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§ 勝負の行方
06 ※
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「そんなに怒るなよ。俺が悪かった」
「べつに……怒ってないもん」
子ども扱いしたかと思えば、イヤらしいことし放題っていったい——。
いまだって口では悪かったと言うくせに、目はしっかりと笑っている。
私を組み敷いたこの体勢で、説得力に乏しい反省の弁を披露する亮の楽しそうな顔。私ばっかり振り回されているのが悔しくてたまらない。
ちゅ、と、音を立てて、私の唇に吸い付いた唇が離れた。睨みつけると再び、唇が降りてくる。
柔らかな亮の唇が、何度も角度を変えて私の唇を包み込み、舌先がちょろちょろと唇を舐めた。唇のむず痒さに負けて薄くあわいを開くと、早速舌が入り込んでくる。
歯列の裏側を辿った舌先が上顎を撫で、舌の付け根を突く。自由自在に変化する熱い舌が奥へと逃げる私の舌を搦め捕った。
甘い。
舌の表面を触れ合わせているだけなのに、なぜこんなに甘く感じるのだろう。
口腔から背中の中心へと伝わる甘さは、痺れとなって身体全体へと広がっていく。息が詰まりそうだ。
ゆるりと引いていく舌を追いかける。あっ、と、思ったが時既に遅し。亮の唇に捕らえられた舌がきつく吸い上げられた。
「はぅ……っ」
幾度となく舐られ吸われ甘噛みされる。両の頬を抑えられて顔を背けることもできない。苦しくてたまらずに上げた悲鳴は、亮の口の中へ吸い込まれた。
ゆっくりと引いていく舌が名残惜しい。荒い呼吸を整えつつ、そっと瞼を開いて焦点の合わない瞳で目の前の顔を見つめる。
「かわいい顔して……」
私をかわいい——なんて言うのはこの人くらいだ。
鼻の頭にふわりとキスをし、私を見つめている亮の口から溢れたその言葉が嬉しいと思ってしまう。結局私はこうして絆されてしまう、と、自分への呆れは半分。さきほどまでの不機嫌だった私はどこへやらで、思わず笑みを零した。
私に跨がったまま上体を起こした亮が、するすると腰紐を解く。浴衣の合わせまでも開かれ、全身が露わになった。
亮の視線が私の身体へと移る。喉元から胸の中央、臍から下腹部へと滑るその手の動きに合わせて、身体が小刻みに震えた。
帯を解き、浴衣を乱暴に脱ぎ捨てると、亮の適度に鍛えられ筋肉のついた身体が露わになる——視線は無意識に某所の膨らみへ、と——自分だけ履いているなんて、ずるい。
苦情を訴える暇も無く再び覆い被さってきた亮の唇に口腔内を遠慮無く貪られ、息も絶え絶えになりながらその甘さに酔う。ぴったりと触れ合う素肌が、熱い。
唇から頬へ、頬から首筋へと移動した亮の舌先が耳介を捕らえ耳朶に歯を立てた。反対側の耳も指先で弄ばれている。舌の蠢きが立てる水音が頭の中に響き、ぞわぞわと怖いような感覚に身体が逃げそうになる。
「はぅ……ん……」
たまらず、肩を窄めて息を漏らした。
唇から齎される刺激が、少しずつ下へと降りていく。それに呼応するように、亮の手も縦横無礙に身体を弄ぶ。
「どうして欲しい?」
そんなこと訊かないで。答えられるわけがないじゃない。
私の反応を探るように大きな手が胸を包み、撫で、揉む。与えられる柔らかな刺激が、身体の中心に溜まっていく。けれども、微妙にポイントをずらされ、決定的な刺激を与えてくれるわけじゃない。もどかしい。もっと欲しい、もっと強く、と、絶対に口にしない言葉を思い浮かべてしまう自分が恥ずかしい。
わざと先端を避けるように、乳暈を舌で何度もなぞられたかと思ったら、先端を口に含まれ強く吸い上げられた。
「うぅ……」
素直な身体は、強い刺激を逃そうと勝手に背を逸らせたけれど、私は歯を食いしばり、上げそうになった呻き声をぐっと飲み込んだ。
「意地っ張りだな」
亮の舌が脇を舐った。驚き抵抗する私の両腕は、頭上で纏められ押さえつけられた。
「ひぁっ? いや、そんなとこ舐めちゃ……あ、あ」
くすぐったい。苦しい。止めて欲しいと思う自分に逆らうように、身体が甘く痺れてくる。産毛の一本一本が感覚を持っているかの如く、全身が粟立つ。気持ちがいいのか悪いのかわからない苛立ちに悶え、涙までもが滲んできた。
「やだぁ——やめてってばぁ、ぁ、う、……」
脇を舐められながら胸の頂をきつく摘ままれ、耐えきれずに叫ぶと、くすっ、と、小さく笑う声が聞こえた。
「ちゃんと言えるじゃないか」
油断大敵。やっぱりこの人はとっても意地悪なエロ大魔王です!
「べつに……怒ってないもん」
子ども扱いしたかと思えば、イヤらしいことし放題っていったい——。
いまだって口では悪かったと言うくせに、目はしっかりと笑っている。
私を組み敷いたこの体勢で、説得力に乏しい反省の弁を披露する亮の楽しそうな顔。私ばっかり振り回されているのが悔しくてたまらない。
ちゅ、と、音を立てて、私の唇に吸い付いた唇が離れた。睨みつけると再び、唇が降りてくる。
柔らかな亮の唇が、何度も角度を変えて私の唇を包み込み、舌先がちょろちょろと唇を舐めた。唇のむず痒さに負けて薄くあわいを開くと、早速舌が入り込んでくる。
歯列の裏側を辿った舌先が上顎を撫で、舌の付け根を突く。自由自在に変化する熱い舌が奥へと逃げる私の舌を搦め捕った。
甘い。
舌の表面を触れ合わせているだけなのに、なぜこんなに甘く感じるのだろう。
口腔から背中の中心へと伝わる甘さは、痺れとなって身体全体へと広がっていく。息が詰まりそうだ。
ゆるりと引いていく舌を追いかける。あっ、と、思ったが時既に遅し。亮の唇に捕らえられた舌がきつく吸い上げられた。
「はぅ……っ」
幾度となく舐られ吸われ甘噛みされる。両の頬を抑えられて顔を背けることもできない。苦しくてたまらずに上げた悲鳴は、亮の口の中へ吸い込まれた。
ゆっくりと引いていく舌が名残惜しい。荒い呼吸を整えつつ、そっと瞼を開いて焦点の合わない瞳で目の前の顔を見つめる。
「かわいい顔して……」
私をかわいい——なんて言うのはこの人くらいだ。
鼻の頭にふわりとキスをし、私を見つめている亮の口から溢れたその言葉が嬉しいと思ってしまう。結局私はこうして絆されてしまう、と、自分への呆れは半分。さきほどまでの不機嫌だった私はどこへやらで、思わず笑みを零した。
私に跨がったまま上体を起こした亮が、するすると腰紐を解く。浴衣の合わせまでも開かれ、全身が露わになった。
亮の視線が私の身体へと移る。喉元から胸の中央、臍から下腹部へと滑るその手の動きに合わせて、身体が小刻みに震えた。
帯を解き、浴衣を乱暴に脱ぎ捨てると、亮の適度に鍛えられ筋肉のついた身体が露わになる——視線は無意識に某所の膨らみへ、と——自分だけ履いているなんて、ずるい。
苦情を訴える暇も無く再び覆い被さってきた亮の唇に口腔内を遠慮無く貪られ、息も絶え絶えになりながらその甘さに酔う。ぴったりと触れ合う素肌が、熱い。
唇から頬へ、頬から首筋へと移動した亮の舌先が耳介を捕らえ耳朶に歯を立てた。反対側の耳も指先で弄ばれている。舌の蠢きが立てる水音が頭の中に響き、ぞわぞわと怖いような感覚に身体が逃げそうになる。
「はぅ……ん……」
たまらず、肩を窄めて息を漏らした。
唇から齎される刺激が、少しずつ下へと降りていく。それに呼応するように、亮の手も縦横無礙に身体を弄ぶ。
「どうして欲しい?」
そんなこと訊かないで。答えられるわけがないじゃない。
私の反応を探るように大きな手が胸を包み、撫で、揉む。与えられる柔らかな刺激が、身体の中心に溜まっていく。けれども、微妙にポイントをずらされ、決定的な刺激を与えてくれるわけじゃない。もどかしい。もっと欲しい、もっと強く、と、絶対に口にしない言葉を思い浮かべてしまう自分が恥ずかしい。
わざと先端を避けるように、乳暈を舌で何度もなぞられたかと思ったら、先端を口に含まれ強く吸い上げられた。
「うぅ……」
素直な身体は、強い刺激を逃そうと勝手に背を逸らせたけれど、私は歯を食いしばり、上げそうになった呻き声をぐっと飲み込んだ。
「意地っ張りだな」
亮の舌が脇を舐った。驚き抵抗する私の両腕は、頭上で纏められ押さえつけられた。
「ひぁっ? いや、そんなとこ舐めちゃ……あ、あ」
くすぐったい。苦しい。止めて欲しいと思う自分に逆らうように、身体が甘く痺れてくる。産毛の一本一本が感覚を持っているかの如く、全身が粟立つ。気持ちがいいのか悪いのかわからない苛立ちに悶え、涙までもが滲んできた。
「やだぁ——やめてってばぁ、ぁ、う、……」
脇を舐められながら胸の頂をきつく摘ままれ、耐えきれずに叫ぶと、くすっ、と、小さく笑う声が聞こえた。
「ちゃんと言えるじゃないか」
油断大敵。やっぱりこの人はとっても意地悪なエロ大魔王です!
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