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2.再開期
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しおりを挟む学院、昼休み。
教室に留まらず多くの学生が校内の広場から屋上に広がって各々がそれぞれの楽しみ方で昼の休憩を取る。
貴族の嗜みもあってか大勢で動き楽しむが主流ではある。ティータイムや倶楽部なんていうのもあって派閥ごとで人数も何もかもが違う。
学院という学びの場というのは名前だけでほとんどが貴族社会の構図を凝縮した一つの国家だと誰かが言ってさえいた。
音楽室には清らかなピアノのメロディーが流れ、その周りでは清くない男女の悪い行い。
ラウリーを貶し嘘つきと言い切ったミルワームもその場にいた。
回帰前にウィリエールについていた愛人三人も同様に。まるでメイアの代わりがミルワームだと言わんばかりにただ一人の入れ替えだけでそれ以外は回帰前と変わらない。
音楽室の入り口で棒立ちしている白銀の髪の生徒にウィリエールは手招きした。
その生徒はラウリーとは真逆の白銀の髪を持ち、黒く光すら飲み込む様な黒い瞳。リップで真っ赤に染まる唇。何もかもが真逆である彼女を手招きしたウィリエールは『聖女』と呼んだ。
「…また、治癒の力を使い生徒を救ったと聞いた。聖女はこうでなければならないな、民のために尽力し俺のためにも尽くしてくれねば……」
「……ふふッ、ウィリエール殿下は言葉がお上手ですこと。そういえば殿下はラッキーカードと呼ばれる紙はご存じ?」
学院の制服には学年がわかるようにワンポイントの印の色が学年ごとに違う。今年は一年が青、二年が黄、三年が赤、四年が白。
ウィリエールやミルワーム達は青い刺繍が施されたマークを持ち、ウィリエールが聖女と呼ぶその人には黄色の刺繍が施されていた。
ラウリーとシェルヒナはいつも学院の庭にある二つの広場の内噴水がない通称裏広場と呼ばれる場所で昼御飯を食べる。
学食が食べられるよう校内に食堂自体は設備として用意されているが、そこで食べられるAとBのランチ以外にも外で食べられるサンドイッチなども用意されている。
バスケットに入ったサンドイッチを二人で分けて食べながらシェルヒナの一方通行な会話が広げられる。
ラウリーも相槌は出来ても言い返したりは出来ない為にシェルヒナの語りかたは会話ではなく読み聞かせに近い。
「…本を読みました。王公帝についてという本です。王国、公国、帝国。この大陸に存在する三つの大きな国について書かれていて、隣の大陸はこちら側の大陸ほどの陸地は無く帝国が一つあるだけであとは小さな集落や民族がいるだけと……
私は、国が多くを争いに繋げると考えています。権力があればあるほどに力を振りかざしたくなるものですから……。だから大人になったら……隣の大陸に移住したいです」
……そうすれば貴女を救えるはずだから。空に消えた言葉を飲み込むように美味しいサンドイッチを口に頬張る。
シェルヒナにはこれからのことがなんとなく嫌な予感としてはわかっていたのかもしれない。
食事もある程度済んだ頃、ラウリーとシェルヒナはミルワーム含む生徒達に囲まれ、ミルワームの「嘘つきの断罪の許可頂いた」という言葉に多くの生徒が悪騒ぎしだした。
あまりに突然のことで、心の準備も何もなかった二人はひどく驚いた様子を見せたがラウリーはまずなによりもシェルヒナの安全を優先し指で『逃げなさい』と合図を送った。
その合図をシェルヒナは一度断ったが、ラウリーはもう一度同じ合図を送り悔しそうにその場を離れるシェルヒナを周りは「嘘つきの味方が消えた」と喜び嗤った。
ラウリーはシェルヒナの姿が完全に消えるまで一切動かず姿を目で追い、視界から外れた後ゆっくりと立ち上がりミルワームの前に立ち彼女らの言う『断罪』を受け入れることを決心した。
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