実らなかった啜を

安馬川 隠

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絶胎の格子

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 巡が眠っている。
目の前に鎌田が望んでいた愛しい人が寝ている。

 我慢など、最初からする気はなかった。

 鎌田は心から笑顔だった。
巡の優しさを知っているから付け込んだ。
渡したマグカップに何も入れてない、なんて言ってないのに。
 疑いはあったのだろう、だからこそ先に鎌田が飲んだ。
たったそれだけなのに、呆気なく信用し口をつけて飲んだのだ。

 優しいがゆえに頭が回らない可愛い人。

 眠った巡の少しだけ開いて呼吸をしている唇にそっと指を這わせる。
 柔らかいのに少しだけ荒れている唇。
後でケアしてあげないと、そう思いながら鎌田はその唇に自身の唇を合わせる。

 啄むようなキス、ちゅっという軽い音が何度も部屋に響く。
夢中になってキスをすれば、少しだけ違和感を感じた口がへの字に曲がって更に唇に隙間が生まれる。
 その隙間を埋めるように鎌田は舌を入れ、巡の唇と歯並びに合わせるように舐め動かした。


 …んぅ、ふぅ…


 巡が反応すればするほど、鎌田は止められなくなった。
舌で少し強引に口内に侵入すれば必死になって巡の唾液を舐め取った。
巡の舌に自身の舌を合わせれば、これまた違和感で口が開く。
その動きに合わせるように鎌田は自分の唾液を巡に流しては、知らず知らず飲み込む巡に欲情を深める。

 スーツの上から身体を優しく触れば、小さく悶える箇所を見つける。
首筋、胸、脇腹、太股…。
巡のソレが甘く興奮していることを形で視認すれば、丁寧に服を脱がせる。

 スーツのジャケットとズボンは皺にならないように。
ワイシャツは乱雑でも後で洗えば問題はない。

 下着姿の巡はひどく妖艶で健康的ではあれど室内仕事だからこその白さに黒いボクサーパンツがよく映える。
靴下、下着も丁寧に脱がせれば、巡は一糸纏わぬ姿になる。


 「…巡さん、綺麗。本当に…ずっと夢見てた身体…。
想像なんかより何倍も……美味しそう…」


 首筋に舌を這わせ、汗を舐めとるようにキスを落とせば、身悶えながら漏れるように巡の喘ぎ声がする。
なんて扇情的な情景だろう、と鎌田は最後の理性を捨てた。

 巡の味を脳に焼き付けるように徹底的に舐める。
胸の突起を舌で転がせば、それまで以上に反応を示し、んんっ!と声を上げて腰を引く。
そうすると胸を突き出す形になるなんて、寝てる巡にはわかりはしない。
 指の腹で触れてみても、同じように反応は強い。
性感帯が胸にあることを知れた喜びと、睡姦している罪悪感で鎌田は限界に近かった。


 「…巡さんに孕んで欲しいけど、起きてる時じゃなきゃ意味ないよね…??
 今日は巡さんの精液の味も知りたいなぁ…」


 巡のソレを口に含み、じゅぽじゅぽと厭らしい音を立て吸いながら自身のもしごく。
まだ完全には手を出さない、そう決めつつも貪欲に行為に没頭した。


 んっ、んんぁ!!んっ……


 脈打ち、身体が震えながら射精した巡の精子が、口いっぱいになった幸福感で鎌田も射精した。

 早く、巡さんと家族になりたいな、なんて考えながら鎌田は巡の精子を飲み干した。


 「…巡さんと家族になるためには、このちんこ要らないんだよなぁ…、巡さんにはメスになってもらわないとなのに…。
まぁいっか、ゆっくり必要ごと失くしていけば良いんだもんな。
 早く堕ちてきて、もう自由はこの部屋だけだから…」
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