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§ 露顕
04
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奥座敷へ上がり込んで、それぞれ勝手に好きな場所を陣取る。私と啓はいつも隣。入り口近く、動きやすい場所で半分腰を浮かしているのは、小夜だ。
我が社では、外出が多いのを理由にスーツ姿の社長を除き、服装は銘々好き勝手。最年長の啓が三十歳、小夜が二十六歳で、他はみんな二十五歳以下と若く、男女もほぼ半々。居酒屋で寛ぎ、がやがや飲み食いしている様子は、学生の集まりと大差は無い。
席に着いた途端、啓が胡座を組み、鬱陶しそうにネクタイに手をかける。その様子を目で追いながら私は、スキンヘッドのあの店で、ネクタイを緩めていた松本亮を思い出していた。
スタイルのよい長身の亮には、チャコールグレーの細身のスーツがよく似合う。大きな切れ長の目、真っ直ぐ整った眉、通った鼻筋、薄い唇。顎のラインは少しシャープで、バランスの取れたきれいな顔立ち。髪は、サイドを短く刈り込んだツーブロックで、トップは長め。オンタイムには、前髪を後ろへ撫で付け、少し硬い雰囲気にセットしている。
ネクタイを緩める、少し骨張った大きな手。細くて長い、あの指——。
「おい、ちゃんと食ってるか?」
「うん?」
後輩たちと話し込んでいると思ったら、私の箸の進み具合も気にしていたらしい。
「なんだよ。全然食ってないじゃないか?」
「大丈夫。ちゃんと食べているよ」
「ちゃんとって。それっぽっちでか?」
「もともと小食だもの」
「瑞稀センパイの飯は、こっちっすよね」
褒められるのを前提に、私好みに濃く作った焼酎のお湯割りを差し出す後輩男子は、いい笑顔だ。
「偉い偉い。仕事もこんなふうにできたら、もっと偉い」
「ワハハ! ひでぇ」
釣られて笑う啓はそれでも心配そうに、私の顔を覗き込み、囁く。
「疲れてるんだろう? 食うだけ食ったら帰って休めよ。送っていくから」
「うん。ありがとう」
自分が思っている以上に疲れた顔をしているのだと思う。手離れしていない仕事がある上に新たな仕事を振った負い目もあるのだろう。けれども、啓だってめちゃくちゃ忙しいのに、過剰に気遣いさせてしまう自分の体力のなさがもどかしい。
啓は身を乗り出して、テーブルの中央に置かれた大皿から、私の好物を取り皿へ移している。あれもこれもと取り分けてくれた料理を、一口ずつ口へ運びながら、同僚の話に耳を傾け、口を挟み、大きな声で笑う。
小夜はといえば、食べたり飲んだりしながら、その合間には、空いた皿やグラスを片付け、酒や料理の追加注文をし、と、忙しなく動き回っている。
いつものメンバー。いつもの光景。この輪の中にいるのは、楽しくて。
「瑞稀、そろそろ」
啓が私の肩に手を置き、壁により掛かっていた体を起こした。
「ええ? 啓司さん、もう帰っちゃうんですか?」
「宴はまだまだこれからなのに?」
「来たばっかりじゃないですか」
「そんなぁ じゃあ誰がここの勘定だれが……いってぇ!」
ごんっ、と、かなりいい音がした。
「最後まで付き合えなくて悪いな。明日は朝早いんだよ。瑞稀も疲れてるみたいだから、送っていくわ」
「瑞稀センパイも帰っちゃうんですか?」
「久しぶりなんだからもう少しいいじゃないですかぁー」
「久しぶりだからこそ、ふたりっきりになりたいんじゃないの?」
「はははっ! それもそーだ」
「社長! いろんな意味で、ごちそうさまです」
「社長! ごちそうさまです」
全員が声を揃える。
「なーにがいろんな意味で、だ? おまえらの目当ては俺の財布だけだろうが」
いやいやそんな、と否定するみんなの口元だけが、引き攣ったようにヒクヒクと笑っている。
「待って! 瑞稀が帰るんだったら、私も一緒に帰る」
小夜がバッグを持ち立ち上がった。小夜の帰る先は決まっている。私たちはみんなに別れを告げ、店を後にした。
季節が移ろうのは早いものだ。ついこの間まで毎日がうだるような暑さで、エアコンの涼風を頼りに暮らしていたのに、気がつけば夜風がひんやりと感じられる季節になってしまった。街灯に照らし出された街路樹の葉も、もう夏の濃緑とはほど遠く黄みを帯びている。紅葉し枯れ散る季節ももう間近だ。
小夜は私と腕を組み、そのすぐ後ろを、啓がゆっくりとした足取りで歩いている。早口で喋る小夜の話に相槌を打ちながら、ふと、ショルダーバッグの中の携帯電話が震えているのに気づいた。
「小夜、ちょっとごめん。電話みたい」
携帯電話を取り出した。待ち受け画面には、不在着信が数件、彼からだ。折り返し電話をするにも、小夜と啓の前ではきまりが悪いが、だからといって放置すれば、後が面倒になる。ちょっと電話をするからと断りを入れ、少し離れた場所へ移動した。
「もしもし」
数回の呼び出し音の後、亮の声が聞こえた。
「すみません。お電話いただいたのに気がつかなくて」
「……うん」
「あのですね、今、ちょっとお話しできる状況にないので、後ほど折り返してもよろしいでしょうか」
「……わかった」
容赦無く切られてしまった。
低く、冷淡な声で、たったふたこと。あれは絶対に怒っている反応だ。
これは、謝罪してご機嫌を取らなければ、面倒くさくなりそう。けれども、この週末は先約——小夜と過ごす——が入っている。会えないと言ったら、さらに機嫌を損ねるに決まっているわけで。
ああ嫌だ。考えただけで気が滅入る。男女の付き合いは、まったくもって、面倒くさい。
「電話、誰から?」
声をかけられ振り向くと、小夜が真後ろにいた。忍び足は小夜の得意技。いつも驚かされる。
「あ。お客さんから仕事の電話。べつに急ぎじゃないみたいだから大丈夫」
ごまかし笑いをし、小夜の腕に腕を回した。
夜遅い時間でも小夜が一緒なら大丈夫だろうと、いつもは一人でさっさと帰ってしまう啓が、なにを思ったか今日は送ると言いだした。
表通りに出て、タクシーを拾う。体の小さな小夜は、後部座席の真ん中が定位置。私に腕を絡めたまま、ご機嫌でひとりお喋りに興じている。小夜の向こう側に座る啓は、終始無言で、窓の外に流れる景色を眺めている。
マンションの玄関前でタクシーを止め、私たちは降りた。一応引き留めてはみた。だが、もう遅いから、と、啓はタクシーから降りもせずにあっさりと帰ってしまった。
もしかしたら、私になにか話があったのではないだろうか。走り去るタクシーのテールランプを見送りながら、そんな気がしてならなかった。
我が社では、外出が多いのを理由にスーツ姿の社長を除き、服装は銘々好き勝手。最年長の啓が三十歳、小夜が二十六歳で、他はみんな二十五歳以下と若く、男女もほぼ半々。居酒屋で寛ぎ、がやがや飲み食いしている様子は、学生の集まりと大差は無い。
席に着いた途端、啓が胡座を組み、鬱陶しそうにネクタイに手をかける。その様子を目で追いながら私は、スキンヘッドのあの店で、ネクタイを緩めていた松本亮を思い出していた。
スタイルのよい長身の亮には、チャコールグレーの細身のスーツがよく似合う。大きな切れ長の目、真っ直ぐ整った眉、通った鼻筋、薄い唇。顎のラインは少しシャープで、バランスの取れたきれいな顔立ち。髪は、サイドを短く刈り込んだツーブロックで、トップは長め。オンタイムには、前髪を後ろへ撫で付け、少し硬い雰囲気にセットしている。
ネクタイを緩める、少し骨張った大きな手。細くて長い、あの指——。
「おい、ちゃんと食ってるか?」
「うん?」
後輩たちと話し込んでいると思ったら、私の箸の進み具合も気にしていたらしい。
「なんだよ。全然食ってないじゃないか?」
「大丈夫。ちゃんと食べているよ」
「ちゃんとって。それっぽっちでか?」
「もともと小食だもの」
「瑞稀センパイの飯は、こっちっすよね」
褒められるのを前提に、私好みに濃く作った焼酎のお湯割りを差し出す後輩男子は、いい笑顔だ。
「偉い偉い。仕事もこんなふうにできたら、もっと偉い」
「ワハハ! ひでぇ」
釣られて笑う啓はそれでも心配そうに、私の顔を覗き込み、囁く。
「疲れてるんだろう? 食うだけ食ったら帰って休めよ。送っていくから」
「うん。ありがとう」
自分が思っている以上に疲れた顔をしているのだと思う。手離れしていない仕事がある上に新たな仕事を振った負い目もあるのだろう。けれども、啓だってめちゃくちゃ忙しいのに、過剰に気遣いさせてしまう自分の体力のなさがもどかしい。
啓は身を乗り出して、テーブルの中央に置かれた大皿から、私の好物を取り皿へ移している。あれもこれもと取り分けてくれた料理を、一口ずつ口へ運びながら、同僚の話に耳を傾け、口を挟み、大きな声で笑う。
小夜はといえば、食べたり飲んだりしながら、その合間には、空いた皿やグラスを片付け、酒や料理の追加注文をし、と、忙しなく動き回っている。
いつものメンバー。いつもの光景。この輪の中にいるのは、楽しくて。
「瑞稀、そろそろ」
啓が私の肩に手を置き、壁により掛かっていた体を起こした。
「ええ? 啓司さん、もう帰っちゃうんですか?」
「宴はまだまだこれからなのに?」
「来たばっかりじゃないですか」
「そんなぁ じゃあ誰がここの勘定だれが……いってぇ!」
ごんっ、と、かなりいい音がした。
「最後まで付き合えなくて悪いな。明日は朝早いんだよ。瑞稀も疲れてるみたいだから、送っていくわ」
「瑞稀センパイも帰っちゃうんですか?」
「久しぶりなんだからもう少しいいじゃないですかぁー」
「久しぶりだからこそ、ふたりっきりになりたいんじゃないの?」
「はははっ! それもそーだ」
「社長! いろんな意味で、ごちそうさまです」
「社長! ごちそうさまです」
全員が声を揃える。
「なーにがいろんな意味で、だ? おまえらの目当ては俺の財布だけだろうが」
いやいやそんな、と否定するみんなの口元だけが、引き攣ったようにヒクヒクと笑っている。
「待って! 瑞稀が帰るんだったら、私も一緒に帰る」
小夜がバッグを持ち立ち上がった。小夜の帰る先は決まっている。私たちはみんなに別れを告げ、店を後にした。
季節が移ろうのは早いものだ。ついこの間まで毎日がうだるような暑さで、エアコンの涼風を頼りに暮らしていたのに、気がつけば夜風がひんやりと感じられる季節になってしまった。街灯に照らし出された街路樹の葉も、もう夏の濃緑とはほど遠く黄みを帯びている。紅葉し枯れ散る季節ももう間近だ。
小夜は私と腕を組み、そのすぐ後ろを、啓がゆっくりとした足取りで歩いている。早口で喋る小夜の話に相槌を打ちながら、ふと、ショルダーバッグの中の携帯電話が震えているのに気づいた。
「小夜、ちょっとごめん。電話みたい」
携帯電話を取り出した。待ち受け画面には、不在着信が数件、彼からだ。折り返し電話をするにも、小夜と啓の前ではきまりが悪いが、だからといって放置すれば、後が面倒になる。ちょっと電話をするからと断りを入れ、少し離れた場所へ移動した。
「もしもし」
数回の呼び出し音の後、亮の声が聞こえた。
「すみません。お電話いただいたのに気がつかなくて」
「……うん」
「あのですね、今、ちょっとお話しできる状況にないので、後ほど折り返してもよろしいでしょうか」
「……わかった」
容赦無く切られてしまった。
低く、冷淡な声で、たったふたこと。あれは絶対に怒っている反応だ。
これは、謝罪してご機嫌を取らなければ、面倒くさくなりそう。けれども、この週末は先約——小夜と過ごす——が入っている。会えないと言ったら、さらに機嫌を損ねるに決まっているわけで。
ああ嫌だ。考えただけで気が滅入る。男女の付き合いは、まったくもって、面倒くさい。
「電話、誰から?」
声をかけられ振り向くと、小夜が真後ろにいた。忍び足は小夜の得意技。いつも驚かされる。
「あ。お客さんから仕事の電話。べつに急ぎじゃないみたいだから大丈夫」
ごまかし笑いをし、小夜の腕に腕を回した。
夜遅い時間でも小夜が一緒なら大丈夫だろうと、いつもは一人でさっさと帰ってしまう啓が、なにを思ったか今日は送ると言いだした。
表通りに出て、タクシーを拾う。体の小さな小夜は、後部座席の真ん中が定位置。私に腕を絡めたまま、ご機嫌でひとりお喋りに興じている。小夜の向こう側に座る啓は、終始無言で、窓の外に流れる景色を眺めている。
マンションの玄関前でタクシーを止め、私たちは降りた。一応引き留めてはみた。だが、もう遅いから、と、啓はタクシーから降りもせずにあっさりと帰ってしまった。
もしかしたら、私になにか話があったのではないだろうか。走り去るタクシーのテールランプを見送りながら、そんな気がしてならなかった。
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