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35 ダンジョンボスと角バレ
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ハルピュイアのいた崖を下った先。開けた洞窟。
あらためてこの先の17階層を見渡す。
ボコボコとした鍾乳石の間には、黒い霧のようなものが立ち込めている。
【ライト】の魔法はダンジョンの中でも明るく照らしてくれるが、霧は光を乱反射してしまう。視界は良くない。
「瘴気がかなり濃くなってきているな。みんな大丈夫か?」
ロアさんがこくりと頷く。
瘴気は人間の身体を蝕むそうだが、ロアさんもダウィシエさんも、まだ絶えられる濃度だという。
ただこれ以上濃くなるようなら厳しくなってくるのかもしれない。
俺はむしろ瘴気が体質に合っているようで、すこぶる調子が良い。
ロアさんは弓に魔力を込めて広域探知を何度も放つ。警戒しているようだ。
俺も【魔力探知】を使いながら歩みを進める。
「この霧、少しおかしいですね。瘴気とはまた別なところから発生しているようですが…… それから、やや大型の魔物がいます。体長5~6mほどの良く肥えた多脚のトカゲで、頭には鶏のようなトサカがビロビロと揺れていて……」
「まさか、バジリスクか? もしそうなら私でもギリギリの相手になる。並みの個体なら問題ないが、特殊なのやら強化個体だったりすると手に負えない可能性もでてくるぞ…… 数は?」
「広い範囲にバラけて9体ですね。その中には抜きん出た個体はなさそうですが、気になるのは、」
「ダンジョンボスか?」
「はい、でも詳細不明です。この階層の何処かにはいるようですが掴めてません」
「そうか。ここらが引き際になるか…… 良し! それでは皆は引き返してくれ。あとは私1人で十分だ」
ギルマスが下した結論はそれだった。ここからは彼女が1人で戦うと言い出したのだ。
ギルマスの身体に魔素の輝きが漲っていくのが見える。
やる気は満々、闘志がギンギン。
彼女は自己犠牲の精神で自分だけが残るなどと話しているわけでは無さそうだった。
「滾る滾る、これは滾るぞ。血湧き肉が舞い踊る、戦いの律動が脈を打つ」
目をキラッキラさせて、ワクワク状態のダウィシエさん。
もはや、町の中で仕事をしていたときよりも遥かに活き活きとしていて目が輝いている。
彼女は目の前の強敵と戦いたくてしょうがないらしいのだが、その一方で俺達まで巻き込んで命を危険に晒してほしくはないそうだ。
全滅も避けたいらしい。誰かしらは帰還して、町に情報を持ち帰って欲しいのだという。
だから先に帰っていてねと、そういう話のようだった。
そう言われても困ってしまう。
バジリスクと呼ばれた魔物は、すでに1体こちらに向かってきている。俺の探知にも引っかかっていた。
瘴気と黒い霧が漂う鍾乳洞の中から、巨大なトカゲが姿を現す。
うちのトカマル君と違って全く可愛くない巨大トカゲ。その姿は、深海ザメに無数の足をくっつけたような、ちょいとグロめな生き物だった。白くヌメヌメとした鱗があり、足が9本、不気味で大きな瞳もパッチリと開いている。
「窟化バジリスクだな」
ダウィシエさんは顔を曇らせ、俺達に注意を促す。
「バジリスク種のブレスには石化効果がある。目からは放つのは即死魔法。ついでに窟化タイプは物理攻撃も魔法攻撃も効き難いと聞く。あのヌメヌメ肌に受け流されるらしいな」
石化に即死。それはまたずいぶんと物騒で恐ろしげな攻撃をしてくる魔物だとは思うのだが、ダウィシエさんは嬉々として窟化バジリスクに突っ込んでゆくのだった。
わりと命が軽そうなこの世界ではあるけれど、それにしても彼女は特にバトルジャンキーなのだろうな。
「あ、ダウィシエさん。私も行きますよ。面白そうな獲物ですから」
ロアさんも突撃したし、もちろんトカマル君も戦いたがっていた。
まったくもう。大丈夫かな。血気盛んな若者たちはこれだから困る。
しかたなく俺も参戦することに。
少し強めに魔弾を放って攻撃を開始する。
パァンッ と射出音が響いた。
この魔法は使い勝手がすこぶる良いが、威力を上げると音はうるさい。暗殺なんかに不向きだろうな。
さて、魔弾は窟化バジリスクの頭部に命中し、激しく損傷させた。
それでも一撃で倒しきれなかった。もう少し強めでも良かったようだ。
「こいつは恐るべき威力だなエフィルア。しかし気をつけろ、奴らの鱗をおおっている粘膜障壁は、魔力の高まりでさらに強化されるぞッ」
ダウィシエさんはバジリスクを激しく斬りつけながら目を爛々と輝かせていた。
彼女の斧槍も魔物の体表を滑って威力を半減させられていたが、それでも構わず乱打を加える。
敵の動きは遅いから攻撃をあてること自体は難しくない。あとはもう力押しのブン殴りで1匹目のバジリスクを彼女は仕留めた。
続けざま、今度は3匹まとめて登場。その中の1匹がグバァッと大口を開ける。
いかにも口から石化ブレスを放ちそうな体勢である。
距離はまだ10m以上はある。
この距離で吐いてくるか? 射程はどれくらいだ?
とりあえず先に魔弾を撃っておこう。狙うは敵の口内。
鱗の無い口の中はいかにも弱点丸出しだが、喉の奥からはすでに黒い霧が噴出し始めていた。
そこへ俺の弾丸が飛び込む。バジリスクの口腔に溜まった黒い霧を切り裂くようにして飛び、吸い込まれるようにして消え、それから頭部が消し飛んだ。
石化ブレスは不発に終わった。
しかしだな、今のがもし本当に石化ブレスなら、出来れば【魔導視】で観察しておきたかったような気もするのだ。
なんとも便利そうなスキルではないか。石化なら相手を殺さずに無力化できるのだし。一度くらいは見せていただきたい。
もちろん今はそんな事を言ってる場合ではないのだろうが。
未だに姿を見せないダンジョンボスの存在も気になるからな。
さて、次々に襲い掛かってくるバジリスク。ロアさんは魔弓を放ち、巧みに目を狙って打ち抜いていた。ダウィシエさんは相変わらず暴風の如くハルバードをブン回し、その勢いで竜巻すらも発生させていた。
トカマル君も隙を見ては攻撃に加わっている。
みんな盛り上がっている。俺は戦いの邪魔はしない程度に抑えつつも、魔弾で敵を掃滅する。安全第一。とくにトカマル君を狙ってくる個体は早めに潰しておく。
いとも簡単に爆散してしまうバジリスクを見ていると、もしかすると俺の魔力値30万というのも、あながち誤表示ではないのかもしれないと思えてくる。
まだまだほんの軽くしか魔力はこめていない。
そんな戦いの途中。ダウィシエさんから物理攻撃のリクエストをいただく。
見てみたいらしい。物理攻撃力1万オーバーの威力を。
俺は呪法刃の短刀に魔力をそそぎバジリスクを斬りつける。ヌルヌル鱗もサックリ切断、一刀両断。まな板の上の鯉をさばくが如く切り裂いた。
「なんという粗雑な剣さばき、そこからくりだされる意味不明な威力の一撃! 見事だッ」
ダウィシエさんは興奮した様子だった。俺としては軽く馬鹿にされたような気もしている。粗雑な剣さばきはしょうがないでしょうよ。こんなのやって育ってきたわけじゃないのだから。
そんな感じであらかたの敵を倒したころ。
大気の微妙な変化が起こった。それに真っ先に気がついたのは、やはりロアさんだった。
「妙な反応が発生。この階層全体を覆う黒い霧に、微弱ながら意志を感じます」
その言葉を裏付けるようにして、あたりを覆っていた霧が急激に晴れていく。
「1箇所に集まりつつありますね。どうやら霧状の魔物だったようです。しかも霧の主成分はバジリスクの吐いた石化ブレスと、奥から湧き上がっている瘴気です。身体に悪い事この上ないですよ。濃度の濃い部分だと、触れただけで石化する可能性もあります」
本番はここからになるようだ。
「クククッ、いよいよか…… 強者との死闘を越えてこそ、更なる強さを求められる。一番槍は私が貰うぞ」
ギルマスは目を見開いて、霧が収束していく階層の奥へと注意を向けた。
俺も魔導視を使って観察しておく。
この魔物については、ロアさんもダウィシエさんも情報がないそうだ。
未知の敵。ダンジョンボスというのは、他の場所には発生しない特殊モンスターである事も多いらしい。
霧が急激に引いていく瞬間、俺はその塊に向かっていくつかのスキルを試してみる。魔弾、鬼火、エナジードレイン、遠薙ぎ。
ふうむ、なるほど。どれも霧相手でも多少は効果があるようだ。
ただし効果範囲が狭すぎて有効打になっているとは思えない。
相手は形も体積も自在に変えながら漂っていて、とらえどころがない。
階層の奥。濃度を高めた霧の化物が、雲のような形を成して勢い良く飛び出してきた。
「来るが良い! この私が相手だ。【神速一閃】」
ダウィシエさんは俺達の先頭に立ち、敵の攻撃を待ち構えていた。
そこから驚くべき速さの一太刀が繰りだされ、彼女の前に存在している大気のすべてを真っ二つに切り裂いた。
さらには爆風とつむじ風が後を追うように発生し、黒い霧を散り散りに吹き飛ばす。
吹き飛ばされた一部が俺のほうにも流されてきたので、小指の先でちょいと触れてみる。ふむ、この濃度なら軽く表皮がチリッとするくらいか。なにかしら攻撃されいるような感覚はあるが、ダメージを受けるほどでもないし、石化や他の状態異常にもならなかった。
と、思ったら。
「ぐああああ」
ギルマスが石化していた。何をやっているんですかね。さっきまで凄くかっこいい一撃を披露していたというのに。
どうやら彼女は自分で吹き飛ばした霧の一部に触れてしまったらしい。
彼女の足は瞬間的に硬直し、そのまま灰色の石に変わってしまった。
「きゃあぁっ」
と思っていたら今度はロアさんもダメージを受けている。こちらは今すぐに石化するというほどではないようだが。
それにあわせるようにして、どこからかバジリスクがさらに数体湧いて現れた。
リポップ現象というやつらしい。ボスエリアなどで発生する現象で、特定の魔物が早い周期で何度も繰り返し生まれてくるという。
「3人とも、いよいよここは撤退してもらうぞ。即時、上層に退避しろ」
ダウィシエさんは完全に石化した片足をものともせず、がちゃこん がちゃこんと音を鳴らしながら走り回り、繰り返しハルバートを振るってはツムジ風を巻き起こして戦っている。今度はちゃんと風向きも完璧。霧の進行を一時的に食い止めている。
相変わらず1人で戦い続けるつもりらしいが。
「行け、あの霧の魔物の事を町の皆に伝えてくれ。ここで全滅すれば強大な魔物の存在を知らせることもできんのだ。ここは私に任せてもらうッ!」
「ああー、ダウィシエさん、ちょとまっ」
盛り上がっているギルマスに声を掛ける俺。が、気合が入りすぎな彼女は、すでに敵に向かって突撃していた。
「さあ来い! 霧であろうと光であろうと、この身尽きるまで我が神速の残撃で全てを絶つッ! くらぇぇっ ハァァァァ」
「あー、まってまってー、ダウィシエさん待って。そんな捨て身で突っ込むのはちょっと待って」
全然止まらないギルマスの首根っこを大至急で捕まえて、安全そうな方にぶん投げる。どんがらがっしゃん。石化してる足が折れたらごめん。
「ここは私こそがっ、今こそ私のすべてを懸けて、秘伝の超絶秘奥義を見せるときっ! 分の悪い相手ですが、この身に代えてもただではやられませんッ」
ロアさんも叫びだした。やたら盛り上がっている。なんなんだよ!
2人とも、我先にと仲間を置いて逃げ出すよりは良いとは思うが、ちょっと待ってほしい。たぶん大丈夫だから。
「俺の話を聞いてくれますかロアさん」
彼女をつまみ上げて説得する。
ロアさんの超絶秘奥義がなんなのか分からないけれど、全てを懸ける前に、彼女の広域探知網を部屋中に広げてもらうようにお願いする。
素直にやってくれるロアさん。素早く四方八方に探知の矢を放ってくれた。
「はい、ありがとうございます。あとはその魔力の網に合わせて俺がエナジードレインの魔力も流し込みますから、一緒に乗せて拡散させてください。じゃあ行きますよ、よいしょっ」
思いつき即席秘儀である。ロアさんとの連携魔法、広域拡散エナジードレイン発動だ。ゆけっ たぶんこれまでの感じだと出来る気がするから。
そうしてとっさに放った魔法だったが、想定以上の威力と精度をもって唸りをあげる。
戦果は予想を超えた。瞬く間に霧を飲み込み、部屋の隅々まで掃滅してしまう。
思いつきではあるけれど、ここまでに検証してきた魔法制御の精度や柔軟性、応用力からして、冷静に対処すれば十分にやれるとは思っていた。が、それを上回る出来栄えだ。
流石にちょっと気持ち良さすら感じる。
ただしこの時、俺はひとつの過ちにも気がついていた。
すぐに気が付いたのだ。俺は張り切りすぎてしまったと。
なんと…… バジリスクまで全て残らず掃滅してしまったのだ。あとで石化ブレスを観察しようと思っていたのにも関わらずだ。すべてまとめて亡き者にしてしまったのだ。
ああ、エナジードレインの威力はもっと弱くて良かった。あの拡散状態の霧なら、魔法的なエネルギー密度自体は低かったのだから。
「みんな無事か? いったい何がどうなったんだ!?」
ギルマスは、ガチャンガチャンと足音を立てながら走って戻って来る。
元気いっぱいだな。足も折れてないようだ。石化しててもだいぶ丈夫なのだな。
「ロアさん、動けるようだったら広域探知で周りを確認してくれますか? 霧の魔物が残っていると厄介です」
「はっ はい」
探知を始めながらロアさんがこちらを向く。
「エフィルアさん、私、最終秘奥義を出し損ねてしまいました」
「それは残念でしたね。今度見せてください」
「しょうがないですね。エフィルアさんには特別に見せてあげます」
ロアさんはニコリと笑っている。なんだろう、見せたいのだろうか?
まったく、この人も中々によく分からない人物である。
無事に探知も終わり、ギルマスがワシワシッと俺達を抱きしめてくる。
彼女はあの瞬間、“霧”に軽く触れただけで石化毒に蝕まれてしまった己の足を見て、全滅も覚悟したらしい。ぜんぜんそんな悲壮感は見て取れなかったけどな。
それでもだ。未知の脅威とも戦う必要のあるこの仕事に危険は付きものだとはいえ、もし全滅という事になれば、当然はげしい呵責を感じてもおかしくはない。
俺達を連れてきたのは彼女なのだし、きっとこの人はそういう事を気にする人間なのだ。たぶん。
「いたい、いたい、もう分かりましたから、分かりましたから」
力いっぱい抱きしめてくるギルマス。
実際には抱きしめられても痛くなどはないのだが、いかんせん、あの、ええと、暴力的なまでの胸部がですね、あたるんで、ちょっとあたるので。
一通りのやり取りが終った後、この階層の中を駆け抜けて確認して回る。
やはりここが最下層になっているようだ。
もはや他に魔物の姿はなく、ただ倒れたバジリスクの身体と、霧の魔物の魔石が落ちているだけだった。
もちろん、それらは全てインベントリに収納した。
さあ今日のところの俺達の仕事はこんなもんで良いだろう。
ダンジョンのすべてを踏破したわけではないから、またこれから他の冒険者も含めて探索を進めることにはなるだろうが。
町へ戻ろう。ダウィシエさんの石化も治さなくてはならないし。
ロアさんの身体も軽く固まりかけている部分がある。
2人とも歩く事は出来るみたいだが、この状態での戦闘は難しい。
「では、本日の探索はここまでとする。2人は我が町を新たな驚異から守った英雄だ。ギルドマスターとして深く感謝を表明する。この報酬は十分なものを用意しよう」
ギルマスはちょっと涙目になりながら、恭しく頭を下げた。
なんだよ、泣くなよギルマス。大げさだな。
それにまだ終ったわけじゃないんだ。
ギルドに戻るまでが依頼だぞ。
さあ帰ろう、報酬がたんまり待ってるぞ。
霧とバジリスクを倒した分の経験値で俺のレベルもさらに上がったようだ。
めでたい事に、ダウィシエさんも1レベル上昇して185に。
ロアさんも1つ上がって116。トカマル君も1つ上がって41。俺は16上がって162。俺だけ上がりすぎて気まずい。
ダウィシエさんがまた悲しむかもしれないと思ったのだが、今回はそうでもなかった。ふつうに喜んでくれた、というか称えてくれた。
今回の戦いでは俺の功績が大きいから、獲得魔素も俺の方にたくさん流れ込んで当然なのだという。
俺達は崖の上にまで戻ってくる。
すでに魔物は退治して通ってきた道だから、行きよりも敵の数は少なく楽な道のりだった。
そんな鼻歌交じりの帰り道。
足場の悪い場所にさしかかり、負傷している2人を両脇に抱えて出口に向けて走り跳ぶ。トカマル君は俺の隣で走ってる。さすがに今は頭の上には乗ってこないな。と、
――ひそひそ こそこそ――
どうしたのだろうか?
俺に抱えられながら2人が何かを小声で話してる。
――ひそひそ こそこそ――
「あの、お二人とも?」
「「はい」」
「どうかしましたか?」
「ええと、エフィルアさん。ちょっと止まってもらって良いですか?」
「はい、良いですけど」
俺はゆっくりと減速し、立ち止まる
「では、ご自分の頭を触ってみてもらって良いですか?」
頭? なんでだろう? あ、あー、これか。
まいったな、角が出ちゃってるよ。
いつの間にこんな事に?
霧との戦いで張り切って力を使いすぎたせいだろうか?
それともレベルが上がってさらに力がついたせいだろうか?
「どう見ても…… それは角だな。エフィルア」
「ダウィシエさん。何を言ってるんですか? そんなわけないでしょう」
とぼけてみるが、効果はなさそうだった。
ステータスを表示して、【種族】の欄を確認してみると……
そこに表示されているのは魔神でも人間でもなかった。
【種族】 半魔神
【LV】 162
なんだろう、半分だけ魔神なのか? なんとも中途半端な状態だ。
まあしかし、どうせ角をもう一度引っ込めておけば人間(擬態)になるだろう。
こうしてこうして、角を引っ込めて、と……
あれ、引っ込まない? 引っ込まないのですが?
なるほど、そうきたか。
こりゃあ、いよいよ……
人間とは呼べないな。さて、どうしようか。
あらためてこの先の17階層を見渡す。
ボコボコとした鍾乳石の間には、黒い霧のようなものが立ち込めている。
【ライト】の魔法はダンジョンの中でも明るく照らしてくれるが、霧は光を乱反射してしまう。視界は良くない。
「瘴気がかなり濃くなってきているな。みんな大丈夫か?」
ロアさんがこくりと頷く。
瘴気は人間の身体を蝕むそうだが、ロアさんもダウィシエさんも、まだ絶えられる濃度だという。
ただこれ以上濃くなるようなら厳しくなってくるのかもしれない。
俺はむしろ瘴気が体質に合っているようで、すこぶる調子が良い。
ロアさんは弓に魔力を込めて広域探知を何度も放つ。警戒しているようだ。
俺も【魔力探知】を使いながら歩みを進める。
「この霧、少しおかしいですね。瘴気とはまた別なところから発生しているようですが…… それから、やや大型の魔物がいます。体長5~6mほどの良く肥えた多脚のトカゲで、頭には鶏のようなトサカがビロビロと揺れていて……」
「まさか、バジリスクか? もしそうなら私でもギリギリの相手になる。並みの個体なら問題ないが、特殊なのやら強化個体だったりすると手に負えない可能性もでてくるぞ…… 数は?」
「広い範囲にバラけて9体ですね。その中には抜きん出た個体はなさそうですが、気になるのは、」
「ダンジョンボスか?」
「はい、でも詳細不明です。この階層の何処かにはいるようですが掴めてません」
「そうか。ここらが引き際になるか…… 良し! それでは皆は引き返してくれ。あとは私1人で十分だ」
ギルマスが下した結論はそれだった。ここからは彼女が1人で戦うと言い出したのだ。
ギルマスの身体に魔素の輝きが漲っていくのが見える。
やる気は満々、闘志がギンギン。
彼女は自己犠牲の精神で自分だけが残るなどと話しているわけでは無さそうだった。
「滾る滾る、これは滾るぞ。血湧き肉が舞い踊る、戦いの律動が脈を打つ」
目をキラッキラさせて、ワクワク状態のダウィシエさん。
もはや、町の中で仕事をしていたときよりも遥かに活き活きとしていて目が輝いている。
彼女は目の前の強敵と戦いたくてしょうがないらしいのだが、その一方で俺達まで巻き込んで命を危険に晒してほしくはないそうだ。
全滅も避けたいらしい。誰かしらは帰還して、町に情報を持ち帰って欲しいのだという。
だから先に帰っていてねと、そういう話のようだった。
そう言われても困ってしまう。
バジリスクと呼ばれた魔物は、すでに1体こちらに向かってきている。俺の探知にも引っかかっていた。
瘴気と黒い霧が漂う鍾乳洞の中から、巨大なトカゲが姿を現す。
うちのトカマル君と違って全く可愛くない巨大トカゲ。その姿は、深海ザメに無数の足をくっつけたような、ちょいとグロめな生き物だった。白くヌメヌメとした鱗があり、足が9本、不気味で大きな瞳もパッチリと開いている。
「窟化バジリスクだな」
ダウィシエさんは顔を曇らせ、俺達に注意を促す。
「バジリスク種のブレスには石化効果がある。目からは放つのは即死魔法。ついでに窟化タイプは物理攻撃も魔法攻撃も効き難いと聞く。あのヌメヌメ肌に受け流されるらしいな」
石化に即死。それはまたずいぶんと物騒で恐ろしげな攻撃をしてくる魔物だとは思うのだが、ダウィシエさんは嬉々として窟化バジリスクに突っ込んでゆくのだった。
わりと命が軽そうなこの世界ではあるけれど、それにしても彼女は特にバトルジャンキーなのだろうな。
「あ、ダウィシエさん。私も行きますよ。面白そうな獲物ですから」
ロアさんも突撃したし、もちろんトカマル君も戦いたがっていた。
まったくもう。大丈夫かな。血気盛んな若者たちはこれだから困る。
しかたなく俺も参戦することに。
少し強めに魔弾を放って攻撃を開始する。
パァンッ と射出音が響いた。
この魔法は使い勝手がすこぶる良いが、威力を上げると音はうるさい。暗殺なんかに不向きだろうな。
さて、魔弾は窟化バジリスクの頭部に命中し、激しく損傷させた。
それでも一撃で倒しきれなかった。もう少し強めでも良かったようだ。
「こいつは恐るべき威力だなエフィルア。しかし気をつけろ、奴らの鱗をおおっている粘膜障壁は、魔力の高まりでさらに強化されるぞッ」
ダウィシエさんはバジリスクを激しく斬りつけながら目を爛々と輝かせていた。
彼女の斧槍も魔物の体表を滑って威力を半減させられていたが、それでも構わず乱打を加える。
敵の動きは遅いから攻撃をあてること自体は難しくない。あとはもう力押しのブン殴りで1匹目のバジリスクを彼女は仕留めた。
続けざま、今度は3匹まとめて登場。その中の1匹がグバァッと大口を開ける。
いかにも口から石化ブレスを放ちそうな体勢である。
距離はまだ10m以上はある。
この距離で吐いてくるか? 射程はどれくらいだ?
とりあえず先に魔弾を撃っておこう。狙うは敵の口内。
鱗の無い口の中はいかにも弱点丸出しだが、喉の奥からはすでに黒い霧が噴出し始めていた。
そこへ俺の弾丸が飛び込む。バジリスクの口腔に溜まった黒い霧を切り裂くようにして飛び、吸い込まれるようにして消え、それから頭部が消し飛んだ。
石化ブレスは不発に終わった。
しかしだな、今のがもし本当に石化ブレスなら、出来れば【魔導視】で観察しておきたかったような気もするのだ。
なんとも便利そうなスキルではないか。石化なら相手を殺さずに無力化できるのだし。一度くらいは見せていただきたい。
もちろん今はそんな事を言ってる場合ではないのだろうが。
未だに姿を見せないダンジョンボスの存在も気になるからな。
さて、次々に襲い掛かってくるバジリスク。ロアさんは魔弓を放ち、巧みに目を狙って打ち抜いていた。ダウィシエさんは相変わらず暴風の如くハルバードをブン回し、その勢いで竜巻すらも発生させていた。
トカマル君も隙を見ては攻撃に加わっている。
みんな盛り上がっている。俺は戦いの邪魔はしない程度に抑えつつも、魔弾で敵を掃滅する。安全第一。とくにトカマル君を狙ってくる個体は早めに潰しておく。
いとも簡単に爆散してしまうバジリスクを見ていると、もしかすると俺の魔力値30万というのも、あながち誤表示ではないのかもしれないと思えてくる。
まだまだほんの軽くしか魔力はこめていない。
そんな戦いの途中。ダウィシエさんから物理攻撃のリクエストをいただく。
見てみたいらしい。物理攻撃力1万オーバーの威力を。
俺は呪法刃の短刀に魔力をそそぎバジリスクを斬りつける。ヌルヌル鱗もサックリ切断、一刀両断。まな板の上の鯉をさばくが如く切り裂いた。
「なんという粗雑な剣さばき、そこからくりだされる意味不明な威力の一撃! 見事だッ」
ダウィシエさんは興奮した様子だった。俺としては軽く馬鹿にされたような気もしている。粗雑な剣さばきはしょうがないでしょうよ。こんなのやって育ってきたわけじゃないのだから。
そんな感じであらかたの敵を倒したころ。
大気の微妙な変化が起こった。それに真っ先に気がついたのは、やはりロアさんだった。
「妙な反応が発生。この階層全体を覆う黒い霧に、微弱ながら意志を感じます」
その言葉を裏付けるようにして、あたりを覆っていた霧が急激に晴れていく。
「1箇所に集まりつつありますね。どうやら霧状の魔物だったようです。しかも霧の主成分はバジリスクの吐いた石化ブレスと、奥から湧き上がっている瘴気です。身体に悪い事この上ないですよ。濃度の濃い部分だと、触れただけで石化する可能性もあります」
本番はここからになるようだ。
「クククッ、いよいよか…… 強者との死闘を越えてこそ、更なる強さを求められる。一番槍は私が貰うぞ」
ギルマスは目を見開いて、霧が収束していく階層の奥へと注意を向けた。
俺も魔導視を使って観察しておく。
この魔物については、ロアさんもダウィシエさんも情報がないそうだ。
未知の敵。ダンジョンボスというのは、他の場所には発生しない特殊モンスターである事も多いらしい。
霧が急激に引いていく瞬間、俺はその塊に向かっていくつかのスキルを試してみる。魔弾、鬼火、エナジードレイン、遠薙ぎ。
ふうむ、なるほど。どれも霧相手でも多少は効果があるようだ。
ただし効果範囲が狭すぎて有効打になっているとは思えない。
相手は形も体積も自在に変えながら漂っていて、とらえどころがない。
階層の奥。濃度を高めた霧の化物が、雲のような形を成して勢い良く飛び出してきた。
「来るが良い! この私が相手だ。【神速一閃】」
ダウィシエさんは俺達の先頭に立ち、敵の攻撃を待ち構えていた。
そこから驚くべき速さの一太刀が繰りだされ、彼女の前に存在している大気のすべてを真っ二つに切り裂いた。
さらには爆風とつむじ風が後を追うように発生し、黒い霧を散り散りに吹き飛ばす。
吹き飛ばされた一部が俺のほうにも流されてきたので、小指の先でちょいと触れてみる。ふむ、この濃度なら軽く表皮がチリッとするくらいか。なにかしら攻撃されいるような感覚はあるが、ダメージを受けるほどでもないし、石化や他の状態異常にもならなかった。
と、思ったら。
「ぐああああ」
ギルマスが石化していた。何をやっているんですかね。さっきまで凄くかっこいい一撃を披露していたというのに。
どうやら彼女は自分で吹き飛ばした霧の一部に触れてしまったらしい。
彼女の足は瞬間的に硬直し、そのまま灰色の石に変わってしまった。
「きゃあぁっ」
と思っていたら今度はロアさんもダメージを受けている。こちらは今すぐに石化するというほどではないようだが。
それにあわせるようにして、どこからかバジリスクがさらに数体湧いて現れた。
リポップ現象というやつらしい。ボスエリアなどで発生する現象で、特定の魔物が早い周期で何度も繰り返し生まれてくるという。
「3人とも、いよいよここは撤退してもらうぞ。即時、上層に退避しろ」
ダウィシエさんは完全に石化した片足をものともせず、がちゃこん がちゃこんと音を鳴らしながら走り回り、繰り返しハルバートを振るってはツムジ風を巻き起こして戦っている。今度はちゃんと風向きも完璧。霧の進行を一時的に食い止めている。
相変わらず1人で戦い続けるつもりらしいが。
「行け、あの霧の魔物の事を町の皆に伝えてくれ。ここで全滅すれば強大な魔物の存在を知らせることもできんのだ。ここは私に任せてもらうッ!」
「ああー、ダウィシエさん、ちょとまっ」
盛り上がっているギルマスに声を掛ける俺。が、気合が入りすぎな彼女は、すでに敵に向かって突撃していた。
「さあ来い! 霧であろうと光であろうと、この身尽きるまで我が神速の残撃で全てを絶つッ! くらぇぇっ ハァァァァ」
「あー、まってまってー、ダウィシエさん待って。そんな捨て身で突っ込むのはちょっと待って」
全然止まらないギルマスの首根っこを大至急で捕まえて、安全そうな方にぶん投げる。どんがらがっしゃん。石化してる足が折れたらごめん。
「ここは私こそがっ、今こそ私のすべてを懸けて、秘伝の超絶秘奥義を見せるときっ! 分の悪い相手ですが、この身に代えてもただではやられませんッ」
ロアさんも叫びだした。やたら盛り上がっている。なんなんだよ!
2人とも、我先にと仲間を置いて逃げ出すよりは良いとは思うが、ちょっと待ってほしい。たぶん大丈夫だから。
「俺の話を聞いてくれますかロアさん」
彼女をつまみ上げて説得する。
ロアさんの超絶秘奥義がなんなのか分からないけれど、全てを懸ける前に、彼女の広域探知網を部屋中に広げてもらうようにお願いする。
素直にやってくれるロアさん。素早く四方八方に探知の矢を放ってくれた。
「はい、ありがとうございます。あとはその魔力の網に合わせて俺がエナジードレインの魔力も流し込みますから、一緒に乗せて拡散させてください。じゃあ行きますよ、よいしょっ」
思いつき即席秘儀である。ロアさんとの連携魔法、広域拡散エナジードレイン発動だ。ゆけっ たぶんこれまでの感じだと出来る気がするから。
そうしてとっさに放った魔法だったが、想定以上の威力と精度をもって唸りをあげる。
戦果は予想を超えた。瞬く間に霧を飲み込み、部屋の隅々まで掃滅してしまう。
思いつきではあるけれど、ここまでに検証してきた魔法制御の精度や柔軟性、応用力からして、冷静に対処すれば十分にやれるとは思っていた。が、それを上回る出来栄えだ。
流石にちょっと気持ち良さすら感じる。
ただしこの時、俺はひとつの過ちにも気がついていた。
すぐに気が付いたのだ。俺は張り切りすぎてしまったと。
なんと…… バジリスクまで全て残らず掃滅してしまったのだ。あとで石化ブレスを観察しようと思っていたのにも関わらずだ。すべてまとめて亡き者にしてしまったのだ。
ああ、エナジードレインの威力はもっと弱くて良かった。あの拡散状態の霧なら、魔法的なエネルギー密度自体は低かったのだから。
「みんな無事か? いったい何がどうなったんだ!?」
ギルマスは、ガチャンガチャンと足音を立てながら走って戻って来る。
元気いっぱいだな。足も折れてないようだ。石化しててもだいぶ丈夫なのだな。
「ロアさん、動けるようだったら広域探知で周りを確認してくれますか? 霧の魔物が残っていると厄介です」
「はっ はい」
探知を始めながらロアさんがこちらを向く。
「エフィルアさん、私、最終秘奥義を出し損ねてしまいました」
「それは残念でしたね。今度見せてください」
「しょうがないですね。エフィルアさんには特別に見せてあげます」
ロアさんはニコリと笑っている。なんだろう、見せたいのだろうか?
まったく、この人も中々によく分からない人物である。
無事に探知も終わり、ギルマスがワシワシッと俺達を抱きしめてくる。
彼女はあの瞬間、“霧”に軽く触れただけで石化毒に蝕まれてしまった己の足を見て、全滅も覚悟したらしい。ぜんぜんそんな悲壮感は見て取れなかったけどな。
それでもだ。未知の脅威とも戦う必要のあるこの仕事に危険は付きものだとはいえ、もし全滅という事になれば、当然はげしい呵責を感じてもおかしくはない。
俺達を連れてきたのは彼女なのだし、きっとこの人はそういう事を気にする人間なのだ。たぶん。
「いたい、いたい、もう分かりましたから、分かりましたから」
力いっぱい抱きしめてくるギルマス。
実際には抱きしめられても痛くなどはないのだが、いかんせん、あの、ええと、暴力的なまでの胸部がですね、あたるんで、ちょっとあたるので。
一通りのやり取りが終った後、この階層の中を駆け抜けて確認して回る。
やはりここが最下層になっているようだ。
もはや他に魔物の姿はなく、ただ倒れたバジリスクの身体と、霧の魔物の魔石が落ちているだけだった。
もちろん、それらは全てインベントリに収納した。
さあ今日のところの俺達の仕事はこんなもんで良いだろう。
ダンジョンのすべてを踏破したわけではないから、またこれから他の冒険者も含めて探索を進めることにはなるだろうが。
町へ戻ろう。ダウィシエさんの石化も治さなくてはならないし。
ロアさんの身体も軽く固まりかけている部分がある。
2人とも歩く事は出来るみたいだが、この状態での戦闘は難しい。
「では、本日の探索はここまでとする。2人は我が町を新たな驚異から守った英雄だ。ギルドマスターとして深く感謝を表明する。この報酬は十分なものを用意しよう」
ギルマスはちょっと涙目になりながら、恭しく頭を下げた。
なんだよ、泣くなよギルマス。大げさだな。
それにまだ終ったわけじゃないんだ。
ギルドに戻るまでが依頼だぞ。
さあ帰ろう、報酬がたんまり待ってるぞ。
霧とバジリスクを倒した分の経験値で俺のレベルもさらに上がったようだ。
めでたい事に、ダウィシエさんも1レベル上昇して185に。
ロアさんも1つ上がって116。トカマル君も1つ上がって41。俺は16上がって162。俺だけ上がりすぎて気まずい。
ダウィシエさんがまた悲しむかもしれないと思ったのだが、今回はそうでもなかった。ふつうに喜んでくれた、というか称えてくれた。
今回の戦いでは俺の功績が大きいから、獲得魔素も俺の方にたくさん流れ込んで当然なのだという。
俺達は崖の上にまで戻ってくる。
すでに魔物は退治して通ってきた道だから、行きよりも敵の数は少なく楽な道のりだった。
そんな鼻歌交じりの帰り道。
足場の悪い場所にさしかかり、負傷している2人を両脇に抱えて出口に向けて走り跳ぶ。トカマル君は俺の隣で走ってる。さすがに今は頭の上には乗ってこないな。と、
――ひそひそ こそこそ――
どうしたのだろうか?
俺に抱えられながら2人が何かを小声で話してる。
――ひそひそ こそこそ――
「あの、お二人とも?」
「「はい」」
「どうかしましたか?」
「ええと、エフィルアさん。ちょっと止まってもらって良いですか?」
「はい、良いですけど」
俺はゆっくりと減速し、立ち止まる
「では、ご自分の頭を触ってみてもらって良いですか?」
頭? なんでだろう? あ、あー、これか。
まいったな、角が出ちゃってるよ。
いつの間にこんな事に?
霧との戦いで張り切って力を使いすぎたせいだろうか?
それともレベルが上がってさらに力がついたせいだろうか?
「どう見ても…… それは角だな。エフィルア」
「ダウィシエさん。何を言ってるんですか? そんなわけないでしょう」
とぼけてみるが、効果はなさそうだった。
ステータスを表示して、【種族】の欄を確認してみると……
そこに表示されているのは魔神でも人間でもなかった。
【種族】 半魔神
【LV】 162
なんだろう、半分だけ魔神なのか? なんとも中途半端な状態だ。
まあしかし、どうせ角をもう一度引っ込めておけば人間(擬態)になるだろう。
こうしてこうして、角を引っ込めて、と……
あれ、引っ込まない? 引っ込まないのですが?
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人間とは呼べないな。さて、どうしようか。
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