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甘くて、ほろ苦い
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しおりを挟むこれは、二人が話し合う少し前の話。
初めて非彩として誤爆した直後。
御廉はその事実を友人である安曇と鳴戸から聞くまで気づくこと無く、学校中が突如として騒ぎ始めたとばかりに感じていた。他人事だった。
「…誰かさんが誤爆したみたいでな?騒ぎになっとるみたいなんよ、なぁ?奥さん」
「そうですなぁ、当人さんは全く気づいてないんですよぉ」
安曇 南雲。関西生まれ関西育ち、高校入学直前に母方の事情で越してきた。
御廉とは、同クラスであり持ち前のコミュニケーション能力の高さを生かし仲良くなった、と安曇は思っている。
鳴戸 蒼平。五人兄弟の長男、高校はバイト可かつ、自転車で通える範囲内と決め入学した。
御廉とは、同クラスであり初日の御廉が告白をされている場面にタイミング悪く遭遇し、涙を流す女子を見て「女を誑かすホストか!」と怒鳴り付けた事で御廉に気に入られ仲良くなった。
この二人だけは御廉に唯一対等に喋り、同級生らしい振る舞いを見せる。
他の人は、惚けていたり何処か敵対心あってか仲良くなれない。
そして、この二人だけは御廉の小さな副業を知っているのだ。どうしてそれを始めることになったのか、も全て知った上で。
そんな御廉の小さな、けれども大きすぎる騒動の最中、皇祈から届いたメッセージ。
それはそれまで、知ることがなかった皇祈のプライベートな一面。
『皇祈は非彩に興味があるのかもしれない』
たった数分、誤爆したことを安曇、鳴戸から知り確認した直後には削除し、スクショなどの記録に残るものは削除するように言った。
そんな中に皇祈がいたのだとしたら、これほどまでに喜ばしいことはない。
もしかしたら、御廉が歌詞に乗せた皇祈への告白文に気付いているのかもしれない。
「…なんや、気付かれたゆうから落ち込んでる思うたんに。そない喜んで気持ち悪いわ」
「御廉は本当に、女子からの圧倒的な人気にも絶対零度の表情しか見せないのに、弟くんになると百面相だねぇ」
知らないのだ、御廉にとって皇祈がどれほど愛しい存在なのか。
何度この世界がオメガバースとかいう腐女子が言っていた理想郷であればと願ったことか。
チャンスは今しか無いのならば、取る他ない。
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