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初めまして
1:NARI
しおりを挟む「…ねぇ?俺の事好きなんだよね?愛してるんだよね?だからストーカーして、俺のゴミ漁って、手紙毎日送りつけて、電話までしてきて、寝室俺の写真でいっぱいなんだよね?
じゃあさ、そんな愛してる俺にストーカーされて、ゴミ漁られて、手紙毎日送りつけられて、電話されて、部屋の中に侵入されて、洗濯物の籠から出した君の下着でオナニーされて、冷蔵庫の中身のジュースに俺の唾液混ぜられてたとしても嬉しいよね?、ね?」
嗚呼、なんて良い日なんだろう。
愛しくて愛しくて、ずっと見てきた『君』が俺の組敷く下で涙と唾液で顔をぐちゃぐちゃにしながら笑っている。
このまま、君を殺したいほどに愛している。
…
「…っはい!おはこんばんにちは!NARIホームにようこそ、家主のナリくんです。
今日も一時間の枠の中で沢山の人と楽しんでいけたら嬉しいです!
おぉっ?さっそくめちゃくちゃコメント来てる………え?『YOriさんとコラボしないの?』って…?
何回も言うけどね?ヨリ様はダメ。俺が耐えられない。
あんな素敵な人と回線繋がるだけでも嬉しすぎて泣けんのに、声が隣からしちゃったら…きゃぁーってなっちゃうよ」
チャンネル登録者百万を優に越える人気配信者NARI。
本名、江前 凪里。
高校卒業と同時に始めた配信で、持ち前のルックスと子供のような無邪気な性格とのギャップも相まって瞬く間に人気配信者となった。
普段は過去に撮った編集された動画を上げるが、月に一度か二度ある生配信でのファンとの触れ合いも立ち上げてから変わることなく継続していることから根強いファンが多い。
ただ、一線を引いたようにファンは過激派にならない。
なったとしても玉砕の上、新たな扉を開いてファンとして返り咲く。
その理由として、ファンが質問していた『YOri』という人物が関わってくるのだが。
ヨリは性別不明ではあるものの、可愛らしいルックスとそれに見合うだけの神対応で開設されてから五年と少しで五十万人を突破した配信者。
普段はフリルが似合うメイド服の女性なのだが、ほんの少しの違和感があるのだ。
明確に言えない違和感が拭えないからこそ、巷では女装男子の可能性も言われている。
中性的でどちらだったとしてもおかしくないと言われているヨリを、ナリは盲目的に崇拝しているのだ。
ヨリ自身も、公にナリのファンであることを明言している為、ファンの間では『ナリヨリ夫婦』というワードが生まれ応援されている。
ただ、この関係に壁があるとすれば二人は顔も知らない同士の両片想いであるということ。
そして、その片想いが真っ直ぐなものではなくて相当歪んだ形として成り立っていること、だろう。
一時間の配信が終了し、送られてきた投げ銭の合計値を確認、投げた人間の垢を確認しナリは嬉しそうに顔を歪める。
『世里@ナリ推し』と書かれたアカウント。
嗚呼、なんて可愛いのだろう。
今日の一時間だけで十万近く投げてる。
早く逢いたいなぁ、なんてナリは想いながらその名前を呼ぶ。
「……世里…」
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