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58 討伐報酬
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目的のイチゴ狩りを完了させて、いったん町に戻った俺達。
ついでに冒険者ギルドにも寄っておく。
ザワ ザワザワ ザワリ
中に入ると、ギルドにいた他の冒険者たちがチラチラとこちらに目を向けてきた。好奇の目、ヒソヒソ声。
この町でも闇属性がどうのと言われるかと思いきや、今回はまた違うところに目が向けられているようだ。
「あの頭の上のやつ、ありゃ精霊か?」「あの小僧が……」「専属契約でもしてるのか?」
どうもトカマル君のほうが目立っているらしい。
いや、もちろん俺を見て訝しげにしている人もいるが、俺は今、頭から被るタイプの外套も来ている。それほど露骨な反応は示されていない
「トカマル君て珍しいのかな?」
「どうでしょうか?」
「ええと、そもそもこれほどはっきり具現化した精霊を連れ歩く一般冒険者が珍しいですよ」
ロアさんが教えてくれた。
普通、精霊というのは戦闘のときにだけ召喚して一緒に戦うとか、一時的に魔法の行使を手助けしてもらうとか、そんな感じの付き合い方をするものらしい。
それも俺のような貧しい身なりの初級冒険者ではなくて、もっと上位の冒険者や王侯貴族が扱う存在だという。
ただしごく稀には、村に代々伝わる守護精霊を連れた田舎の子供なんてパターンもあるらしい。
結局、この場にいた冒険者達は俺たちの事を、そんな感じのおのぼりさんだと思ったようだ。
さて、とりあえず受付カウンターに行って、適当な討伐依頼や、採集依頼を受ける手続きをしておいた。
担当してくれたのはタフそうなお姉さんである。
受注手続きを終えてから、俺はカウンターの上に砂岩の大きな塊をドスンと置いた。
「これの買取はしてもらえますか?」
それほど特別な素材ではなさそうだが、魔力を通す頑丈な石ではある。建築資材なんかには使えると思うのだが売値の相場はどんなものだろうか。
「んーーー、まあ、買取は出来るね。ワイルドキラーストロベリーの砂岩。1体分で11万だが、これはあんたらが倒した魔物ってことかい?」
「ええ、そうです。それでは3つほどお願いします」
少しだけ現金化しておく。残り3体分は手元に残しておく。特に使う用途があるわけではないけれど、インベントリにしまっておけば邪魔にはならないし。
受付カウンターは狭いので、奥の買取スペースへと進む。
はい、ドンッ ドンッ と。
インベントリに収納しておいた合計3つの岩を、大きな作業台の上に転がした。
「なあアンタ、エフィルアって言ったね」
「ええ、そうです」
「年齢は15くらいに見える、成人したばかりってところさ。職業は新人冒険者。そうだね?」
「ええ、そのとおりです」
「そうかい。それが、なんで、この町を包囲して居座っていたやっかいな手配モンスターを3体も倒してきちまうんだい? まるっきりおかしいだろうよ」
窓口のお姉さんが一際大きな声で話したせいで、またもや冒険者たちの視線がこちらに集まる。
「いいかい? あれはねウチの町のとっちゃ宿敵といってもいいような厄介なモンスターさ。この近くに発生するたびに、町の冒険者が協力して破壊しに行くようになってる。しかも今は9体もまとめて出現してるから、互いに作用しあって例年よりも強力にもなっていた」
ほほう。なるほど。そんな特性を持ったモンスターだったのか。珍しい。
どうりで等間隔で並んでいたわけだ。陣形でも組んでいたのだろうか。
「奴らは町の竜脈に根ざして日に日に成長していくし、いつもより数も多い。どうやって対処したもんかと悩んでいたところさ。完全成長してしまったらどうなったか分かったもんじゃあない。そしてもちろん、あんたのその貧弱な刀じゃあ、アレにはダメージの1つだって与えられやしないはずだね」
ふうむ、そんなに強い魔物だったのか。
どうも最近は一般モンスターの強さの違いが判別しにくくなってきている。ある程度以上の魔物じゃないと良く分からないのだ。トカマル君も日に日にレベルが上がっていくし。
「まあうちは精霊さんが強いですから。俺なんてもう見てるだけみたいなものですよ」
俺は頭の上のトカマル君を指差した。
実際のところ、今日戦っていたのはほとんど彼なのだ。
「精霊、精霊ね。そうかい分かった。まあとにかく、あんたは奴らの勢力を減らしてくれたんだ。3体分もね。残り5体居るとはいえ、楽になった事は確実だ。まずはその事に礼を言わなきゃあならないね。いや助かったよ、ありがとう。このとおりだ」
彼女はそう言って深々と頭を下げた。大げさな人である。
それと、ひとつ、少し行き違いがあったようなので伝えておかねば。ワイルドキラーストロベリーは9体とも既に倒したのだ。
こういうことはちゃんと伝えておかないと、もしギルドが無駄に討伐準備でも始めてしまっても良くないからな。
「…… …… ああ~、そうかい。分かったよ。それじゃあ向こうに周って討伐の特別報酬を受け取ってくれ」
特別指定モンスターの討伐報酬。130万ロゼ
ワイルドキラーストロベリーの砂岩×3の売却。33万ロゼ
ついでに冒険者ギルドにも寄っておく。
ザワ ザワザワ ザワリ
中に入ると、ギルドにいた他の冒険者たちがチラチラとこちらに目を向けてきた。好奇の目、ヒソヒソ声。
この町でも闇属性がどうのと言われるかと思いきや、今回はまた違うところに目が向けられているようだ。
「あの頭の上のやつ、ありゃ精霊か?」「あの小僧が……」「専属契約でもしてるのか?」
どうもトカマル君のほうが目立っているらしい。
いや、もちろん俺を見て訝しげにしている人もいるが、俺は今、頭から被るタイプの外套も来ている。それほど露骨な反応は示されていない
「トカマル君て珍しいのかな?」
「どうでしょうか?」
「ええと、そもそもこれほどはっきり具現化した精霊を連れ歩く一般冒険者が珍しいですよ」
ロアさんが教えてくれた。
普通、精霊というのは戦闘のときにだけ召喚して一緒に戦うとか、一時的に魔法の行使を手助けしてもらうとか、そんな感じの付き合い方をするものらしい。
それも俺のような貧しい身なりの初級冒険者ではなくて、もっと上位の冒険者や王侯貴族が扱う存在だという。
ただしごく稀には、村に代々伝わる守護精霊を連れた田舎の子供なんてパターンもあるらしい。
結局、この場にいた冒険者達は俺たちの事を、そんな感じのおのぼりさんだと思ったようだ。
さて、とりあえず受付カウンターに行って、適当な討伐依頼や、採集依頼を受ける手続きをしておいた。
担当してくれたのはタフそうなお姉さんである。
受注手続きを終えてから、俺はカウンターの上に砂岩の大きな塊をドスンと置いた。
「これの買取はしてもらえますか?」
それほど特別な素材ではなさそうだが、魔力を通す頑丈な石ではある。建築資材なんかには使えると思うのだが売値の相場はどんなものだろうか。
「んーーー、まあ、買取は出来るね。ワイルドキラーストロベリーの砂岩。1体分で11万だが、これはあんたらが倒した魔物ってことかい?」
「ええ、そうです。それでは3つほどお願いします」
少しだけ現金化しておく。残り3体分は手元に残しておく。特に使う用途があるわけではないけれど、インベントリにしまっておけば邪魔にはならないし。
受付カウンターは狭いので、奥の買取スペースへと進む。
はい、ドンッ ドンッ と。
インベントリに収納しておいた合計3つの岩を、大きな作業台の上に転がした。
「なあアンタ、エフィルアって言ったね」
「ええ、そうです」
「年齢は15くらいに見える、成人したばかりってところさ。職業は新人冒険者。そうだね?」
「ええ、そのとおりです」
「そうかい。それが、なんで、この町を包囲して居座っていたやっかいな手配モンスターを3体も倒してきちまうんだい? まるっきりおかしいだろうよ」
窓口のお姉さんが一際大きな声で話したせいで、またもや冒険者たちの視線がこちらに集まる。
「いいかい? あれはねウチの町のとっちゃ宿敵といってもいいような厄介なモンスターさ。この近くに発生するたびに、町の冒険者が協力して破壊しに行くようになってる。しかも今は9体もまとめて出現してるから、互いに作用しあって例年よりも強力にもなっていた」
ほほう。なるほど。そんな特性を持ったモンスターだったのか。珍しい。
どうりで等間隔で並んでいたわけだ。陣形でも組んでいたのだろうか。
「奴らは町の竜脈に根ざして日に日に成長していくし、いつもより数も多い。どうやって対処したもんかと悩んでいたところさ。完全成長してしまったらどうなったか分かったもんじゃあない。そしてもちろん、あんたのその貧弱な刀じゃあ、アレにはダメージの1つだって与えられやしないはずだね」
ふうむ、そんなに強い魔物だったのか。
どうも最近は一般モンスターの強さの違いが判別しにくくなってきている。ある程度以上の魔物じゃないと良く分からないのだ。トカマル君も日に日にレベルが上がっていくし。
「まあうちは精霊さんが強いですから。俺なんてもう見てるだけみたいなものですよ」
俺は頭の上のトカマル君を指差した。
実際のところ、今日戦っていたのはほとんど彼なのだ。
「精霊、精霊ね。そうかい分かった。まあとにかく、あんたは奴らの勢力を減らしてくれたんだ。3体分もね。残り5体居るとはいえ、楽になった事は確実だ。まずはその事に礼を言わなきゃあならないね。いや助かったよ、ありがとう。このとおりだ」
彼女はそう言って深々と頭を下げた。大げさな人である。
それと、ひとつ、少し行き違いがあったようなので伝えておかねば。ワイルドキラーストロベリーは9体とも既に倒したのだ。
こういうことはちゃんと伝えておかないと、もしギルドが無駄に討伐準備でも始めてしまっても良くないからな。
「…… …… ああ~、そうかい。分かったよ。それじゃあ向こうに周って討伐の特別報酬を受け取ってくれ」
特別指定モンスターの討伐報酬。130万ロゼ
ワイルドキラーストロベリーの砂岩×3の売却。33万ロゼ
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