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昏迷
032 ハル
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既読が付かない。
21時前だけれど寝ているのだろうか?
……湖都子は自分が思っているよりも身体が弱い。
母親の身体を気遣い気力で動いている湖都子は自分が身体が弱いなんて思ってもいないが実際は体力はあまり無い。
電話をしようかと……少しだけでも会いたかったけれど……眠っているのなら起こしたくはない。
会って話をしたかった。
問題解決はまだ出来ていないけれど、やはり説明だけはしておきたかった。
湖都子はきっと僕と両親の間に亀裂以外の何かを感じた。
このまま放置は良くない。
彼女は自分を責めるタイプだ。
自分に非があると思うと尽くし、それでも贖罪出来ないと判断すれば消えてしまうような──そんな儚さがある。
そんな湖都子を繋ぎ止めるには言葉を紡ぐしか方法は思い浮かばない。
愛しいのだと。
傍にいて欲しいと。
君のいない生活はどれだけ虚しいかを説き続けるしかない。
その声は湖都子の気持ちに反比例するように届かない。
湖都子が好意を抱くモノに湖都子は厳しい判定をする。
海都の気持ちなんて──傍で見ていたら分かる。
湖都子を好きだと。
あの気持ちに気付かないのは湖都子が自分が海都を好きな気持ちがそう見せている思い込みだと無意識に蓋をするからだ。
だから湖都子が僕を好きになればなる程に、僕の気持ちは届かなくなる。
湖都子に何度好きだと、愛しいと叫んでも湖都子は自身の評価が低く、それ以上の価値あるものがあると判断すれば無価値な自分は邪魔だとあっさりと引き下がる。
湖都子以上に欲しいものは無いのだと何度言っても理解しない。
彼女には自分が石ころに見えるのだろう。
湖都子を大事だと思う者の気持ちが理解できない。
目の前に宝石と石ころを並べられて石ころを選ぶ者の気持ちが分からない。
宝石なんて同じ石ころでしか無いのだからどちらを選ぼうとそれが嗜好なのに。
かといって湖都子は石ころでは無いと──どんな宝石よりも美しいと説くのは精神的に追い込むだけだ。
身体が弱いのに精力で乗り切ろうとする彼女は正にそれだ。
母親を助けてあげたいのは本当だろう。
けれど僕から見たら湖都子は母親好みのダイヤになりたいパライバトルマリンだ。
まるで母親はパライバトルマリンの湖都子は認めないかのように無意識に思ってる。
どこかで食い違った想いは中々に変えられない。
僕には君以上の大事なものは無いのにそれは届かない。
そしてそれは湖都子が僕を好きになってくれればくれる程に届かなくなる。
不毛な片思いだ。
けれど──それでも僕は湖都子が欲しいのだから……何度でも君が好きだと、愛しいと伝えるよ。
既読が付かない。
21時前だけれど寝ているのだろうか?
……湖都子は自分が思っているよりも身体が弱い。
母親の身体を気遣い気力で動いている湖都子は自分が身体が弱いなんて思ってもいないが実際は体力はあまり無い。
電話をしようかと……少しだけでも会いたかったけれど……眠っているのなら起こしたくはない。
会って話をしたかった。
問題解決はまだ出来ていないけれど、やはり説明だけはしておきたかった。
湖都子はきっと僕と両親の間に亀裂以外の何かを感じた。
このまま放置は良くない。
彼女は自分を責めるタイプだ。
自分に非があると思うと尽くし、それでも贖罪出来ないと判断すれば消えてしまうような──そんな儚さがある。
そんな湖都子を繋ぎ止めるには言葉を紡ぐしか方法は思い浮かばない。
愛しいのだと。
傍にいて欲しいと。
君のいない生活はどれだけ虚しいかを説き続けるしかない。
その声は湖都子の気持ちに反比例するように届かない。
湖都子が好意を抱くモノに湖都子は厳しい判定をする。
海都の気持ちなんて──傍で見ていたら分かる。
湖都子を好きだと。
あの気持ちに気付かないのは湖都子が自分が海都を好きな気持ちがそう見せている思い込みだと無意識に蓋をするからだ。
だから湖都子が僕を好きになればなる程に、僕の気持ちは届かなくなる。
湖都子に何度好きだと、愛しいと叫んでも湖都子は自身の評価が低く、それ以上の価値あるものがあると判断すれば無価値な自分は邪魔だとあっさりと引き下がる。
湖都子以上に欲しいものは無いのだと何度言っても理解しない。
彼女には自分が石ころに見えるのだろう。
湖都子を大事だと思う者の気持ちが理解できない。
目の前に宝石と石ころを並べられて石ころを選ぶ者の気持ちが分からない。
宝石なんて同じ石ころでしか無いのだからどちらを選ぼうとそれが嗜好なのに。
かといって湖都子は石ころでは無いと──どんな宝石よりも美しいと説くのは精神的に追い込むだけだ。
身体が弱いのに精力で乗り切ろうとする彼女は正にそれだ。
母親を助けてあげたいのは本当だろう。
けれど僕から見たら湖都子は母親好みのダイヤになりたいパライバトルマリンだ。
まるで母親はパライバトルマリンの湖都子は認めないかのように無意識に思ってる。
どこかで食い違った想いは中々に変えられない。
僕には君以上の大事なものは無いのにそれは届かない。
そしてそれは湖都子が僕を好きになってくれればくれる程に届かなくなる。
不毛な片思いだ。
けれど──それでも僕は湖都子が欲しいのだから……何度でも君が好きだと、愛しいと伝えるよ。
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