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初めまして
2:YOri
しおりを挟む「週末限定配信、YOriの部屋がスタートしました!
おぉ、早くも四万人位来てる、嬉しいなぁ。ニコニコしちゃう。
結構みんなからの連絡で知ってる人も多いけど、今日で私YOriは活動から六年になるのかな?
いつも応援してもらってるお陰だね!!、でね、今日実は……配信の前に大好きなNARIさんにお手紙をね貰っちゃったの!!
配信で読んでも良いって許可を貰ったから、読んじゃう、ふふっ。
…………っ!?、あ……あははっ、ヤバいね。恥ずかしくなってきた…。
読める範囲で読むね!…えぇっと、『ヨリさんへ…』」
YOri。
本名、閣戸 世里。
現在、配信で稼ぎながらも大学生として勉強に勤しむ学生。
そして、れっきとした男性である。
NARIが配信を開始した時からのファンであり、ストーカーでもある。
ただ、ストーカーをするためにもお金が必要であり、NARIに存在を認知されたい欲求が強すぎたために自分も同じ世界に入ることを決意した。
ただ、学生生活では目立つことを好まなかったこと、そしてナリの恋愛対象が女であるという固定観念に囚われ女装、ナリの配信で語った好みの服、髪、メイクをして学校がない週末のみで始めたのだ。
ナリが配信を始めてすぐから七年半、その姿を追い、法に触れることもしてきた。
それでもやめることが出来なかった。
配信の画面上に現れるコメントの数々、下から上へとタイムリーに登っていくコメントたち。
そんな流れを狂わせるものが不意に投げ込まれた。
『活動六年おめでとうございます、今度コラボしませんか?、出来ればコラボ前にご挨拶出来れば幸いです』
アカウントは、@NARI.OFFICIAL.COP。
間違いなくナリの公式のアカウント。
ファンの多くが、は?、まじ?、念願では?と騒ぎこの瞬間をスクショしSNSで拡散されトレンドを取ることになる。
勿論、パニックなのはファンだけではなくヨリ本人もであった。
手紙に書かれた内容と、突然として投げ込まれたコメント。
意図と真意が掴めない行動にどうしようもない不安が襲いかかる。
けれどそれを遥かに凌駕するのはナリへの愛情と崇拝の心。
「ナリさんから直々に御連絡貰えるなんて……命日になりそう。
『お返事してあげて』?…そ、そうだね!
勿論、コラボの件謹んでお受け致します!、また挨拶の件も是非にお願いしたいです。
好みだって言っていた、チョコレートケーキ、買ってお逢いしに行きます!
詳細の方後程御連絡させて頂きます!宜しくお願いします!」
頭を下げて前に向き直っても、目の前にあるカメラ、目下に置かれたパソコンという場では気持ちをさらけ出そうにも難しい。
嬉しさと、不安とがぐちゃぐちゃになっているというのに、手紙の文面がまるで全てを見透かしているようで。
「…念願のナリさんとのコラボも叶うし、皆に重大なお知らせも出来たから今日は本当に満足だよ!
来週は都合上難しくて、再来週になっちゃうんだけど、皆とまた逢えるこの時間を楽しみにしているね。
じゃあ、最後のご挨拶!今日も本当に楽しかったよ!またいつでも私の部屋に遊びに来てね!
それじゃあ、またね」
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