしい。
皮目を下にした方が香りが良いらしく試してみれば本当だった。
さすが榮吾くんだと感心すれば朱音ちゃんが「榮吾は面倒臭い!レモンなんて液体ポッカで十分じゃん!」と叫び、陽ちゃんにどっち派かと問い質していた。すると陽ちゃんはまさかの「どうでもいい」という根底から覆す答えを持ってきてしまった。
それにより最後の審判は私に降りかかることに。
榮吾くんと朱音ちゃんににじり寄られてながらも屈せずに自分の意見を言えた自分を褒めてあげたい。
「レモンの色も形も味も好きだから固形レモン派かな……レモンを絞ると楽しくならない?」
そう言うと陽ちゃんが1番に「じゃあ僕の唐揚げに緑子さん絞って?」とお皿に乗った唐揚げを私の前に出す。
……陽ちゃんは本当に面倒屋さんなのだろう。
結局、朱音ちゃんがすかさず自分用のレモンと陽ちゃんのレモンを絞って
両方掛けていたのでとっても酸っぱかっただろう。
あの時の朱音ちゃんの行動は──私への嫉妬だったのだろうか?
『緑子さん?』
電話中だったのを思い出す。
お昼ご飯を作りに行くのはいいけれど……朱音ちゃんはやっぱりよく思わないかもしれない。
でも──陽ちゃんは本当に放っておくと食べないし……夕食にいっぱい出しても量を食べる方でもない。
『緑子さんが読みたがってた《寒がりオバケの温めかた》の新シリーズが家にあるよ』
『行く』
この誘惑には勝てない。
陽ちゃんはモノ書きさんだから新しい本を一般より早く手にしていることがある。
羨ましい特権だ。
『陽ちゃん何食べたい?』
『オムレツが食べたいな』
なんでもいいよと言うだろうと予想していたのに意外だ。
『オムライスじゃなくてオムレツ?』
陽ちゃんのことだ。勘違いしていないだろうか?
『シンプルなオムレツがいいな。卵だけでソースも要らない』
陽ちゃんは相変わらずシンプルなモノが好きだなぁ。
チーズやデミグラス、トマトソースより牛乳と塩とバターだけで作ったオムレツがいいのだろうか?
『他には?』
『緑子さんとオムレツがあれば最高だよ』
陽ちゃんは面倒屋さんだからそんな言葉で話を閉めようとする。
本当はオムレツだけあれば最高なのだろうに。
他の女の子だと勘違いするからやめた方がいいのに相変わらず陽ちゃんは軽いなぁ。ちょっと心配だ。
『じゃあ朱音ちゃんに話しておくね』
忙しいのに一緒にお買い物に行ってくれると言ってくれたのだからお礼を言いたい。
『朱音さんには僕から言っておくよ』
『?』
なんで?──そう思い──朱音ちゃんには自分の口から説明したいのかもしれないと思った。
そういえば陽ちゃんと私であまり2人きりになったことがないかもしれない。
いつも朱音ちゃんと一緒だったから。
陽ちゃんは本当は朱音ちゃんに来て欲しいけれど朱音ちゃんは忙しいから苦渋の決断なのかもしれないな。
『わかったよ。陽ちゃんに任せるね』
人の恋路を邪魔してはいけない。
そう思い──榮吾くんへの罪悪感が首を上げる。
『その日は何時から来てもいいからね。迎えにいくよ』
メールオーダーもしてくれて私を迎えに来るならお昼ご飯を作ったほうが楽だろうに。
ん?というかそれなら2人で買い出しに行けばいいのに。
陽ちゃんの面倒屋さんは捻くれててよく分からない。
後で買い物リストを送るからと電話を切った。
そうグループメールに送れば榮吾くんは楽しみだと、朱音ちゃんはナンカレーが食べたいと、陽ちゃんは早くおいでと言ってくれる。
こんなに仲が良いのに変わらないといけないのだろうか?
誰かと付き合うとかそんなこと抜きにしてはいられないのだろうか?
自分が子どもっぽい事を言っているのは理解しているけれど──これが私の本心だ。
【私が買い出し行くね】
榮吾くんはサービス業だから来るのも遅くならりそうだし、朱音ちゃんも病院勤務でどうなるのか分からない。
【陽ちゃんは行ける?行けるなら一緒に行ってくれる?】
荷物がなかなかありそうなので自分だけだと少し不安だ。
するとすぐに返信が来た。
【私が行くよ。緑子、いつものスーパーで待ち合わせしようよ】
朱音ちゃんからの返信だ。
その優しさに心が暖かくなる。
【ありがとう朱音ちゃん。でも大丈夫?】
最近忙しいと溢していたので心配だ。
そう返信すれば陽ちゃんのメールが入る。
【忙しいのに無理しなくていいよ朱音さん。時間に余裕あるから僕が緑子さんと行くよ】
【いいから。私が行くよ】
陽ちゃんも優しいなぁ。
忙しい朱音ちゃんを気遣っているのだろう。
そんな姿を見れば──やっぱり陽ちゃんは朱音ちゃんが好きなんだと思う。
──さて、どうしよう。
ここは私も気を効かせた方がいいだろう。
でも買い物は私がした方がいいだろうし……3人で行けば私はお邪魔だろう。
困ったなぁ。
【じゃあ私が陽ちゃん家でナン捏ねてる間に残りの食材を2人で買ってきてくれる?】
そうすれば陽ちゃんも朱音ちゃんを迎えに行けるし、朱音ちゃんも陽ちゃんと2人の時間が取れる。
インドカレー自体はそんなに時間が掛からないから時間の掛かるナンとチキンの最低限の食材だけなら1人でも持っていけるし大丈夫だ。
榮吾くんも陽ちゃん、そして朱音ちゃんもお酒が大好きだから結構嵩張るんだよね……。
そんな事を考えていれば電話の着信音が鳴る。
陽ちゃんだ。
『どうしたの陽ちゃん?』
『食材はメールオーダーにして僕の家に届けてもらうようにしておけばいいよ。そうすれば無理に朱音さんが急ぐ必要も無いし緑子さんも時間を気にせずにゆっくり僕の家で作れるでしょ?』
『でも高くなっちゃうよ』
『緑子さんはその日休みでしょ?食材費なんて僕が出すからお昼ご飯も作りに来てよ』
『……陽ちゃんまたコーヒーだけの生活してないよね?』
『お酒も好きだよ』
これはしてるなぁ。
陽ちゃんは食べない時は全然食べないから心配になる。
榮吾くんはしっかりと栄養素とか考えていて寧ろ私が教わりたいくらいによく知っている。
この間なんてレモン一個にビタミンCがレモン二個分入っていると教えてくれた時は意味が分からなかった。
それに唐揚げにレモンを掛ける際はレモンの向きがあるらしい。
皮目を下にした方が香りが良いらしく試してみれば本当だった。
さすが榮吾くんだと感心すれば朱音ちゃんが「榮吾は面倒臭い!レモンなんて液体ポッカで十分じゃん!」と叫び、陽ちゃんにどっち派かと問い質していた。すると陽ちゃんはまさかの「どうでもいい」という根底から覆す答えを持ってきてしまった。
それにより最後の審判は私に降りかかることに。
榮吾くんと朱音ちゃんににじり寄られてながらも屈せずに自分の意見を言えた自分を褒めてあげたい。
「レモンの色も形も味も好きだから固形レモン派かな……レモンを絞ると楽しくならない?」
そう言うと陽ちゃんが1番に「じゃあ僕の唐揚げに緑子さん絞って?」とお皿に乗った唐揚げを私の前に出す。
……陽ちゃんは本当に面倒屋さんなのだろう。
結局、朱音ちゃんがすかさず自分用のレモンと陽ちゃんのレモンを絞って
両方掛けていたのでとっても酸っぱかっただろう。
あの時の朱音ちゃんの行動は──私への嫉妬だったのだろうか?
『緑子さん?』
電話中だったのを思い出す。
お昼ご飯を作りに行くのはいいけれど……朱音ちゃんはやっぱりよく思わないかもしれない。
でも──陽ちゃんは本当に放っておくと食べないし……夕食にいっぱい出しても量を食べる方でもない。
『緑子さんが読みたがってた《寒がりオバケの温めかた》の新シリーズが家にあるよ』
『行く』
この誘惑には勝てない。
陽ちゃんはモノ書きさんだから新しい本を一般より早く手にしていることがある。
羨ましい特権だ。
『陽ちゃん何食べたい?』
『オムレツが食べたいな』
なんでもいいよと言うだろうと予想していたのに意外だ。
『オムライスじゃなくてオムレツ?』
陽ちゃんのことだ。勘違いしていないだろうか?
『シンプルなオムレツがいいな。卵だけでソースも要らない』
陽ちゃんは相変わらずシンプルなモノが好きだなぁ。
チーズやデミグラス、トマトソースより牛乳と塩とバターだけで作ったオムレツがいいのだろうか?
『他には?』
『緑子さんとオムレツがあれば最高だよ』
陽ちゃんは面倒屋さんだからそんな言葉で話を閉めようとする。
本当はオムレツだけあれば最高なのだろうに。
他の女の子だと勘違いするからやめた方がいいのに相変わらず陽ちゃんは軽いなぁ。ちょっと心配だ。
『じゃあ朱音ちゃんに話しておくね』
忙しいのに一緒にお買い物に行ってくれると言ってくれたのだからお礼を言いたい。
『朱音さんには僕から言っておくよ』
『?』
なんで?──そう思い──朱音ちゃんには自分の口から説明したいのかもしれないと思った。
そういえば陽ちゃんと私であまり2人きりになったことがないかもしれない。
いつも朱音ちゃんと一緒だったから。
陽ちゃんは本当は朱音ちゃんに来て欲しいけれど朱音ちゃんは忙しいから苦渋の決断なのかもしれないな。
『わかったよ。陽ちゃんに任せるね』
人の恋路を邪魔してはいけない。
そう思い──榮吾くんへの罪悪感が首を上げる。
『その日は何時から来てもいいからね。迎えにいくよ』
メールオーダーもしてくれて私を迎えに来るならお昼ご飯を作ったほうが楽だろうに。
ん?というかそれなら2人で買い出しに行けばいいのに。
陽ちゃんの面倒屋さんは捻くれててよく分からない。
後で買い物リストを送るからと電話を切った。
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